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楽園の御業を使う者

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CAST3

「四葉に来ない?」
「ふぁ!?」
「勿論あなたを養子に、なんて話じゃなくて、あなたを招待したいのよ」
「白夜、行ってこい」
親父ぃ!?俺を売りやがったな!?
「白夜君、どうします?」
目が!目が怖い!
「行かせて…いただきます…」
「そう、嬉しいわ」
全く嬉しくねーですよ。
誰が好き好んで魔王城なんぞに…
「では、後は若い二人に任せましょう」
と言って親父と風間さんと四葉真夜は出ていった…
は?
「えっと…大黒特尉?」
「達也でいいぞ…『相棒』?」
はぁ…
「えーっと…じゃぁ達也。何がどうなってるんだ?」
「本来なら風間中尉が一人で来る予定だったのだが叔母上がな…」
あぁ…成る程…
「そうか…で、なんで四葉家に招待なんて事になってんだよ?
四葉ってそういうの厳重だろ?」
「俺が知るわけないだろう」
バッサリかよ…
「はぁ…で、若い二人が残された訳だが何を話すんだ?」
「俺はお前の事を探れと言われている」
「あっさりバラしてんじゃねぇよ」
「お前はそっちの方がしゃべるだろう?」
「やな奴」
「褒め言葉として受け取っておこう」
チッ…
「では先ず、互いの得意分野から行こう」
いきなりだなオイ…
「俺は普通の魔法が得意でない代わりに"分解"と"再生"を使える。
近接戦はCQCベースだ」
うん、知ってた。
「俺は…これと言って得意なのは無い。
だが冷却魔法に関しては先日見せた通りだ。
近接戦は剣術だな」
と互いのスタイルを説明しあった。
「一ついいか?」
「ん?」
「その猫は飼い猫か?」
「そうだが?」
「なおー(見りゃ解るだろ)」
「そう言うな、燐」
「なー(はいはい)」
ふと、何か覗かれたような気がした。
これは…あぁ、そう言う事ね…
「いきなり他人のエイドスをピーピングってのは無いんじゃねぇのか相棒?」
「動物と話せるってどんな気持ちなんだ相棒?」
うわぁ…このドヤ顔ぶん殴りてぇ…
「なかなかに便利だぞ?それとこれは読心術の応用でな…
次にお前は『読心術だとっ!?』と言う!」
「読心術だとっ!?………はっ?」
ノッてくれてありがとう。
えー何々?『まずいこのままでは四葉の秘密が…いや、考えれば読まれるなら考えなければいい』
ふーん…
「正解だぜ相棒、今は表層意識しか読んでないからな。
お前の対処方であってるぜ。
それにまだ消されたくないからな」
「お前ならそうそう死なないだろう…」
何々?『魔法演算領域が…占有……』
と何やら難しい事を考え始めた。
「まぁ、そう言う事だ……」
俺は右手の爪を起点に圧切を発動させ…
ボトリ!
左手首を切り落とした。
"死ぬことの無い程度の能力"
直ぐに常時展開されている能力が発動した。
切り落とされた左手首が灰となり。
切り口から炎と共に左手首が再生した。
「な?」
「あぁ、そうだな…」
おいおい『コイツには勝てないかもしれないって?』
「安心しろ、相棒。お前が俺の家族に手を出さん限り俺はお前の敵にはならんぞ。
まぁ、それはお互い様らしいがな」
「ああ、深雪に手を出してみろ……一族党朗もろとも殺すぞ」
そして、部屋が莫大なサイオンで溢れた。
おいおい…なんて量だ…
成る程、術式解体を連発できる訳だ…
だけど…
"密と疎を操る程度の能力"
達也から放たれたサイオンを萃める。
「そのサイオン量なら術式解体だって連発出来そうだな」
「やってみるか?」
「残念、俺にそれは効かないぞ」
「ほう?」
達也が俺に右手を突き出し…
圧縮されたサイオンが放出された。
"密と疎を操る程度の能力"
今度はサイオンを散らす。
圧縮されたサイオンは直ぐ様形を失い、霧散した。
「ね?」
「そのようだな…」
「つーか、部屋の中で何してんだろうな俺等」
「言うな…」
と、二人してテンションが下がる。
「白夜、一ついいか」
「なんだよ?」
「お前…本当に人間か?」
失礼な…
「人間じゃないなら何だって言うんだよ?」
「お前の魔法演算領域…人間のレベルじゃない。
何故だ?」
魔法演算領域?
あぁ、成る程。
「達也、魔法演算領域って何処に有ると思う?」
「精神だろう?」
「そう、精神。知ってるか?精神と魂って別物なんだぜ」
「なに?」
「魂はその人間の本質。
精神は記憶と魂によって作られるパーソナリティ…
言うなれば魂がコアCPUで精神がコンピューター全体って所だな。
俺はちと特殊でな、魂そのものにも魔法演算領域があるのさ」
何故こんな事になってるかと言えば、一度死んで『魂』のまま活動した事があるからだ。
「魂…か…」
「精神だのなんだのは四葉の専売特許だろ?
叔母上殿に聞いてみろよ」
「そんな事態々聞ける訳ないだろう…」
「そりゃそーだ」
『今の』達也は単なるガーディアンでしかないのだから。
その後は他愛ない世間話をした。
なんだ、コイツちゃんと笑うじゃないか。
その間、起伏は小さいものの、確かに達也の感情は動いていた。
そして…
応接間のドアが開いた。
現れたのは四葉真夜だ。
「達也さん、帰りますよ」
「わかりました叔母上」
「白夜君もね」
へ?
すると四葉真夜の後ろから俺のトートバッグを持った修兄(シュウにぃ)が現れた。
「修兄?何それ?」
「お前の荷物さ」
「え?なんで?」
「今から行くんだろ?」
「何処に?」
「四葉家」
ふぁ!?
という訳で何の心の準備も出来ず四葉家へ向かう事になってしまった…
 
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