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星河の覇皇

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第六十五部第五章 ヒッピーその二十三

「しかしだ」
「それでもですか」
「あの方は戦場で学ばれている」
「それこそがですか」
「戦術の天才ですか」
「そう思う、その彼も必要だ」 
 戦術の天才でありカリスマも持っている彼の存在がというのだ。
「だから絶対に任じられる」
「宇宙艦隊司令長官の役職を」
「その任務をですね」
「エウロパの為にも」
「そうされますか」
「必ずな、今のエウロパ軍にも必要だ」
 タンホイザーという天才がというのだ、そして。
 その話をしてからだ、彼は言ったのだった。
 そうしたことを話しつつだった、彼は。
 ふとだ、こんなことも言ったのだった。
「ところで軍務省だが」
「はい、閣下が入られる」
「軍務大臣として入られるですね」
「そこのことがですね」
「何かおありですか」
「いや、確かにエウロパ軍は破れてだ」
 そしてとだ、彼は言うのだった。
「かなりの損害を出したが」
「軍務省、軍はです」
「規模は縮小されていません」
「人員もです」
「そのままです」
 これは国防の為に五百個艦隊、十億人の規模を維持することをラフネールが決めたからだ。その為であるのだ。
「軍務省も」
「文武の官は健在です」
「ですから実務もです」
「これまでと変わりなく出来ます」
「それは有り難い」
 人員が減っていないことをだ、モンサルヴァートは素直に喜んだ。
「実にな」
「やはり人が少ないと」
「その分執務に負担が増えますね」
「最悪執務にロスが生じます」
「遅延も招きます」
「人は多過ぎてもあぶれるが」
 しかしというのだ。
「少し多い位がいい」
「執務においても」
「滞りませんね」
「だからですね」
「今の状況がいいですね」
「人員が削減されていなくて何よりだ」
 モンサルヴァートはまた言った。
「では私が軍務相に入ってもな」
「はい、執務はこれまで通り進められ」
「そしてです」
「軍の復興も的確に進められます」
「予定通り」
 官吏達もこう話すのだった。
「五百個艦隊規模の艦隊も数は揃っています」
「艦艇も何とか」
「数が揃っています」
「旧式艦艇も混ざっていますが」
「旧式のか、そういえば技術班では新型艦艇の開発の話が出ていたな」
「はい、戦艦や空母だけでなく」
「各艦種において」
 官吏達はここでまたモンサルヴァートに答えた。
「設計が進められています」
「艦載機もです」
「陸上兵器も」
「全てが」
「連合軍の兵器は強力でした」
 エウロパ軍が戦った彼等のそれがだ。
「彼等の攻撃力、防御力、索敵能力に敗れました」
「攻撃の射程も長かったですし」
「ダメージコントロールも相当でした」
 そのダメージコントロールもだ、連合軍の犠牲を少なくさせたのだ。その結果エウロパ軍も苦戦したのである。
「それを見まして」
「攻撃力、防御力、索敵能力はともかくとしまして」
「攻撃の射程も」
「しかし速度をです」
「それとダメージコントロールを上昇させた」
「そうした新型艦種や兵器を設計中です」
 暫し軍を離れていたモンサルヴァートに話した。 
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