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ジオン公国転生記

作者:正博
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第7話

 UC0093
 
 ネオジオンが蜂起、シャア改めキャスバル・レム・ダイクンとして立ち上がった。
 モニター画面に映るシャアの姿を見て、ギレン兄達のほとんどが気が付いた。
 
 ユーリ「シャアは独自路線で動くようだね」
 ギレン「その様だな」
 サスロ「強気だな」
 ガルマ「何故その様な事が分かるのです」
 キシリア「分かっていないのはお前だけです。ガルマ、ペンダントを見てごらんなさい」
 ガルマ「!ああ、シャアのペンダント緑に変わっている。以前見た時は青だったのに」
 ギレン「サスロ、資源衛星の大きな奴を2つ、スィートウォーター方面へ流せ。アクシズはサイド7防衛に必要だ。キシリア、核ミサイルを幾つ出せる」
 キシリア「すぐですと15基。急げば後10基は」
 ギレン「急いでシャアに25基渡してやれ、ユーリ」
 ユーリ「MSと艦だね。改修前がギラドーガ・120機、改・20機、レウルーラは無いけどムサカが30隻だね」
 ギレン「それでいい、シャアに全部送れ。それと私用の予備のナイチンゲール改修前だったな、あれも送れ。連邦の監視が強くなる前に急げ!」


 皆が執務室から出た後、ギレンはシャアに連絡を入れていた。

 シャア「ギレン総帥、長い間連絡もせずに済みませんでした」
 ギレン「もうよせ。お前が転生者である事も、ジオンに忠誠等欠片も無い事も、知っている」
 シャア「フフフ、いつから気付いていた」
 ギレン「最初からだ。ザビ家は全員転生者だからな。ユーリはイレギュラーだがな」
 シャア「通りでサスロが生きている訳だ」
 ギレン「そういう事だ」
 シャア「それで何だ。今更、手を組みたいとでも」
 ギレン「それは無い。しかし、お前がアクシズを狙っているのは知っている。手を出さんなら、アクシズより小型だが資源衛星2つと、核ミサイル25基、MS140機、ムサカ級30隻を代わりに渡そう」
 シャア「嫌だと言えばどうする」
 ギレン「スィートウォーターが、光に消えるだけだ」
 シャア「ソーラレイか。チィ、分かったその条件受けよう」
 ギレン「10日もあれば荷物が届く。死ぬなよシャア。じゃーな・・・」
 
 ギレンは消したモニター画面を、悲しそうに見続けていた。


 UC0093 3月
 
 シャアは5thルナを、地球連邦本部があるラサへ落とす事に成功した。
 地球連邦はまだ、シャアがスィートウォーターを手に入れる為の恫喝だと考えていた。
 その為、サイド1のロンデニオンコロニーで武装解除を条件にスィートウォーター割譲を決める話し合いが行われた。
 シャアはロンデニオンコロニーで、アムロと会うのを楽しみにしていたが、結局会えなかった。
 クエスには会えたがシャアの心は晴れなかった。
 
 それから2日後、ギレンから衝撃の話を聞かされた。
 
 ・過去、現在、連邦軍にアムロ・レイと言う人物はいない事
 ・ロンド・ベルと言う部隊は存在しない事
 ・ホワイトベースに民間人を乗せた事は1度も無い事

 この話を聞いた当初は、シャアは信じなかったが自分で調べるうちに真実と分かり、シャアは心が壊れた。
 シャアに転生したのは、アムロとMSで血沸き肉躍る戦いをやりたかったからだある。
 クエスがまとわりついて来るのを、疎ましく思ったシャアはクエスを強化して、ロボット人間にしてしまった。
 それに対して文句を言ったギュネイも、再強化して同じくロボット人間にしてしまった。
 もう誰もシャアに口出しする者はいなくなった。
 
