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予感

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第三章

「そうしましょう」
「道を変えるのか」
「次の場所に行くにもね」
 それでそこから東京に帰る予定だ、私達の住んでいる場所に。
「そうしましょう」
「遠回りになるぜ」
 道を変えると、とだ。彼は私に眉を曇らせながら言ってきた。
「それもかなりな」
「ええ、けれどね」
「悪い予感がしてか」
「そう、それでね」
 私は彼にさらに話した。
「言ってるけれど」
「御前の勘は当たるからな」 
 彼も私のこのことは知っている、結構長い間付き合っているせいで。
「聞くけれどな」
「有り難う」
「けれど何なんだ」
 首を傾げさせつつ私に言ってきた。
「それで」
「だからそれはね」
「よくわからないか」
「ええ、けれどね」
 それでもというのだ。
「別の道にしましょう」
「それじゃあな、遠回りで行くぜ」
「そっちの道も調べておいてくれていたのね」
「雨とか降ったらあの道危ないからな」
 この辺りかなり真面目なライダーの彼らしかった。
「調べておいたさ」
「じゃあその道で」
「行こうな」
「ええ」
 こう話してそのうえでだった、私達は食事の後その遠回りの道で目的地まで進んだ。そしてだった。
 その後でだ。私達は東京に帰って二人が一緒に住んでいるアパートでテレビのニュースを観ていると。
 彼はそのニュースを観てだ、たまたま本を読んでいた私に言ってきた。
「おい、大変だぞ」
「大変って?」
「ああ、今日ツーリングに行った道あっただろ」
「まさか」
「御前が行くなって言った道でな」
 まさにその道でというのだ。
「大変なことがあったぜ」
「大変なこと?」
「土砂崩れがあったんだよ、しかも俺達が行こうとした時に」
 まさにその時にというのだ。
「起こったらしいな」
「じゃあひょっとしたら」
「俺達が土砂崩れに遭っていたかもな」
 そうなっていたかも知れないというのだ。
「本当にな」
「危なかったわね」
「御前の勘に助けられたな」
「ええ」
 正直ほっとしてだ、私は彼に答えた。 
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