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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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妖精の心臓

 
前書き
久々の2日連続投稿。
このままペースを落とさずに行けるのか!?ちょっと不安・・・ 

 
妖精の尻尾(フェアリーテイル)正式に復活を祝して・・・」
「「「「「乾杯ー!!」」」」」

グラスを片手にビールを煽る皆さん。その中心には帰ってきたマスターがいる。

「おかえりマスター!!」
「あれ?マスターはエルザだからえーと・・・」
「マカロフさん!!」
「なんか締まらねぇな」

ずっとマスターと呼んでいたから名前で呼ぶのは違和感がある。以前は俺も名前で呼んでた時もあったけど、どうにも違和感が拭えない。

「マスターでよい、私は辞退する」
「じゃあマスター!!あらためておかえりー!!」
「おかえり~」
「アスカちゃーん」

エルザさんの一言で正式にマスター呼びが認可された。そのマスターにアスカちゃんが駆け寄っていくと、マスターはデレデレと鼻の下を伸ばしている。

「8代目ってことになるのか?」
「マスターやるの3回目ってこと!?何回生き返ってるの!?」
「死んでないし」

ラキさんは何度もマスターとして戻ってくるマスターに頭が追い付いていないようでキナナさんに突っ込まれていた。

「こうなったら死ぬまでやってやるわい」
「それぞ漢!!」
「それ・・・前にも聞きましたよ」
「あははははは!!」

ギルダーツさんから6代目を言い渡された時と同じことを言っているらしいマスター。その周りでは、大宴会が始まろうとしていた。

「酒だ酒ー!!」
「「「「「飲むぞー!!」」」」」

カナさんを中心とした大酒のみグループはすでに出来上がっており顔が真っ赤になってきている。その横では落ち着いた雰囲気に人たちもいたけど・・・

「それにしてもお前ら青い天馬(ブルーペガサス)にいたとはな」
「接客の仕事も悪くない」
「まぁ、ボロ酒場の方が落ち着くけどな」

グレイさんにワインを注いでいるフリードさんとビッグスローさんがそう言う。すると、ジュビアさんから細やかな質問が投げ掛けられた。

「ラクサスさんもやったんでしょうか?その・・・いわゆる“おもてなし”というものを・・・」
「たまにはね・・・くぷぷ・・・これがまたウケるのよ・・・」
「余計なことぁ言わんでいい」

|青い天馬の売りといえばホスト風の店内らしく接客が中心になってくる。それを無愛想なラクサスさんがやってたとなると、それだけで面白い。

「そういえばソラノと連絡とれたの?」
「ああ・・・かなりプンスカしてたが・・・」
「そりゃ怒るよね~」

俺たちのことを救出するために海中で待っていたソラノさんは結局そのまま1人で帰ることになったらしく相当怒っていたらしい。その隣ではリリーとハッピーがその走る神殿のことで盛り上がっていた。

「お前も乗り物ダメになっちまったのか」
「はい・・・」
「これで全滅になりましたね」
「まー気にすんな!!俺は昔からだ」
「それ・・・慰めてるつもりなのか?」

ウェンディが乗り物酔いをするようになってしまったことを聞いてガジルさんも心配そう。スティングさんの言うところの真の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)になったってことなんだろうけど、そんなのになるより普通に乗り物に乗せてほしい。

そこからギルドはお祭り騒ぎだった。ケンカを始めるガジルさんにナツさん、スターマンゴーのことで話をしているエルザさんたち、他にもみんなお酒を煽りカオスになりかけていた。

カァン

どこまで宴会が続くだろうかと思われた矢先、マスターが床を杖で突く。その音で騒いでいた俺たちは静まり、そちらを向く。

「皆・・・すまなかった。言い訳はせん、皆の帰る家をなくしてしまったのはワシじゃ。本当にすまない」

全員に頭を下げるマスター。でも、それを責めるものは誰もいない。

「メストから聞いたぜー」
「俺らを守るための判断だったんだろ?」
「気にしてねーよ」
「そうだ!!もう復活したんだ!!」
「辛気臭い顔すんなよ、酒が不味くなる」

ギルド解散の経緯はメストさんから説明があった。それを聞いていた皆さんはマスターの親心に感謝していた。だが、マスターはそれを聞いても暗い顔のまま。彼は目の前にあるテーブルに行くと、そこに広げられている地図を指す。

