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エアツェルング・フォン・ザイン

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そのさん

「あら?妖精が私の家にいったい何の用かしら?」
えっと…
「あ、あ、あ…」
俺は驚きのあまり何も言えなかった。
どういう事だ!?ここはアンダーワールドじゃないのかよ!?
幻想郷!?んなばかな!?
幻想入り!?それは創作だろ!?
じゃぁ彼女はなんだ!?
ここはどこなんだ!?
STLの中か!?
別のゲームか!?
俺は誰だ!?
「おれ…は…」
ガシャん!
混乱し体から力が抜けていった。
視野が狭まり…
意識を失った。






ピシッ…
「知らない天井だ…」
「あら、起きたのね?」
御約束のセリフに誰かが応えた。
そちらを向くと金髪の女性が居た。
「玄関先でいきなり倒れられたのだから驚いたわ」
あぁ…そうだ…そうだった…
「すいません…」
ピシッ…
彼女は俺よりもかなり長身…いや、俺が縮んだのか…
ははっ…APTX4869なんて飲んでねーのに…
それに…思考がおかしい…まるで精神年齢が若返ったかのようだ…
体を起こす、どうやらベッドに寝ていた様だ。
「起きて大丈夫なの?」
「ええ…大丈夫です…」
大丈夫な訳…無いだろう…
右手でS字を描く、はは、窓、出ねぇや…
その後右手左手、指二本三本と試したが何も出なかった。
ピシリ…
「ここは…どこですか?」
俺は、解りきった質問をした。
「あなた…いえ、ここは幻想郷。
忘れ去られた者の楽園よ」
はは…そうか…そうか…
葵…ショウ…
「そっか…幻想郷か…はは…ははは…あははははは!」
そうか…そうか…ああ、クソッ…
ピシッ…
「ちょ、どうしたのよ!?」
ああ、俺は死んだのか。
転生したのか。
もう、アイツ等に会えないのか。
父さん…
母さん…
ショウ…
照秋…
葵…
俺は、また、皆と別れるのか…
普通なら、こんな経験、一度もないだろうに。
もう…二回目だ。
ピシッ…
「はは…は…」
転生、それは次の生の始まり。
俺だって昔は憧れがあった。
でも、でもさぁ!
また、アイツ等に会えなくなるなら…
こんなまま生きるなら…
あのまま、死んだ方が…
そう思うと、俺の体から光が零れた。
否、俺の体が光になっていく。
ああ、消えるのか。
もしも次に生まれ変わるならば…
全てを忘れて…
ピシピシピシィッ!
亀裂の入った心が…
フラクトライトが崩壊する直前。
俺は抱き締められた。
「ふぇ?」
「あなた、消える気なの?」
そう、聞かれた。
「うん、俺はもう、皆に、会えないから。
だったら、もう…」
死んだ方がいい、心に、二つも穴を抱えて生きるなら…
「その『皆』があなたの消滅を…望むと思うの?」
え?
「あなた、外で死んだのでしょう?」
コクリ、と肯定する。
「でも、あなたの魂は今ここにある…」
彼女は俺の目を見て言った。
「その魂すら消えてしまう事を、あなたの言う『皆』が、望むと言うの?」
そんな…わけ…
「そんな訳無い!」
俺は叫んでいた。
「なら…消えたりしてはダメ」
うん…
side out




「眠ってしまったわね…」
いきなり現れた男の子…
今は泣き疲れて眠っている。
彼は、いったいなんなのだろうか?
彼の気配は完全に妖精のそれだ。
身長だって100センチと少しくらい、標準的な妖精の身長だ。
でも…
「男の妖精…始めて見るわ」
探査魔法の結界出た性別は男だった。
基本的に妖精は女の姿を取る
それに…
「あの鎧…」
彼が倒れたと同時に消滅した鎧と剣…
それと…
「彼は…外の世界で死んだって…」
『死』いかなる者もそれを拒む。
『死』とは、どんな物なのだろう?
ぽふぽふ…と頭を撫でる。
「うぅん…」
「ふふ…」
少し、様子を見ましょう…
それと博麗神社に行きましょう。
妖怪の賢者なら、もしかしたら彼を…
『正化(せいか)』の世に、帰せるかも知れないのだから。
 
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