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変わる顔

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第一章

        変わる顔
 豊後未夢と筑前梓希は探偵をしている、二人共大隅恵美が経営する事務所で働いているが今回は。
 恵美が別の仕事に集中していて二人がその依頼を受け持つことになった。
 未夢は楚々とした大人しい感じの黒めがちの瞳に白い細面、小さめの赤い唇に高めの鼻、首を完全に覆って余る高さの細い質の黒髪という外見だ。すらりとしたスタイルで背は一五七位だ。
 梓希はショートヘアを金髪にしており少しふっくらとした頬に紅の笑みを浮かべた唇、優し気な目と黒い眉を持っている。ボーイッシュな外見で背は一六五程だ。
 その二人にだ、依頼主は事務所で険しい顔で話していた。
「この様にです」
「連続殺人事件、ですか」
「それも七人もですか」
「はい、お話した通りにです」
 まさにとだ、依頼主の老人は二人に話した。
「次から次に。この数ヶ月で」
「貴方の会社で、ですね」
「七人も殺されたんですか」
「はい、どの人も急にです」
 まさにというのだ。
「急に苦しみだしてです」
「そして、ですか」
「死んでいっている」
「調べてみればですか」
「飲んでいた飲みものに毒が」
「ペットボトルの飲み口に塗られてもいて」
「そうです」
 老人は憔悴しきった顔で二人に話していた。
「これが」
「警察は殺人事件だと言っているんですね」
 未夢が老人に尋ねた、並んでソファーに座っている自分達の向かい側に座って話している老人に対して。
「そうなんですね」
「はい、しかし」
「犯人がわからない」
「それで警察もお手上げです」
「会社の中で事件が起こってますよね」
 梓希は老人にこのことを確認した。
「飲みものや飲むところに毒が塗ってあって」
「即効性の猛毒が」
「そうですか、じゃあ犯人はです」
 梓希は考える顔になり老人に述べた。
「それなら」
「社内にですね」
「いますね、しかし毒が何か」
 梓希はさらに言った。
「それが問題ですね」
「社内の方でしたら」
 未夢も言う。
「すぐに調査をしてです」
「しました」
 老人は未夢にすぐに答えた。
「全社員の身元、そして」
「人間関係に何を買ったかも」
「警察が調べてくれましたが」
「それでもですか」
「一切怪しいところはなかったです」
「今は危険物を購入すれば」
 毒なり銃刀類をというのだ。
「すぐにわかりますしね」
「はい、警察はそこから調べたのですね」
「わかる筈ですが」
 しかし、というのだ。
「それがです」
「一切わからないのですね」
「そうです」 
 こう未夢に答えた。
「これが」
「そうですか、ですが」
「ですが?」
「毒は普通に作ることも出来ますし」
「普通に?」
「はい、これは言い伝えですが」
 こう前提してだ、未夢が話した毒はというと。
「カンタレラという毒もあります」
「カンタレラ、ですか」
「かつてイタリアにボルジア家という家がありまして」
 スペインにルーツのある家だ、ローマ教皇に就いて権勢と謀略を欲しいままにしていたことで知られている。 
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