「さらにワシの策さえ無意味じゃった。アルバレスは攻めてくる」

西の大陸に置かれた城の模型を動かしイシュガルに向かってくることを示す。それを俺たちは黙って聞いていた。

「巨大な大国が、このギルドに向かい進軍してくるのじゃ」
「それがどうしたぁ!!」

マスターの言葉を遮るようにナツさんが叫ぶ。彼はそのまま地図があるテーブルの前に歩いていく。

「俺たちは今まで何度も何度もギルドの為に戦ってきた。敵がどれだけ強かろうが、大切なものを守りたいって意志が俺たちを強くしてきたんだ」

ナツさんはマスターの前に立つとテーブルを思いきり叩き付ける。

「恐怖がないわけじゃねぇ。どうやって下ろしていいかわからねぇ重荷みてーだよ。けど・・・みんながきっと手伝ってくれる。本当の恐怖はこの・・・楽しい日の続きがなくなることだ」

彼は地図の上に乗せた手から熱気を放つと、アルバレスの城の模型だけを見事に燃やす。

「もう一度みんなと笑って過ごせる日のために、俺たちは戦わなきゃならない。勝つためじゃねぇ!!生きるために立ち上がる!!それが俺たちの戦いだ!!」

彼の鼓舞に全員の気持ちが戦いへと向いていく。俺たちは絶対にアルバレスの進軍を止める!!その気持ちは皆同じだった。

「全員、覚悟はできてるみてーだぜ」

顔を俯かせていたマスターの顔がみるみる上がってくる。正面を向いたその顔には迷いは一切ない。

「ワシもじゃ。我が家族に咬みついたことを後悔させてやるぞ!!返り討ちにしてやるわい!!」

杖を掲げ士気を上げるマスター。その一言でギルドの盛り上がりは頂点に達した。

「燃えてきたぁー!!」
「やってやるぜ!!」
「必ず勝利しましょう!!」
「当たり前だ」

口から炎を出して雄叫びを上げるナツさんに拳を握っている俺とウェンティ。ガジルさんは腕組みをして気合い満点。

「負けられぬ戦いだな」
「敵はゼレフ」
(END・・・)

エルザさん、ジュビアさん、グレイさんも眼光を鋭くして集中力を高める。

「あたしたちなら大丈夫!!」
「オイラも戦うぞー!!」
「よせ、痛いぞ」

ルーシィさんは自分に言い聞かせるようにそう言い、ハッピーが暴れているのをリリーが宥める。

「ギルドを守るんだ、今度こそ必ず・・・」
「私も1年の修行の成果見せたいしね」
「「え!?ミラちゃん修行してたの!?」」
「ぶっ飛ぶくらい強くなったのよ、私もね」
「やっぱいいね!!ギルドって」
「フン」

みんなこの1年自分の魔力を高めるために色々していたらしく自信に満ち溢れていた。今にも飛び出さんばかりのギルドメンバーたちを落ち着けるようにマスターが再度地面を突く。

「戦いの前に皆に話しておかねばならないことがある。ルーメン・イストワーン。正式名称妖精の心臓(フェアリーハート)のことじゃ」

ついに明かされるギルドの秘密に一同ざわつく。すると、マスターの後ろから1人の少女が姿を現した。

「それについては私から話しましょう、6代目・・・いえ、8代目」
「「「「「初代!?」」」」」

そこにいたのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)創設者である初代。というかここにいる初代は幽体?それとも地下から出てきたってこと?

「みなさん・・・妖精の心臓(フェアリーハート)は我がギルドの最高機密として扱われてきました。それは世界に知られてはいけない秘密が隠されているからです。ですが、ゼレフがこれを狙う理由も皆さんは知っておかねばなりません。そして私の罪も・・・」
「罪?」

暗い表情の初代を見てただならぬ事情があることは察しがついた。これから一体何が語られるのか、ドキドキする。

「初代・・・」
「よいのです。全てを語る時が来たということです。
これは呪われた少年と呪われた少女の物語。2人がもとめた一なる魔法の物語・・・」

初代の話に静かに耳を傾ける。彼女から話されたのはとんでもない事実だった。
100年以上前にマグノリアが闇ギルドに支配されていたのを、ゼレフから教わった魔法で初代たちが開放したこと。その時に使った黒魔法で初代の体が成長しなくなってしまったこと。

それからマグノリアの財政などを安定させるために妖精の尻尾(フェアリーテイル )が作られたことをまず話された。
そこからは辛い話が多かった。当時領主同士の通商権争いのせいで戦争が起こり、魔導士ギルドもそれに巻き込まれていった。
その時圧倒的な知略で戦力差をはね除け勝利に導いたことから初代は妖精軍師との異名を取ったらしい。
それからほどなくして戦争は終わり、ギルド間抗争禁止条約が制定され魔法界にしばし平和が訪れた。


