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こんなチートでもありですかい?そうですかい。

作者:わいわい
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第10話。変人と管理者。

姉ちゃんが我が家に来てはや3年ほど経ち、今日は俺とシロちゃんの卒業式。

親父も姉ちゃんも舞弥姉ちゃんも父兄席で式に参加。速くも泣いている親父。

バカな・・・・まだ始まっとらんぞ。

周りのお母様方に温かな目線を送られる親父。姉ちゃんが恥ずかしそうだ。





「一年生!」
「始めての友達、始めての学校!ランドセルを背負い、新しいことで不安と希望でいっぱいだった!!」
「「「「「「「入学式!」」」」」」」

いきなり何事かと思うかも知れんが、これも卒業式の一環。

小学校で体験したこと、学んだことを卒業生が言葉にし、成長の証と未来への希望を発する。

俺のかつての記憶ではこんなことをやった覚えがないからの、新鮮で楽しくやらせてもろうておるわ。

正直、保護者達にはクリ―ンヒットらしく、皆々さま号泣です。言葉言葉でその時の記憶がよみがえるのかの?

親父?言わなくても分かるわ。

そんなことはどうでもええんねん。もうすぐでお待ちかねのイベントやねん。おっ!次や次!!

「勝利を目指して!一生懸命練習した!!」
「「「「「「「運動会!」」」」」」」」

シロちゃーーーーーーーん!シロちゃん!!ヤベェ・・メッチャ感動した。

うぐうぐ・・あのかわいかったシロちゃんが、あんなに凛々しくなっちゃって・・。天国のお父さんとお母さんも見ておるで。





SIDE 衛宮切嗣





「うぐうぐ」
「泣きすぎよキリツグ。ほら、鼻水。」

だって・・今までのことがブワぁーってよみがえってきてさ。

春・夏・秋・冬、様々のことを子供たちと経験して、僕も一緒に成長・・いや、『人間』に成っていった。

「うぅ・・イリヤも知ってると思うけど、『僕ら』は普通の家族としての関係を送れない。僕自身も、おそらく一般の子供が抱く親への想いとはかけ離れてると思う。」
「キリツグ・・・・」
「けど、晋吾や士郎達の成長が、嬉しくって、誇らしくって、『僕の子供達です!』って自慢したくて。・・これって『親』としての証拠なのかな?」



その言葉に感極まって感涙してしまう周りのお母様。父兄席の全員が涙を流す奇跡の卒業式として、この小学校で語りつかれることになるのであった。





SIDE OUT





卒業写真も取り終え、友達と分かれた後、親父たちと合流しようと待ち合わせ場所に向かうと、他のお母さんたちに背中をバシバシ叩かれている親父がいた。

何した親父?挙句のはてにお父さんを大切にね?とかこんな良いお父さんいないよ。とか言われる始末。マジ何があった。

姉ちゃん達に目線で語りかけると、はぁーっと同時に溜息をつく二人。なんや、仲ええな。

「ごほん!さて晋吾、士郎。卒業おめでとう。」
「おう。」
「うん。」
「約束通り、卒業祝いですし食べに行くよ!」
「「わ~い!」」

昼はすしを食べに行き、夜は藤村の皆さまがお祝いしてくれるそうなので、御馳走になります。

2度目の卒業であるが祝ってもらえることは嬉しいので、本日はその祝福を素直に感謝し、味わうのであった。





卒業して、藤村組による連日のドンチャン騒ぎの数日後、姉ちゃんがこんなことを言って来よった。

「冬木の管理者っているんでしょ?ふと思ったけど、挨拶に言った方がいいじゃない?」
「管理者?」

なんやそら。市長さんのことかい?役所に挨拶にいくんかい。

「・・・・そこのおバカさんのために、頭に『魔術関係の』っとつけた方がいいかしら?」
「おバカさんってだれやー?」

後ろを向いたら親父がいた。・・・・フッ。

「冬木は日本でも有数の霊地よ。だから多くの魔術師が暮しているわ。土地と魔術師の管理とこれらが起すコトの責任者が管理者よ。」
「多くのって100人ぐらい?」
「そんなに魔術師がいるわけないでしょ!何十人もいたら多いどころじゃないわよ。」
「ふ~ん。」
「でもイリヤ。別に僕はここで魔術の研究をやるつもりとかないんだけど・・」
「何言ってるのよ。何も言わないで暮らしてみなさい。魔術師は存在が分かっただけで警戒するものよ?晋吾のこととかがバレたら面倒ですまないわ。それにシロウだって。」
「そうだね。晋吾は大概のことは平気だろうが、士郎はまずい。」

