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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0288話『村雨嬢の戸惑う心』

 
前書き
更新します。 

 




先日に私の任務も終わらせられていい感じで布団に入って眠りについたのまでは覚えているんだけど、どうしたことだろうか……?
目を覚ました瞬間に私の目の前に夕立の顔がある……。
あ、夕立のまつげ長い……。
じゃなくって、いつの間に入り込んだのかしら……?
夕立はぐっすりと寝入っているし起こすのもなんか気が引けちゃうし……。
でも、ふと時計を見ればそろそろ起床ラッパが鳴り響くころだろうから起こさないとなにかしら変な噂話が発生してしまうかもしれない。
だから仕方がないけど私は夕立を起こすことにした。

「夕立、夕立……起きなさい。朝よ?」
「ぽーい……村雨ー……?」

少し寝ぼけ眼の夕立が起きたのか私と目を合わせる。
するとニッコリと笑みを浮かべて、

「村雨の右目の瞳……きれいっぽーい……」
「そ、そう……って!」

近い近い! 夕立がどんどんと顔を近づけてくるじゃない!?
何をする気!?

「村雨……ヒトミ、舐めてもいーい……?」
「ダメに決まっているじゃない!?」
「えー……」
「そこで不満の声を上げないの。はぁー……朝っぱらから変な感じね。さ、起きるわよ」
「はーい……」

それで私達はのそのそと布団から這い出して来るんだけど夕立がなぜか下着姿だけだったので、

「なななっ! 夕立、あんたなんで下着姿なのよ!?」
「あー……村雨の体温を直接感じたかったからかなー……」
「なぁっ!?」

ひぃっ!?
なぜか昨晩は妙に温かいなって思っていたら夕立が私の身体に張り付いていたっていうの!?

「とにかくすぐに服を着なさい!」
「はーい!」

夕立はそれで丁寧に畳まれていた制服を着始める。
……いつの間にそこまでの準備をしていたのやら……。

「(まったく……ドキドキするじゃないの……)」

私は内心の胸の鼓動をなんとか抑えながらも制服に着替え始める。
だけど先に服を着終わった夕立が下着姿になった私に抱きついてきた。

「ぽーい! 村雨、やっぱり改二になって成長したっぽい!」
「だからって、私の体を弄るのはやめなさい!……あ、もう……だ、ダメ……んっ!」
「あ、もしかして村雨感じちゃったっぽい……?」
「っ! いい加減にしなさい!!」

とうとうキレてしまった私は夕立にげんこつを落としていた。
それで夕立は目を回して「ぽーい……」と言いながらその場でうずくまってしまっていた。
ふん、いい気味ね。
それからまた身体にわるさをされたらたまらないからすぐに服を着ていくんだけど……やっぱりこの服装、前より面倒な仕組みになったわよね。
大体この左腕に巻き付ける鎖は何の意味があるのかしら……?
服装も脇出しだし片足だけ包帯を巻いているのもなんていうか、その……片目だけ色が違うのも相まってなんて言ったかしら……?チュウニ病だったかしら……そんな変な病名があるとかないとか……。
これを夕張さんか明石さんに相談したらおそらく「片翼の翼も生やしたいわねー」とか訳の分からない事を言われるんだろうな。

「村雨……起こった?」
「別にー……夕立のスキンシップの多さは前からあったから気にしていないわよ」
「よかったっぽい……村雨には嫌われたくないから」
「ふーん……? 殊勝な心掛けね。まぁ私もとくに嫌うことは無いから安心しておきなさいな」
「ぽい……」

夕立の頭を撫でてあげるとまるで犬のように目を細めて身を委ねてきてくれる。
うーん……やっぱり夕立って犬属性よね。それを言ったら時雨ちゃんなんて忠犬だしね。
そんな事を思いつつも改二になって夕立と同じヘアピンをつけて黒い帽子を被って準備は万態。
村雨、いつでもいけるわよ。
そして部屋を出ようとするとドアが少しだけ隙間が開いていてその隙間から春雨がジト目でこちらを覗き見ていた……。……え? いつから見ていたの……?
私の視線に気づいた春雨はゆっくりと部屋に入ってきて一言。

「村雨姉さん、ずるいです。改二になってから夕立姉さんのハートを射抜いているんですから……私も夕立姉さんにもっと構ってもらいたいのに……」
「ああ、嫉妬をしているのね。春雨は分かりやすいわね」
「うー……」

そんな春雨に夕立は何を思ったのか春雨の事を抱きしめてあげて、

「春雨、ごめんっぽい。村雨が改二になって少しだけ浮かれちゃったみたい。でも、大丈夫! 春雨の事は放っておくことは無いから!」
「夕立姉さん……はい!」

なんか、夕立と春雨が変な空間を作り出しているんだけど、え? 二人ってそんな関係だったの……? それが本当ならかなり私としてもショックがでかいかも。
まぁ、考えてみれば提督は一応は魂は男性だけど体は榛名さんだから夕立の事を異性として捉えるには少し無茶がありそうだからそう言う関係になる事もないんだろうけど……。
それでうちの鎮守府に在籍している艦娘達のことを思い出してみる。
そういえばこの鎮守府って少し特殊だから憲兵さんとか男性の軍人さんの類は一切いないから(酒保には外から働きに来ている人もいるけど大体が女性だし)そういう異性の関係っていうのは一切ないのよね。
さっきも思った通り、提督はもうみんなからは女性という認識をされていてさらには榛名さんっていう恋人もいるから他の子とは練度がカンストして指輪で絆は結んでいてもそう言った関係になる子はいないのが現状だから、だからってわけでもないけどそれなら女性同士で交友以上の仲を深めようって子が多いと私は思っている。
もちろん、大体の子は提督の事を好意的に感じているのは知っている。
それでもそれ以上には決してなれない事も自覚している。
それゆえの慰め合いの仲って言うのかしら?
そんな感じの子が多くいるのよね。
それを今目の前で見せられている。夕立と春雨は過去の例もあってそれはそれは仲がいい方だ。

「村雨? どうしたっぽい?」
「村雨姉さん……?」
「ううん、なんでもないわ」

二人が不思議そうに無言だったのだろう私に話しかけてきたから変に思われないように言葉を濁して紛らわした。

「それじゃ朝食を食べに行きましょうか」
「いくっぽい!」
「はい」

それで私達は食堂へと歩いていくんだけど目の前にちょうど由良さんが見えて私は本能から来る気持ちで由良さんに駆け寄っていき、

「由良さん! おはようございます」
「あ、村雨さん。それに夕立さんに春雨ちゃん。おはようございます」
「今日はどうしますか? なにか用はありますか……?」
「そうね……」

と、私から積極的に由良さんに話しかけるんだけど、別の意識では「ああ、私ももしかしたら提督とはそんな関係になれないから夕立や由良さんにそんな関係を求めているのかな……?」って思っていたけど、その気持ちはみんなには迷惑になるだろうから心の奥に閉まっておくことにした。
私はいつも通り騒ぐみんなを面白楽しく眺めてたまにからかいをいれる方が性に合っているのかもねって納得する事にしておいた。
少し胸の奥がズキッ!と痛んだのはきっと気のせいだから……。


 
 

 
後書き
最後に謎の村雨嬢と呼ばれる所以な感じを出してみました。
女所帯の鎮守府ですからいつまでも普通ではいられないんですよね。
この鎮守府は言い換えれば女子高みたいなものですし。

ちなみにまだ夕立と春雨は一線は越えてはいません。ここ重要。




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