それなら6年後、初代は魔法を教えてくれた黒魔導士と再会を果たす。彼女はその時に彼がゼレフであることを知ったが、噂とは異なり優しい人物だと感じていた。その時にゼレフから10年前と変わらないことを指摘され成長できなくなった経緯を話すと、彼から初代も“アンクセラムの呪い”がかけられたことを告げられた。

その時彼女の周りでは誰も死者が出ていなかったが、それ戦争により命の倫理観が鈍っていたから。その後マスターと同じくギルド創設者でラクサスさんの祖先であるユーリさんの子供、マスターが生まれた。その時に初代がマスターの名前をつけたのだが、彼女は出産したユーリさんの妻であるリタさんの手を握った途端、彼女は息絶えてしまい、自分がアンクセラムの呪いにかかっていたことを認識してしまった。

彼女はそれからギルドに戻ることはしなかった。人気がないところをさ迷い、偶然あった人を殺めることを繰り返して1年が経過した時、ゼレフが再び現れた。彼女は彼に自分を殺すことを願い出たが、それは彼にもできないものだった。

その時ゼレフからアルバレス帝国を作っていることを聞いたが、長年生きてきた彼の思考は狂っており、頭の中で矛盾が生じていた。

世界に拒まれてきたゼレフと初代。2人は共に呪いを解く方法を探すことを決めた。
ゼレフは一緒にと言ってくれた初代を愛おしく想い、初代もまた彼のことを愛していた。

魔道の深淵、すべての始まりである一なる魔法“愛”。愛は奇跡を起こすが時に悲しみを引き起こすこともある。

矛盾をかけられた2人の愛は、またしても矛盾を突きつけられた。愛すれば愛するほど人の命を奪うその魔法により、不老不死である初代の命さえも奪われてしまった。

ゼレフは最愛の人を亡くしたことにショックを受けたが、すぐに立ち直った。彼はギルドに初代を帰し、西の大陸へと帰っていった。

その際初代を受け取ったのが2代目マスターのプレヒト。彼は息をしていない初代を死んでいるのかと思ったが、わずかに心臓が動いていることを感じ当時改築中のギルドの地下にあった蘇生用の魔水晶(ラクリマ)へと彼女を入れ、ありとあらゆる蘇生魔法を試した。
その時に彼は彼女にかけられたアンクセラムの呪いに気が付き、リタさんの死の原因を悟った。そのことを誰にも言えるはすもなく、秘匿として扱われることとなったのだ。
彼はその後ギルドメンバーたちに初代が死んだことを告げ、骸なき墓をギルドの聖地、天狼島へと作った。
その後も彼は30年ほど彼女の蘇生を続けたが、その結果とんでもない魔法が出来上がってしまった。
魔法界を根底から覆す魔法・・・

「永久魔法、妖精の心臓(フェアリーハート)

聞いたことのない魔法の種類に目を見開き固まってしまう。

「永久・・・魔法?」
「それは一体・・・」

その魔法が一体どんなものなのか問いかけるルーシィさんとエルザさん。それに答えた初代の言葉に、俺たちはまた驚かされた。

「その名の通り永久・・・無限。絶対に枯渇することのない魔力」
「なんだそりゃ!?」
「一生使える魔法源ってこと!?」

魔法はある一定の量しか使うことができない。それなのに妖精の心臓(フェアリーハート)は一生魔法が使えるなんて、にわかには信じられない。

「例えるならエーテリオンという兵器がありました。一撃で国をも消滅させる旧評議院の超魔法。妖精の心臓(フェアリーハート)はそのエーテリオンを無限に放つ魔力を持っているのです。いいえ・・・魔力を持っている・・・という表現自体が体をなしてません。無限なのですから」

とてもウソをついているようには見えない初代。これには全員額に汗を浮かべていた。

「そんな魔法が公表されたら・・・」
「魔法界は根底から覆されるだろうね」

ウェンディと俺もそう言うのがやっと。それくらいすごい魔法が今この地下に存在しているとは・・・

「かつてイワンもこれを欲した。どこで漏れたのかアルバレスにも情報が渡った」
「アルバレスは妖精の心臓(フェアリーハート)を奪うために攻めてくるってのか」
「でも何のために?」
「力なら十分持ってるハズなのに・・・」

