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孔雀王D×D

作者:焼肉定食
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7・夜の出来事

 凰蝶はどうしても突き止めたかった。
 兵頭一誠宅に住む人々。そう、オカルト研究会の人たちが夜何をしているのかを。
 夜な夜な家を抜け出しては、夜中とまでは行かないが帰ってくるメンバー。
 時には個々人で。時にはメンバー全員で外出して帰ってくる。
一応、自分もオカ研に所属しているのだから、知っていてもいいだろうと思っていた。それに、なんか仲間外れされている気分で嫌だった。
(よし、もし、兵頭先輩が出かけることがあったら、つけていこう。兵頭先輩が一番抜けてそうだし)
と、そう凰蝶は決めていた。

「それじゃあ、部長。行ってきます」
 一誠はリアスに挨拶をして出かけて行った。
「一誠、気をつけて頑張りなさい」
 リアスはにっこりとほほ笑んで一誠を見送った。
(今だ)
 凰蝶はしばらくその様子をうかがい見て、自分の自転車へ飛び乗った。実は凰蝶は駒王学園に通学すると決まった時は、自転車通学だとてっきり思っていた。それが、どうしたことか兵頭家に住むことになり、その自転車は使うことがなくなってしまった。
(やっと、お気に入りの自転車が乗れた)
 凰蝶はなんだかウキウキした気分だった。確かに、対自転車同士で尾行は難しいかもしれないが、今乗っている自転車は買う前から一目ぼれしていた。
 真っ赤なマウンテンバイク。
 父親におねだりをして、渋々買ってもらった物だったが、うれしくてたまらなかった。が、まさか、尾行に使うとは思いもよらなかった。
(気づかれたりはしないかしら)
 内心ドキドキしながら一誠を追った。
 
 一誠を尾行したのはいいが、一誠が訪れた先はなんの変哲もないマンションだった。
 凰蝶は何か秘密があるのではないかと期待したのだが、まったくもって期待外れでため息が出た。が、ここまで来たからには、何をしているのかを見届けたくもなった。
 一誠が自転車を止め、マンションに入って行くのを確認すると、それに続いて凰蝶もマンション内に入って行った。
 一誠が訪れたのは森沢という人物の部屋だった。
(どんな関係なんだろう?)
 凰蝶は首を傾けた。学校関係者に森沢なる人物は凰蝶が知るところではいないと思われる。
 しばらく隠れて様子を見ていると、一誠が中から出てきた。
 それにしても、冬でなくてよかったと凰蝶は思った。季節が冬であったら、寒さに耐えきれず、そのまま帰っていたやもしれない。

「どうも、森沢さん。また、よろしくお願いします」
 一誠は森沢なる人物にお礼を言った。
「また、頼むよ、兵頭君。君とアニメ談義するのは楽しいからな。それと、これは報酬だ」
 森沢は一誠に封筒の様なものを手渡した。
「ありがとうございます」
 一誠はお礼を言うと差し出された封筒を受け取ってポケットの中に入れた。
(アルバイトなのかな?)
 凰蝶はその様子を見てとると早急に立ち去った。
(じゃあ、皆さんは夜のアルバイトをしてるってことなのかな?)
 凰蝶はもっと凄いことがおきるのかと思っていただけにがっかりしていた。
(一人で帰るのもなんだしな。偶然を装って一誠先輩と帰ってもいいかな)
 そんなことを考えていると、一誠がものすごい速さでマンションを飛び出してくるなり、自転車に飛び乗り走り出した。
「あ!!」
 凰蝶は一誠に声をかけ損ねてしまった。が、何かとんでもないことが起きたのかもと思い、凰蝶も必死に自転車をこぎ、一誠の後を追うのだった。
 
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