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楽園の御業を使う者

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CAST4

長い長いトンネルを抜け、更にエレベーター登り、外へ出た。
クッソでかい畑に百近くありそうなビニールハウス。
家畜小屋と柵の中を歩く豚や牛や鶏。
発電所とおぼしき建物。
遠くに見えるビル。
更にその奥にある大きな屋敷。
俺は今、第四研究所跡地…四葉家に来ている。
「成る程…」
四葉が強気になれる訳だ。
食料は完全に自給自足が可能。
ライフラインは完全スタンドアローン。
そして少数で国を墜とせる魔法戦闘力…
「何が成る程なのかしら?」
俺の独り言に四葉真…真夜さんが尋ねた。
「四葉の秘密が漏れないのは全て『内側』で完結してるからなんだなぁ…と」
すると彼女は少女のようにクスクスと笑だした。
彼女と接して思ったが…ちぐはぐな人だ。
「貴方って本当に鋭いのね…
そうよ、貴方の言う事も理由の一つね」
そんな所に部外者を入れるなんて…いや、考えるのはよそう。
いざとなれば能力をつかって逃げよう…
そしてエレベーター脇に置いてあった車に乗り、本邸に向かった。
トンネル程じゃないけど結構長かった。
そして本邸…
「達也さん、白夜君を案内して差し上げて」
「かしこまりました」
そして、真夜さんとは別の方向へ歩く。
「達也、荷物持たなくていいぜ」
「お前には解らんだろうがこういう物だ。
諦めろ」
そんな物かねぇ?
「そか…で、どちらまで?」
「客室だ」
客室ねぇ…
「客なんて来るのか?」
「……………………」
「だろうな」
「心を読むな」
「読んでねぇよ、今の間なら誰でも解るっつーの」
「そうか…」
案内された客室は旅館の一室のようだった。
「ホテルみたいなのを想像してたが…」
「この家に合わんだろ」
それもそうか…
四葉家本邸はでかい和式の屋敷だ。
武家屋敷…とは少し違うがそこら辺の物を想像してもらいたい。
ウチ(千葉家)よりは小さいが、ウチは道場と一緒になってるから比べるのはおかしい。
「荷物はここでいいか?」
「どこでもいいが…」
畳に寝転がる。
あー…疲れた…
「で、この後の予定は?そもそも俺がここに来た理由は?」
「七時から夕食と言っていたから…あと一時間は自由だ。
お前がここに来た理由は俺が知っていると思うか?」
「そうだったな…」
あぁ、それと…
「ここって墓か何かなのか?」
「何を言っている?」
「ここ…物凄く『死』を感じるんだけど」
死を操る程度の能力は『死』を感じる力を高める。
ここは『死』で溢れている。
それに、さっきから怨霊らしき人魂がチラチラ…
エレメンタルサイトで見えないのか?
「そうか…『気のせい』だろ」
「そうか、俺の『気のせい』なんだな…」
『気のせい』つまり、深入りするなって事か…
「白夜」
「んー?」
「再従兄弟が来ているのだが…会うか?」
再従兄弟?黒羽姉弟かな?
「あー?別にいいけど?」
起き上がり、達也の案内で別の部屋に向かった。
「亜夜子ちゃん、文弥、俺だ。
入ってもいいかい?」
どうぞ、と声がして、達也が扉を開けた。
「亜夜子、文弥。彼が例の魔法師だ」
「こんにちは、黒羽文弥です」
「黒羽亜夜子です」
と挨拶をされたのでこちらも挨拶する。
「千葉白夜、よろしく」
すると…
「白夜ちゃん!女の子ならもう少し可愛い格好をしませんと!」
ゴスロリドレスを突き出されながら言われた…
ぷちん…
「俺は男だ!しかもお前らより歳上だバッキャロー!」
と、俺よりも少し背が高い黒羽亜夜子を見上げながら言った。
 
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