国1つを統一した大魔法帝国。そんな国が何に対してそれほどの力を求めているのかわからず考え込むミラさん。

「おそらくアクノロギアを倒すためと推測されます。あれはゼレフにとっても邪魔な存在」

その疑問に初代が答える。竜の王アクノロギアに対抗するための力として、永遠の魔力を求める。確かに言われてみればそうかもしれない。

「逆にいえばそうでもしなきゃ倒せないってのかい、アクノロギアは・・・」
「そんな・・・」

大魔闘演武で戦ったドラゴンたちは本当に強かった。ジルコニスの話を信じるなら、あのドラゴンたちでも倒せないアクノロギアは魔法帝国でも倒せないってこと。

「あのさー、単純な質問なんだけど、そんなに強い魔法ならアルバレスもアクノロギアもバーンてやっつけられないの?」
「それいいかも~!!」

するとハッピーからの最もな質問。しかし、それが出来ない理由がちゃんとあった。

「確かに一理ある。ワシも大量のフェイスを前に一度それを考えた。しかし、一時的な勝利はできてもその後のこと、どうなってしまうのか。もし・・・無限に降り注ぐエーテリオンが制御不能だったら・・・」
「・・・ごめんなさい」

国1つを滅ぼせる威力の魔法が永遠に降り注ぐ・・・そんなことが起きたらこの世界は滅亡してしまうことだろう。

「終わりの始まりになっちゃうかもしれないんだね~」
「毒を以て毒を制すわけにはいかんからな」
「毒って・・・初代の体よ、一応」

全てと引き換えにするほどの超魔法。考えただけで興味が湧いてくるけど、それは黙っておこう。場違いだし。

妖精の心臓(フェアリーハート)はいかなる理由があろうと世に放ってはなりません」
「おう!!そんなの当たり前だ!!」
「そもそも初代の体だ!!他の奴等に渡せるかってんだ!!」

初代の体を守ること、そのために何としてでもアルバレスを倒さなければならない。そう思っていると、初代は顔を俯けた。

「私の罪から生まれた魔法が、まさか皆さんを巻き込んでこんな事態になってしまうなんて・・・」

自分のせいで俺たちを危険な目に合わせると申し訳なさを感じていた初代。そんな彼女に、ガジルさんが声をかける。

「人を好きになるってのが何の罪になるってんだよ。そんな罪じゃ逮捕はできねぇな」
「「「「「・・・え?」」」」」
「なんだよテメェら!!」

せっかく良いことを言ったのに、言った人が言った人だけに間抜けな声が出てしまった。なんかごめんなさい・・・

「初代・・・どうか自分を責めないでください」
「うん・・・不幸な出来事が重なってしまっただけ」
「あなたがいなければ妖精の尻尾(フェアリーテイル)はなかったんです」
「つーことは私たちが出会うこともなかったんだね」
「初代はここにいるみんなを繋げてくれた人なんだ」
「私たちは初代の作ったギルドを守りたい」
「そのために全力で戦います!!」

俺たちが巡りあったのは全て彼女のおかげ。ならば俺たちは全力で恩返しをしなければならない。彼女はそれを聞くと嬉し涙を流す。

「よいギルドになりましたな、初代」

しみじみとマスターがそう言う。すると、グレイさんの隣にいたジュビアさんがなぜか涙を流していた。

「メイビス様はかつて愛した人と戦わなくてはならないんですね」

自分がもしグレイさんと戦ったらと考えてしまったのだろうが、非常に辛そうな顔をしている水の魔導士。それに対し初代は涙を拭って答える。

「それは遠い過去の話。今のゼレフは人類に対する脅威です。必ず倒さねばなりません」
「でもよぉ、アルバレスの兵は何とかなるにしても」
「ゼレフという者は不老不死なのだろう?」
「不死身ってことじゃない!!」

ここで雷神衆の皆さんがとんでもないことに気付いた。どんなことをしても死ぬことのない敵・・・彼を倒さなければ勝利はないのに、それを実現する方法がない。

「どうやって倒せばいいんだ」
「ニヒヒヒヒ・・・そこは任せてくれよ」

不穏な空気が流れ始めたその時、テーブルの上に立ち上がった桜髪の青年。全員の視線が彼に集まった。

「ゼレフは俺が倒す。そのための秘策がこの右腕なんだ!!」

包帯が巻かれた右腕を見せ得意気な表情を見せる火竜(サラマンダー)。その腕には何が秘められているのか!?




 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
いよいよここまで来ましたね。次はアルバレスの16(セーズ)のメンバーの紹介的な話です。 
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