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エアツェルング・フォン・ザイン

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そのよん

「……」
「……」
今、向かいあってテーブルに座っている。
「ねぇ…」
「ひゃい!」
彼女に声をかけられ変な声を上げてしまった。
「自己紹介をしましょう?」
「わかった」
でも、俺って話せる事が無いんだよな…
「先ずは私から…私はアリス・マーガトロイド。
種族は魔法使いよ、能力は『人形を操る程度の能力』よ」
そう言って彼女は人形を操って見せた。
「この娘は上海、私が始めて作った人形よ」
「シャンハーイ!」
ふふ…思わず頬が綻んでしまった。
「次はあなたの番よ」
「俺は……」
俺はなんという名を名乗るべきなのだろうか?
明日葉灯俊?ポイズン・トード?相談役?星騎士?
どれも、俺だ。
でもどれも違う気がしてならない。
だから…
「俺の名は…あなたが決めてください。アリスさん」
「私が?どうして?」
「俺は、既に死んだ人間です。もう今までの名は名乗れません」
「そう…わかったわ…」
俺の願いに彼女は応えてくれた。
彼女は数分程考え…
「ザイン」
「?」
「それがあなたの新しい名前。
意味は…」
ザイン…俺が前世で好きだったロボットアニメの主人公機。
意味はたしか…
「存在、ですか?」
「ええ、そうよ。あなたが消えないように。ここに居ると示す為に」
ザイン…ザイン…存在…それが俺の名前…
「わかりましたアリスさん」
でも俺って自分が何なのかもわからない。
「あなたの種族は多分、妖精ね」
「妖精?」
って事は…やっぱり俺はALOアバターなのか…ちっさいけど。
「ええ、そうよ。あなたはおそらく妖精よ。
少なくとも妖怪ではないわ」
「えらく曖昧ですね」
「だって男の妖精なんて始めて見るもの」
え?
「男の妖精っていないんですか?」
「ええ、恐らくあなたが始めてよ」
まじかぁ…
「そう…ですか…」
「あら?あなた以外は全員女の子よ?」
「喜べと?あいにくそんな余裕ないよ…」
「あらそう?ごめんなさい」
そう言うと彼女はクスクスと笑った。
俺は気になった事を聞いた。
「あのー俺に程度の能力ってあるんですか?」
その問に対する彼女の回答は…
「恐らくあるわ、でもそれが何の能力なのかはわからないわ」
「そうですか…」
「だけど」
「だけど?」
「あなたが着ていた鎧、あれは恐らく能力によるものね?」
鎧?
「あなたが気を失うと同時に消えたもの」
そういえばこの家に鎧は無い。
「あの鎧、出せるかしら?」
ストレージ開けないしな…念じたらでるかな?
まぁやるだけやってみよう。
「来い」
その一言で、俺はフルプレートアーマーに包まれた。
あぁ…そうか…
俺に一つの言葉が過った。
「キャスト・オフ…」
今度は鎧が消えた。
次は…
「コンバットクロス・オープン」
髪が伸び紫から黒に染まる、体が物々しいベストに包まれた。
腰に手を伸ばし…
ジャキッ!
紅をメインカラーとした二丁の拳銃を構える。
「コンバットクロス・クローズ」
全ての装備が光になって消えた。
「GGOアバター・クローズ」
先の事象を逆再生するように、髪が短くなり、黒から紫になった。
彼女に声をかけられた。
「それが、あなたの能力?」
「ええ、そうです」
「姿を変える程度の能力…かしら?」
いや、違う。この能力はそんなに便利な物じゃぁない。
それにこれは、俺の前世その物。
「化身(アバター)である程度の能力…それが俺の力です」
 
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