何がや。

「シロちゃんを仲間外れにしたら俺、怒るで?」
「そう言う訳じゃないよ。士郎にも一応魔術を教えてるからね。それに・・・・」
「投影ね。私も始めて見た時は引いたわ。」
「そう、投影だよ。」

?投影??

「士郎に教えた魔術なんだけど、なんだかよくわかんないモノになっちゃってて・・」
「なんやそれ?どう言う意味かさっぱりやわ。」
「普通の投影とは微妙に違うものになったということよ。」

親父曰く、習い始めてから2年間強化ばかりしていいたシロちゃんは、流石に飽きてきたらしく、親父にその発展形のものを教わったらしい。

それが、投影魔術・・グラデーション・エア。なんや、めっちゃカッコいいやないかシロちゃん。厨二っぽいけど。

「なにができるとか、もちろん言わなくていいから、魔術師であることは言っておいた方がいいわ。」
「知られたときに魔術師であると分かっているのと、分かってない状態をくらべると、確かにそうだね。」
「そう言うもんかの?」
「いざとなれば衛宮の奥義ってしておけばいいしね。」

せやからって、なんで挨拶に行かねばならんのよ。・・・・裏社会は何であれ『筋を通す』が必要なのか





親父が場所は知っているらしく、何故か知らんが俺も行くことになる。

ひとりで行けや。え?何?一人だと怖い?子供かっ!?

親父が言うには管理者、『遠坂』さんの家に近づくにつれ、何故か人の気配が皆無になる。

「・・・・凄まじい霊気だよ。全く・・」
「霊気?」
「ここは日本有数の霊地である冬木で、二番目に霊気が強い場所なんだ。」
「ふーん。」

霊気が強いとなんかいいことあんの?土地神とかいんのか?ウロ様とか居そうな雰囲気だけど、それじゃ違う漫画か。ドーナツが生える木が欲しいですウロ様。

「・・・・なんで拝んでるの?」
「なんとなくじゃ。」

こうして、豪邸といってもいい家(なぜか若い時に見た風○鶏の館に超そっくりだが・・)にたどり着いたのだが、呼び鈴がないぞ。

「呼び鈴ないんやけど。」
「うちもなかったじゃん。」
「俺がつけたけどな。ないと不便やん。」
「そうかな?僕はそう思わないけど・・」
「ヒッキーには必要ないからの。」
「ヒドィ!!」

うだうだ話していると玄関の前に家の人が近づく気配がする。

「来たで、親父。」
「ん。そうか。」

しばらく待っていると

「人の家の前で何を話してるのかしら?」

可愛らしい嬢ちゃんが一人。

なんや。偉くカワええのが出てきたの。管理者ってから堅物のおっさんが出てくるんやと思ったわ。シロちゃんと同い年ぐらいやろか?

「・・・・君が冬木の管理者で合ってるかな?」
「っ!そう魔術師ってことね?・・私が管理者の遠坂 凛よ。何かご用かしら?」

なぜか警戒心バリバリの嬢ちゃん。

「なんやー。そんな警戒せんでもええやないか。」
「えっ!?」

パッチリお眼目を見開かせ、驚く嬢ちゃん。

「誰!?」
「なんやー。そんな驚かんでもええやろ。」
「すまない。僕の息子だよ。」

そういって頭を下げる親父。

「実はここ冬木に腰を下ろさせて貰っていてね。念のために挨拶に来たんだ。」
「へぇ。律義ね。」
「申し遅れてすまないが僕は衛宮 切嗣と言う。こちらは息子の晋吾だ。」
「よろしゅう。」
「別に住むことには苦言はないわ。しかし、厄介事はごめんよ。」

