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大阪の塗り壁

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第一章

               大阪の塗り壁
 篠倉香菜と中村詩織は共に同じ団地に住んでいる、その団地は大阪市北区、かつては大淀区と呼ばれた場所にある八条グループの社員と家族が住む集合団地の一つである。このグループの福利厚生の一つである。
 香菜はやや吊り目で茶色い髪の毛を後ろで束ねていて見事な胸を持つ身体をジーンズとシャツというラフな格好で包んでいる。背は一六五と日本女性にしては高い方だ。
 詩織は香菜より二センチ程低いが胸は彼女よりさらに大きい、穏やかで優しい目と顔立ちをしており豊かな黒髪を左に上品に束ねている。服装はロングスカートにガーディアンと露出の少ない品のいい感じのものだ。年齢は詩織の方が香菜より三つ上で二十八歳だ。二人共夫は八条グループの社員でそれぞれ神戸と京都に出勤している。
 その夫達についてだ、二人は今団地の近くの喫茶店で買いもの帰りに話していた。まずは香菜がコーヒーを飲みつつ詩織に話した。
「うちの夫大阪支社で働いるんですが」
「確かご主人八条電機よね」
「はい、そこの大阪支社にです」
「働いているのよね」
「最近業績がよくて」
 会社のそれがというのだ。
「忙しいみたいで」
「帰りが遅いのね」
「はい、家は近いんですが」
 同じ大阪市だけあってというのだ。
「もう九時がです」
「帰宅時間になってるのね」
「朝に出てそれですからね」
「ご主人も大変ね」
「そうなんです、ですから私も」
 少し苦笑いになってだ、香菜は詩織に話した。
「最近お料理のバランスをこれまで以上に考えて」
「作ってるのね」
「そうしてます、お野菜にお魚を多くして」
 そしてというのだ。
「特に大蒜とか生姜とか」
「スタミナ系ね」
「そういうの多くしてます」
「それいいわよ、やっぱりね」
「大蒜や生姜はですね」
「身体にいいから」 
 元気が出るからとだ、詩織は香菜に微笑んで話した。優しい感じの笑顔だ。
「だからね」
「お仕事で大変な時はですね」
「是非ね」
「お料理にもですね」
「沢山使うべきよ、あとお野菜だとね」
 詩織は香菜にさらに話した。
「人参とかお葱とか玉葱、キャベツもね」
「ほうれん草もですよね」
「そういうオーソドックスだけれどね」
「身体にいいお野菜をですね」
「どんどん食べてもらうといいのよ」
「そうですよね、主人幸いお野菜どれも食べるんで」
「だったらよ」
 それならと言うのだった。
「もうね」
「お野菜をですね」
「増やしていけばいいのよ、あとお魚もね」
「増やしてですね」
「正解よ、ただお肉もね」
 こちらもというのだ。
「力が出るから」
「食べると」
「だからね」
「食卓に出すべきですね」
「安いとだけれど」
「そうですよね、じゃあ鶏肉とか」
「いいわよ、あと個人的にお勧めなのはね」
 肉はとでだ、詩織は香菜に話した。
「羊よ」
「ラムとかマトンですね」
「安くてカロリーも低いし」
「栄養もあるからですね」
「これはいいわよ」
 羊の肉、それはというのだ。
「だからどんどん出していってね」
「そうですか、ただ主人羊は匂いが」
 肉のそれがというのだ。
「苦手みたいで」
「あら、そうなの」
「はい、ですから」
「羊は駄目なの」
「ラムは匂いしないですよね」
 子羊の肉はというのだ。 
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