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予感

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第一章

           予感
 私は勘がいい、このことには自信がある。
 この時もそうでだ、お昼休みの時に皆に言った。
「夕方雨降るわ」
「えっ、晴れてるわよ」
「雲あまりないじゃない」
「それでも降るって?」
「そうなの?」
「そんな気がするの」
 私は友人達に話した。
「だからね」
「ううん、あんたの言うこと当たるからね」
「勘いいからね」
「そのせいでね」
「ええ、そんな気がするから」
 予感、それがするからだ。
「だからね」
「夕方ね」
「それじゃあ今から傘買う?」
「購買部でね」
「私折り畳み持ってるから」
「私置き傘してるから」
 皆それぞれの備えの話もした、そして私もだ。
 確か鞄の中に折り畳みを入れていた、けれどチェックの為に鞄の中を確かめると実際にだった。
 折り畳みの傘があってだ、皆ににこりとして言った。
「大丈夫だったわ」
「あっ、そうなの」
「あんたはちゃんと傘持ってるの」
「じゃあ夕方雨が降っても大丈夫ね」
「あんたの予感通りになっても」
「ええ、大丈夫よ」
 実際にと皆に答えた。
「よかったわ」
「けれどこの天気で降る?」
「もう快晴って言っていいけれど」
「これで降ったらね」
「ちょっと凄いわ」
「何かそんな気がするだけだから」 
 私は皆にこう断った。
「降らないかも知れないわ」
「予感は予感だからね」
「予報じゃないしね」
「それはね」
「当たるかどうかはね」
「わからないわね」
 結局はそうだ、予感は予感だ。確実なものじゃない。私自身このことはわかっている。けれどだ。
 この時は予感通りになった。一時辺りから急に天気がおかしくなってだ。
 夕方には完全に曇りになり雲も厚くなっていてだ。部活が終わる時には雨で私は家まで傘をさして帰った。
 そして次の日だ、クラスで皆に言われた。
「昨日降ったわね」
「夕方から土砂降りだったじゃない」
「あんたの言う通りだったわ」
「予想当たったわね」
「ええ、そうね」
 私も皆に答えた。
「当たって何よりよ」
「勘いいって便利ね」
「何かとね」
「ええ、確かにこの勘には助られてきたわ」
 私自身にしてもだ、傘を出してさしながら皆に話した。
「何かとね。ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「何かね」
 微妙な顔になってだ、私は皆にこうも言った。雨はかなり強くてそれこそ傘がないととても進めない。
「信じられないこともあるのよ」
「信じられないこと?」
「っていうと何?」
「何があったの?」
「ええ、ここは行ったらいけないって場所だって感じて行かなかったら」
 すると、というのだ。
「後で聞いたらそこ治安が悪い場所だったりして」
「それよかったじゃない」
「行かなくてね」
「若し変な人がいたらね」
「何をされていたか」
「そうも思ってね」
 それでというのだ。 
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