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星河の覇皇

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第六十六部第一章 新兵器その十

「まさにその通りだ」
「例え連合であろうとも」
「情報は狙っていく」
「そして手に入れる」
「そうしていきますね」
「エウロパにもそうしたのだ」
 この国もマウリアにとっては古い同盟国でありつながりも深い、だがその新兵器の情報を手に入れたからこそというのだ。
「他国に新兵器の情報を売ることもな」
「連合、サハラ各国に」
「利益になるから」
「だから連合にもですね」
「するだけですね」
「それだけだ、マウリアはどの国にも一方的に肩入れはしない」
 マウリアの千年来変わらない外交方針である、
「バランサーなのだからな」
「連合、エウロパ、マウリアのバランスを取っていく」
「さながら天秤の様にですね」
「そしてその間で利益を得ていく」
「それがマウリアの外交政策だからこそ」
「連合からも情報手に入れる」
「そうしていきますね」
 官僚達も言う。
「これまで通り」
「では連合からも」
「新兵器を購入し」
「技術も学ぶ」
「そして技術を教えてもらえないのならば」
「盗むのですね」
「盗むと言えば聞こえが悪いと言われればだ」
 それならそれでとだ、クリシュナータは淡々とさえしてそれが極めて当然であるといった口調でその言葉を出していった。
「自ら学ぶ」
「そうしたと言えばいいですね」
「言葉は使い様だ」
 まさにともだ、クリシュナータは言った。
「盗むと言えば聞こえが悪いとだ」
「自己学習ですね」
「そう言えばいいだけですね」
「詭弁と言われようとも」
「そう言えば済みますね」
「証拠を掴まれなければいいのだ」
 『国家機密、軍事技術のそれを盗んだ』その証拠をというのだ。
「ただそれだけなのだ」
「盗み盗まれもまた政治」
「国際政治ですね」
「人間の世界では窃盗は罪だ」
 このことはどの文明でも同じだ。
「それこそな、しかしな」
「国際政治においては」
「情報を盗むことは許されている」
「それが為ですね」
「このことは許されていますね」
「国家はその発展と生存の為には盗むこともあるのだ」
 この時代でも変わらないことだ。
「情報というこれ以上はない高価なものをな」
「他のものは盗めずともですね」
「情報は盗める」
「そして国家機密も」
「例えそれが同盟国であっても」
「見つからない限りはいいのですね」
「人が見ていなくても神々は見ておられるがだ」
 人の犯す罪、窃盗もまた然りだ。
「しかしだ」
「国家間の情報を盗むことはですね」
「神々も許されますね」
「そのことだけは」
「これが金銭や財宝ならば許されない」
 例えば他国の国宝を盗みそれを自国の国宝にすることは絶対に許されない、国家間のことであろうともである。 
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