 ジオンが寄越した資源衛星に核ミサイルを10基搭載して、ダカールに落とした。
 核ミサイル10基と資源衛星が爆発数百万の都市は一瞬で消え去った。
 そして大量に巻き上がった粉塵は、昼でもなお薄暗い世界を作り出していた。
 もう1つの資源衛星はニューヤークに落とされた。
 この時になって連邦政府は漸く、シャアは本気で地球に人が住めない星にする気だと感じた。
 
 ルナⅡより漸くシャア討伐艦隊が出港しょうとしていた。
 その時、港口から5発の核ミサイルが飛び込み内部で爆発した。
 シャアが最後に残しておいた核ミサイルであった、発進しょうとしていた艦艇は薙ぎ払われ、人は一瞬でこの世から消え去った。
 シャアはルナⅡを止めとして最後の衛星爆弾に使用して、地球寒冷化作戦完了とするつもりであった。
 

 その様子を見ていたザビ家では。

 ユーリ「シャア、無茶し過ぎじゃない」
 ギレン「あれは、シャアでは無い。アムロと戦えなかった抜け殻だ!」
 サスロ「だが連邦政府もおかしい。反撃の手が遅すぎる」
 ギレン「初動に政治家共に邪魔をされ、動きが遅くなっているのだろう」
 ユーリ「アムロは何故いないのかな。人気では上位だと思ったのに」
 ギレン「アムロは存在していた」
 サスロ「では何故」
 ギレン「我々の責任でもある。ティターンズを早く作りだしたせいでティターンズに殺されたのだ」
 ユーリ「ティターンズに」
 ギレン「正確には、ティターンズに転生者がいてアムロの成長を恐れて暗殺したのだ」
 サスロ「ひょっとすると!」
 ギレン「ブライト、カイ、ハヤト、セイラ、ララア等原作開始前に活躍した人物は暗殺されている」
 ユーリ「ジオンは、俺はともかく兄さん達は」
 ギレン「ザビ家はダイクン派との確執があったからな暗殺対策ぐらいしている」  
 ユーリ「じゃあ、連邦がこれまでジオンを攻めなかったのって、転生者がいなかったから?」
 ギレン「それもあるだろうな。味方同士で殺し合い、連邦と言う巨大な組織を操れなかったのだろう」
 サスロ「だが整理され連邦もその内攻めて来るぞ」
 ギレン「連邦は後だ、シャアの次の狙いはジオンだ」
 ユーリ「シャアならザビ家打倒しか残って無いか」
 ギレン「ドズル、キシリア警戒を怠るな。ガルマ、ア・バオア・クーには私が入る。残りはサイド3だ」
 ユーリ「ガルマ兄。早く、俺達はサイド3を守らないといけないの」
 ガルマ「ユーリ! 兄さん達が負けると言うのか」
 サスロ「馬鹿者! ハマーンに警戒しろと言う事だ」
 ガルマ「何故ハマーンに警戒を?」
 ユーリ「あのね。ハマーン姉はシャアが好きなの。シャアが敵対するならシャアに加勢に行くよ」
 ガルマ「だから3人を守りに」
 サスロ「そう言う事だ」


 一方、シャアの方では、ルナⅡに核パルスエンジンを取り付けて以降動きが無かった。
 漸く連邦軍第2艦隊、第4艦隊、第6艦隊が到着しMSの発進を始めた。
 又、地上からブースターを取り付けたZⅡが8機上がって来た。
 それでもシャアの艦隊は動かなかった。
 それを見た第2艦隊司令はシャアが流石にこの数に恐れを抱いたと思った。

 シャア「クエスやれ」
 
 モニター画面のクエスが無表情で頷いた。
 突然、大気圏突破してきたZⅡ8機が、次々爆発して全滅した。
 次に第6艦隊が発進させたジェガン隊諸共メガ粒子砲で消滅した。
 同じく第4艦隊も左右からの5連装ビーム砲で壊滅していった。

