| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQ8 呪われし姫君と違う意味で呪われし者達(リュカ伝その3.8おぷしょんバージョン)

作者:あちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十三話:ホウレンソウ

(リーザス地方・ポルトリンク)
アハトSIDE

「だから私が何とかするって言ってるでしょ!」
「ですから、アルバート家のご令嬢に、そんな事をさせる訳にはいかないですよ!」
リーザス地方の南に位置する港町ポルトリンクに到着すると、またゼシカさんが水夫らしき男性と口論をしている。
この女性(ひと)は口喧嘩をしないではいられないのだろうか?

さてさて……
何故我々がこの港に来たかというと、ウルフさんの計らいで来る事になったのです。
もう少し詳しく説明します。

リーザス村の宿屋で一晩過ごした我々は、次なる目的地を相談すべく、ウルフさんの部屋へと集まった……が、
『一応アルバート家に昨日の事を報告しに行こう』
と、勝手に塔に入った事を内密にするはずなのに真逆の提案をされました。

『いや……必要無いんじゃないですか? 我々が塔に入った事は秘密なんですから……』
『何だアハト君。あの女主人が怖いのかな?』
リュリュさんの気持ちが解るムカつく口調のウルフさん……本当に彼女が二人も居るのか?

『それもありますが、不必要だと言ってるんですよ!』
『“ホウレンソウ”は必要だよ。怠っちゃ後々に問題が残る……そう言う後からの面倒事の方が俺は嫌だね』
確かにその通りですけど……

有効な反論が出来ないで居ると、強引にアルバート家へ行く事を決定させるウルフさん。
不本意なので俺は口を閉ざしておこうと思います。
あのオバサンのヒステリーに苛まれるのはウルフさんに任せ様と思います。

余談ですが……
『ねぇウルポン。今の話しの流れでホウレン草が何だって言うの? 確かにホウレン草って美味しいけど、今の会話には関係なくない?』
と、流石に呆れ果てるリュリュさんの一言……この女性(ひと)は本当にアホなのかもしれない!

これまでの遣り取りを見た来た俺は、ウルフさんが如何な嫌味を言うのか心配しました。
だけど、
『“ホウレンソウ”ってのは『報告』の“ホウ”と『連絡』の“レン”と『相談』の“ソウ”を意味するビジネス用語だ。ゴメンね知らない言葉を使ってしまって』
と優しくレクチャー。

『もう気を付けてよね。皆が知らない言葉で会話しないでよぉ』
だがウルフさんの優しい対応が弱気に見えたのか、自分がスタンダードであるかの如くウルフさんにクレームを付けるリュリュさん。

見かねたラングストンさんが、
『リュリュさん……ホウレンソウは一般的な用語ですよ。社会人として知らないのは些か問題があると思いますが?』
と珍しくリュリュさんを批判。

『え、そうなんですか!? で、でも……誰も教えてくれませんでしたよ』
『それは貴女がリュカ様の娘さんだからですよ。一応姫様と呼ばれる立場になりますから、馬鹿でもその事を指摘しないでいたんです……周りの人々は』

『うそぉ? だってウルポンは直ぐに私を馬鹿にするよ!』
『それだけ彼は貴方の事を……いえ、彼は他者を見下す天才ですから』
ラングストンさんのウルフさん評は的確だとは思いますが、最初は何を言おうとしたのか気になります。

『でもでも……お兄ちゃんも何も教えてくれませんでしたよ! 私の上司なのに』
『あの方は妹(特に貴女)に甘い……いえ、檄甘ですから。ホウレンソウを知らず実行して無くても気にしないのでしょう』
それは問題ある兄貴だと思うけどな。

まぁそれはさておき、ウルフさんの強引さんに押し切られ、アルバート家へ赴いたのですが、前回と同じ様に執事さんに案内されて女主人の下へ通されました。
ですがデジャブ……前回と同じ様に女主人は気の強い娘さんと口論中。

驚きですよね……前回訪れた時と寸分変わらず同じ光景なんですから。
良く飽きませんよね?
どんだけ口論が好きなんですかね?

口論の内容は、塔での出来事を伝え娘さんがお兄さんの敵討ちの旅に出たいと言う事への母親の反対意思によるヒステリーみたいです。
まぁ母親としては娘さんが旅に出ると言われれば反対するのも当然です。
ただ言い方がキツイから気の強い娘さんとは口論になるんでしょうに。

しかし冷静さを失えば売り言葉に買い言葉という様に、思わず言ってしまう言葉もあるんですよね。
それが『本当に分からず屋ね! もう良いわよ。私は兄様に言われた様に自分の思った通りに生きます! こんな家、出て行くわ!』とさ。

すると母親の方も『そうなさい。貴女の様な分からず屋は我がアルバート家に不似合いです!』てな感じで喧嘩別れになっちゃうのです。
言った方も言われた方も頭に血が上りきってるので、言ってしまった言葉を取り消す気も無く、口論を終わらせるのです。

そして娘さんは前回同様に大股で我々の方へ近付くと、見向きもせずに通り過ぎて自室の前で待機してたポルク君とマルク君に近付いて話しかけます。
『ポルク・マルク……貴方達を利用しちゃってゴメンなさいね』

『ゼシカ姉ちゃん……行っちゃヤダよぉ』
『それは出来ないわ……この村を守るのは貴方達なんだから、泣かないの。兄様に笑われるわよ』
こうして優しく話してると美人なんだけどなぁ……

そんな事を考えていると、我々の事には目もくれずに旅支度を済ませて出て行ってしまいました。
するとウルフさんが『おいおい、あの姉ちゃん……俺達の事全然気付いてなかったぞ。頭に血が上ると周囲が見えなくなるって問題あるよな』そう思いますけど、今更なんですか?

