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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第四十五話

 
前書き
どうも、小説のプロットを行方不明にしてしまい、先週休まざるを得ませんでした。大変申し訳ありませんでした。 

 

…………暇だ。
 
俺はベッドに寝転んだままそんなことを考えていた。
 
不貞寝しようとベッドに寝転んだは良いものの、寝坊するほど寝たせいか、全く眠くなかった。
 
皮肉なもんだ。
 
俺は体を起こすと、ドラム缶の上に置いてあるゴーゴンさんと目が合った。
 
…………そうだ、どうせあいつらも暇してるだろ。
 
俺はスマホを手に取ると、悠人と拓海とのグループに連絡を入れる。
 
『暇か?』
 
直ぐに返信が来た。悠人だった。
 
『全自動スリーポイントシュート機を製作中。』
 
あいつは一体何をしてるんだ。
 
すると、写真も一緒に送られてきた。
 
そこには、三角コーン二つに棒を通したものの上に、お盆が付いた幅の広い板を置いている物の隣に、悠人がピースしている写真だった。
 
投石機だろこれ。
 
恐らく、下の棒がポキッて逝くと思う。
 
すると、拓海からも連絡が来た。
 
『今、そっちに向かってるとこ。今回は四日間。』
 
ふむ、ナイスだ拓海。
 
俺はスマホを置くと、机の引き出しの中からPHP(プレイホームポータブル)を取り出す。ゲームしながら木曾達にどんな感じで謝るか考えておこう。
 
俺は電源ボタンを押した。しかし、画面は真っ暗のままだった。
 
…………充電切れのようだ。
 
俺は溜め息をひとつすると、充電ケーブルを取り出してコンセントに差す。暫くはこのままにしておこう。
 
…………まーた暇だ。
 
俺は立ち上がると、ドラム缶の前に腰を下ろす。ドラム缶に触ると、ひんやりとした感触を覚えた。
 
…………ずいぶんと長いことここに置きっぱだなこれ。この鎮守府に着任したときからずっとここにあるからな。
 
そもそも、なんであんな変な感じで運を使っちゃったんだろうか…………。今となっては懐かしい思い出だ。
 
あの頃は随分と平和だったなぁ。今じゃ週に三、四回は出撃してるからな。疲れが出たのかもしれんな…………と言うことにしておこう。
 
だって、そうじゃないとあんなに爆睡しないもん。酒が入ってたとは言えどもだ。
 
色々反省。若干無茶してたのは事実だ。
 
それでも、こんなところで生活してたら無茶するなってのが無理な話か。どうしても命を掛けてるから、精神を磨り減らしてしまう。
 
肉体的な疲れは一晩寝れば消えるけど、精神的な疲れは貯まってしまう。この鎮守府の弾薬位貯まってしまう。
 
二番目に多い燃料の二倍はあるぞあれ。
 
となると、この際だからしっかり休んだ方が良いのかもしれない。
 
…………もしかして、そこのケアのために提督は謹慎処分を…………?
 
んなわけないか。
 
まぁ、どのみちしっかり休めるんだし、休んでおこう。
 
俺はベッドに向かって思いっきりダイブした。
 
ガツン。
 
「ぐぁあ!!」
 
思いっきりベッドのそばに置いてある机に足をぶつけた。めちゃんこ痛い。
 
暫くそのままベッドの上で悶えていた。
 
……………………………………。
 
ダメだ。頭のなかでは休んだ方が良いってのは分かってるのに、木曾や春雨達がこうしている間にも戦ってると考えると、じっとしてられない。
 
俺は少し悩んだ後、筋トレをすることにした。
 

 
 
 
―一時間後―
 
 
 
 
 
 
コンコン、と、誰かが扉をノックした。
 
「はーい…………って、お前か。よく来たな。」
 
俺が扉を開けるとそこには、拓海と、その右腕に抱きついている夕だ…………冬華の姿があった。
 
「うん、久し振りだね。謹慎ご苦労様。」
 
「お疲れ様っぽい!やらかしちゃったっぽい?」
 
「っぽい。」
 
二人はそのまま部屋の中に入ってきた。
 
「いやー、一ヶ月ぶり位か?どうよ、学校の皆は。」
 
この鎮守府に着任したときには、学校に退学届を提出してきた。なかなか手続きがめんどくさかった。
 
そのときはクラスメイト達に、『何があった』だとか、『やらかしたのか』とか聞かれたけど、今ではだいぶ大人しくなった。
 
「相変わらずバカばっかりしてるよ。定期考査も終わったから羽を伸ばしまくってるよ。」
 
拓海はそう言うと、ちゃぶ台の側に腰を下ろした。冬華もそのとなりに座る。
 
しかし、当時は定期考査といえば憂鬱以外の何物でもなかったのに、暫くすると懐かしく感じてしまう。
 
やらなくて良いなら是非ともしたくないけども。
 
「いやー…………暇で暇で仕方なかった。」
 
俺はその二人の対面に座る。
 
「全く、千尋らしくないね。幼稚園から十二年連続無遅刻記録保持者だったのに。」
 
「えっ。気持ち悪いっぽい。」
 
うん、我ながら気持ち悪いとは思う。そのぶん、今回の寝坊がかなり堪えた訳で。
 
「正直、木曾や春雨や間宮さんの約束すっぽ抜かしたのがかなり申し訳無くて…………。ずっと悶々としてた。」
 
「ムラムラ?」
 
「してねぇ。」
 
相変わらずこの脳内ピンクは直ぐにそっち方面に結び付けやがる。それに付き合ってる拓海も大概だけどさ。
 
「あー、そういえば、間宮さんが『別に気にしないでください』って言ってたよ。他二人には会ってないけど。」
 
「…………そうか。」
 
申し訳無い。謹慎が終わったらすぐに謝りに行こう。恐らく、その頃には木曾も帰ってきてるだろうし。
 
「まぁほら、木曾にしろ間宮さんにしろ春雨にしろ優しいからさ。許してくれるさ。」
 
拓海はそう言って励ましてくれた。なかなかありがたい。
 
「んじゃ、僕はこれから大輝さんのところに行ってくるから。また晩御飯の時に。」
 
「行ってらっしゃいっぽい…………。」
 
こいつ、犬か?と、冬華を見て思った。
 
拓海はそのまま俺たちを置いて外に出ていった。
 
部屋には、俺と冬華の二人。
 
こいつと二人っきりってなかなか珍しいな。
 
「…………ねぇ、聞きたいことがあるっぽいんだけど。」
 
冬華はそれまでの雰囲気とは少し違った感じで話し掛けてきた。
 
「ん、なんだ?」
 
冬華は扉を少し見つめた後、こちらに向き直って聞いてきた。
 
 
 
 
 
 
 
「どうやって、この戦争を終わらせるの?」
 
 
 
 
 
 
 
 
この物語の、本題となる話だった。
 
  
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。クリスマス特別編は来年まで先伸ばしという形にさせて頂きます(おい)。流石にクリスマスから一ヶ月経とうかとしてるのにするのは…………ねぇ?

それでは、また次回。 
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