キッ!っと目を鋭く睨ませる嬢ちゃん。うーん。カワええ子はどんな顔してもカワええのぅ

「分かっているさ。そちらの研究に干渉するつもりもないし、協力をお願いすることもない。」
「そう・・・・」
「ただ、息子たちと仲良くしてくれると、うれしいな?」

親父がそう言うと、何言ってるんだコイツ?って目で見る嬢ちゃん。

「・・・・悪いけど、馴れ合いをするつもりはないわ。」

そういって扉を閉める嬢ちゃん。





・・・・なるほど、友達がいないんですね。分かります。





次の日。

「り~ん~ちゃ~~~~ん!!」

シーン・・・・

「り~ん~ちゃ~~~~ん!!」
「・・・・何よ。」

私不機嫌です!って顔でドアを開ける凛ちゃん。

「凛ちゃんそこは「は~あ~い!」って答えないとダメやで。ジブリ的に。」
「ジブリ?」
「なんや凛ちゃん。ジブリ知らんのか?今度持って来たるわ。」
「え?ええ。ありがとう。」
「玄関まで態々行くの面倒やないの?呼び鈴つければええやん。」
「機械とか苦手なのよ。」
「呼び鈴とか機械の内に入らんで?」



「・・・・一ついい?」
「なんじゃ?」
「何しに来たのかしら?」

いい笑顔で訪ねてくる凛ちゃん。

「遊びに来たんよ」(キラッ)

いい笑顔で返す俺

「そう。さようなら。」
「待ってえな凛ちゃん。」

勢いよく閉まる扉を、超反応で止める俺。

「何すんのよ。」
「それはこっちのセリフや。」

ギリギリと悲鳴を上げる扉。

「馴れ合いはするつもりはないって言ったでしょ?」
「そんなんいっとるから友人ができないんやで?」
「あなたには関係ないでしょ!!」
「凛ちゃんを心配しとるんがな。」
「余計なお世話よ。」
「何いっとるんや。友人は宝やで?宝。大切にせなあかん。」
「魔術師の私には必要ないわ。」

ほぉ・・必要ないと申したか。

「作ったこともないのにどうやって必要ないと判断したん?」
「それは・・・・」
「なんや、魔術師って実験も論証も無いまま判断するもんなんか?」
「なっ!」
「アッ、みんながそうだっていうのはナシやで?まぁ『有象無象』と同じでええなら別にかまへんが。」
「むむっ・・・・」

有象無象に反応するか。プライド高いやっちゃなー。

「一人で薄暗い中研究研究。えらい陰湿やな~。汚い、汚いで。『気品』の欠片もない。」
「ぐぐ・・」

今度は気品で反応したわ。なるほど、豪邸やし、常に上品であれ。とかの家訓でもあるんかの?

「冬木の管理者ってんやから友人の一人や二人ぐらいいるべ?」
「もっ・・もちろんよ!」
「せな俺の一人ぐらい増えたってかまへんやろ?」
「フッ・・当然ね。一人でも二人でも百人でもドンと来なさい。」
「お~流石は遠坂の御当主や。」
「ホッ~ホッホッホ!」

クックック。相変わらずプライド高い奴は扱いやすいわ。カァ~ッカッカッカ!





「ねぇ。」
「なんや。」
「どうして私の家で珈琲飲んでるの?」
「ん?別に俺が入れたんやから飲んでもええやん。凛ちゃんやて俺が入れたの飲んでるやろ?」
「そうなんだけど・・・」
「なんや?不味かったん?入れなおすか?」
「いや。美味しいけど・・」
「それは良かったわ。ケーキどう?うちの自慢の弟が作ったんねん。」
「ええ。すごくおいしいわ。」

美味しい珈琲とケーキを口に入れつつ凛は思った。





どうしてこうなった・・・・ 
 

 
後書き
赤い悪魔もまだ少女なのさっ・・

がコンセプト。友達以上恋人未満の関係にしていきたいと思う。 
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