 第2艦隊司令は、訳も分からず友軍が全滅し恐怖した。

 司令「何だ、何処からの攻撃だ!」
 索敵員「こんな馬鹿な・・・・・う、嘘だろ」
 司令「敵は何処だ。早く報告せんか!」
 索敵員「敵はルナⅡの後方に居ます。推定でも100m級の物体です」
 司令「馬鹿を言え。ルナⅡ後方に居てどうやって攻撃できる。それは隕石だ」
 索敵員「不明機こちらに、動き出しました」
 司令「まだ言うか。隕石が自由にう・ご・く・・・あ、あれは何だ!」
 索敵員「さっきから言ってる不明機ですよ!自分で見ても信じられませんか!」

 索敵員もパニックになって司令に怒鳴り返した。

 司令「撃て。全艦攻撃せよ! 攻撃だ!攻撃だ!」

 司令官の指示に、漸く我に返った艦隊より攻撃が始まった。
 ビーム、ミサイルありとあらゆる攻撃が命中していく。
 
 司令「化け物目思い知ったか。これで・・・な、何故だ」

 不明機はダメージが無かった。
 攻撃は続いており漸く、原因が分かった。
 
 司令「Iフィールドか」

 ビームはIフィールドで拡散し、ミサイルは重装甲を破壊出来なかった。

 司令「クッ。しかし撤退は出来ん、我々が引けば地球に人類が住めなくなる。攻撃は続けろ、ネェルアーガマに連絡。旗艦の真後ろから奴にハイパーメガ粒子砲を撃てと、そうだこの艦諸共だ。スマン、みんなの命俺にくれ。地球を守る為に」
 
 艦橋に重苦しい空気が流れたが、みんな覚悟を決め頷いた。

 司令「ありがとう。よし、作戦開始だ。ハイパーメガ粒子砲のチャージを隠す為、艦隊は密集隊形。MS隊は実弾装備で無い者は特攻覚悟で格闘戦を挑んでくれ。通信士、連邦軍本部に連絡。敵は100m級のMA1機を要する。Iフィールド、重装甲によりほとんどの攻撃が無効化される。ZZクラスのMSを3個小隊は必要と思われる。なお既に第4、第6艦隊は全滅、シャアの艦隊は無傷、早急に別艦隊の派遣を望む。我らは特攻覚悟の最終作戦を敢行する為、この通信が最後である以上」

 ジェガン部隊がMAに突貫して行く、ジムⅢがミサイル、バズーカを撃ち放っている。

 司令「ネェルアーガマに連絡。カウント不要、チャージ出来次第即ぶっ放せ以上」
 通信士「連邦本部より連絡。通信内容了解した。月から3艦隊、地球から5艦隊、近隣の部隊も急行中。MSZZ4個小隊、ZⅡ4個小隊も急行中」
 司令「我々の行為は無駄にはならない、それだけの部隊が揃えば、シャアの野望も打ち砕かれるであろう」

 それから3分後、ハイパーメガ粒子砲が旗艦諸共放たれた。
 確かに命中したが、それは廃棄された長距離用大型ブースターにである。
 シャアは見抜いていたその上で作戦に掛かったふりをして見せた。
 大型MAαアジールの性能を持ってすれば、数分で終わる作業である。
 
 キャスバルであればとっくにルナⅡを落としていただろうが、シャアは刺激を求めていた。
 だからルナⅡを落とさずに、戦う相手を待っているのだ。 
 30分程すると、レーダーにMSの編隊が接近するのを捉えた。
 シャアは自分が出ようとしたがナナイに止められた。
 一瞬怒りを覚えたが、レーダーが次々と反応が現れたので、出撃を次にするべく気を落ち着けた。
 取り敢えず、ギュネイとギラドーガ10機を出撃させた。
 相手はZⅡ・4個小隊12機であったが、6機がギュネイのファンネルよって瞬殺された。
 ZⅡ側は一瞬何が起きたか分からず混乱していたが、隊長により落ち着かされた。