『仕方ない……あのオバサンに報告して俺等も旅立つか』
本当に今更なんですが、ウルフさんから報告する事への面倒臭さが漂ってきました。
如何いう事ですかね?

まぁ報告は全部ウルフさんに任せるつもりだったので、俺の方は面倒臭くなかったですし、流石に来客者に対してヒステリックに怒鳴ったりはしないので、問題無くホウレンソウは恙無く終わりました。
なので、そのまま我々も村を出ます。

因みに、村を出る前にポルク君達を庇ったお婆さんから話しかけられました。
内容は『旅の方、ゼシカお嬢様が探しておりましたよ。既に旅立たれたと勘違いなさったゼシカお嬢様は、貴方方の後を追う様に出て行かれした』って事です。

我々に何用ですかね?
気になったのでウルフさんに視線を向けると、『あの姉ちゃんはマジで俺等に気付いてなかったんだな……一緒に旅するの面倒臭ーなぁ』と驚きの言葉!

如何やら昨晩のうちにある程度の事は説明しておいたらしく、ドルマゲスを倒す為に一緒に旅立つ事を打ち合わせしていたみたいです。
なのでアルバート家が統治してる港町のポルトリンクへ行き、取り敢えず船に乗り込もうって事らしいです。

そして訪れた港町では、あの女性がヒステリーを起こしてるんですよね……
「何なんだ、あのネーちゃんは……誰かと喧嘩してないと生きていけないのか?」
同感ですが、そんな女性と一緒に旅をする算段を付けたのはウルフさん……貴方です。

「……そんな目で見るなよアハト君。俺が話を付けるからさ」
気持ちが伝わったらしく、ウルフさんが自ら仲裁役を買って出てくれました。
これで事態が進むでしょう。

と思ったんですが……
(モミモミモミ!)「きゃぁーーーー!!!!」
凄ぇ……話しかける訳でも無く、突然後ろへ回り込むと、あの巨乳を鷲掴みにして揉みまくるウルフさん。セクハラが過ぎますよ。

「何すんのよ、このスケベ!」
「嬢ちゃんが我が儘言うから水夫の方々が困ってるだろ。俺は彼等を助けたんだよ」
まるで水夫の方々が頼んだかの様な言い方……娘さんに睨まれて、尚更困る水夫達。

「別に困らせてたワケじゃ無いわよ! むしろ困ってるのは私……」
「じゃぁ何だってヒステリー爆発させてるんだ?」
無自覚って怖い。

「だからヒステリーじゃ無いってば! 定期船に乗りたいのに、海にモンスターが出るからって断られたの!」
「え? 海にモンスターが出て船が出ないの? 困ったなぁ……」
そう言えば、何でウルフさんは船に乗りたがってるのだろうか?

「あ、そう言えば何で先に出立してんのよ!? 宿屋に迎えに行ったのに……」
「先に出てねーよ。おめぇが俺等の存在に気付かなかっただけだろ。屋敷で擦れ違ってんだぞ!」
え? 前もって一緒に旅立つ打ち合わせしてたの?

「うそ! 家で擦れ違ってた? ぜ、全然気付かなかった……」
「ゼシカはさぁ……頭に血が上ると周りの事が見えなくなるよね。魔道を専攻してるんだろ? それだと困るよ」

ウルフさんの言う通りこの女性(ひと)は怒ると周囲が見えなくなる……でも何で魔道専攻者だと、それは困るのだろうか。
もう一つ疑問。何時の間にウルフさんは彼女と仲良くなったのだろうか? 呼び捨てにしても怒らないぞ。

「基本的に魔法使いってのは肉弾戦をする前衛の後ろで魔法を唱える。必然的に戦局全体を見渡す役割が付いてくる。そんな奴が怒りで状況判断出来なくなったら問題だろ。怒るなとは言わないまでも、冷静さを失うな」

なるほど……普段からウルフさんがしてる事ですね。
戦闘が始まると数歩下がって戦局全体を見渡す。
状況に応じて指示を出したり対応する。
それが魔同士ですか……俺には出来そうに無いな。

「き、気を付けるわ」
「そうしてくれ……昨晩も言ったけど、俺やラング・リュリュさんは極力戦闘に参加しない。魔同士役のゼシカが直ぐにブチ切れて暴走されたんじゃ、パーティー戦闘なんて出来やしない。何時まで経ってもドルマゲスを倒すなんて幻想になるぞ」

「だから……別にブチ切れてたわけじゃないってばぁ!」
「そうかぁ? 俺にはヒステリックに怒りを撒き散らしてた様にしか見えなかったけど」
同感です。それより何故彼女と一緒に冒険する事が決定事項になってるんですか?

「まぁいいや。それよりもさ……何で船が出せないの? そこら辺を教えてよ」
いやいや、もっと先に教えて欲しい事があるでしょう。
ウルフさんには説明責任があるのでは無いですか?

アハトSIDE END



 
 

 
後書き
次回はイカです。
リュリュちゃん視点でイカです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