 隊長「相手はニュータイプで多分ファンネル攻撃だろう。俺が相手をするからお前達はギラドーガを相手しろ」

 ZⅡ隊長はビームサーベルを抜き接近戦を仕掛けると、相手もビームサーベルで応戦してきた。

 隊長「やはり接近戦ではファンネルは使えまい」

 ZⅡ隊長は右手のビームサーベルを振りかぶろうと操作したが右腕に反応しない。

 隊長「何だ、動かん」

 機体モニタ―を見て驚いた、モニター画面の表示が殆んど赤なのだ、いつの間にか両手足が無くなっていたのだ。
 外部モニターを見ると、ファンネルが周囲に浮かんでいるのが見えた。

 隊長「くそが、接近しても使えるのか。この野郎」

 最後に頭部バルカンを使おうとしたら、外部モニターが切れた、頭部を切り落とされたのだ。

 隊長「脱出だ」

 その瞬間コックピットを、ギュネイのビームサーベルが貫いた。
 部下のZⅡは、ギラドーガを3機撃破、2機中破していたが、隊長がやられ動揺していた。
 そのヤクトドーガがこちらに向って来ると、1機が逃げ出したがファンネルにコックピットを撃ち抜かれ撃破された。
 
 残りZⅡ・4機、ギラドーガ・7機、ヤクトドーガ・1機である。
 その時突然、ギラドーガ6機がハイメガキャノンの光に消えた。
 ZZ4個小隊12機の到着である。

 レウルーラの司令席からシャアが立ち上がった。

 シャア「サザビーを用意しろ。私が出る」
 ナナイ「いけません。クエスを出します」
 シャア「ナナイ。1度は我慢した。私は総帥だ、君は私より偉いのか」
 ナナイ「違います。しかし総帥に何かあれば」
 シャア「最後の警告だ! 私の意見に逆らうな。出るぞ」

 シャアはMSデッキに出ると素早くサザビーに乗り込みハッチを閉じた。
 カタパルトにサザビーを固定すると、発進OKのランプが点灯した。

 シャア「サザビー出るぞ!・・・・戦闘宙域までだいぶあるが、行けるか! ファンネル」

 ファンネル6基が飛んでいく。
 暫くして戦闘宙域で4つの爆発光が見えた、ZZ・2機、ZⅡ・2機の最後だった。
 戦闘宙域に着くとZZ・7機、ヤクトドーガ・1機、ギラドーガ・1機となっていた。

 シャア「ギラドーガは帰投しろ」
 兵士「まだ戦えます」
 シャア「邪魔だと言うのが分からんのか!」
 兵士「わ、分かりました。帰投します」
 シャア「ギュネイ、まだいけるか」
 ギュネイ「はい、いけます」

 ZZはサザビーに5機、ヤクトドーガに2機で向かって来た。

 シャア「これは私を評価してくれているのかな」
 
 ZZは3機が射撃で援護、2機が格闘戦を挑んで来た。

 シャア「少し目障りだな。行けファンネル!」

 4基のファンネルが援護のZZに向って行った、すぐに爆発光が3つ見えた。
 格闘戦を挑んで来たZZは左右に分かれ、ハイパービームサーベルで斬りかかってきた。

 シャア「甘いな。ファンネル」

 残り2基のファンネルがそれぞれZZを爆散させた、ギュネイも終わらせて近づいて来た。

 シャア「物足らんが、帰るぞギュネイ」
 ギュネイ「はっ」

 シャアはサザビーをハンガーに戻すと艦橋に向った。

 シャア「もういい。ルナⅡの核パルスエンジンに点火。行け、ルナⅡ人類を宇宙へ羽ばたかせろ」
 索敵員「地球と月から連邦艦隊接近中、数8」
 シャア「もう遅い。相手にするな。スィートウォーターへ帰投する」
 
 ネオジオン艦隊はスィートウォーターへと帰投した。

 
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