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ガルパン主人公に転生したけど、もう限界な件

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二流の人間は出世だけを考えるが、一流の人間は出世した地位をどのように活用するか考える。

西住みほを演じた○○だ。いや、既に西住みほは既に世間から死んでいるからそこは違うな。戦車道をやらされていた俺は……いや、西住みほを演じていた俺は改めて思うと本当にどうかしていたなと思うしかなかった。いや、別に戦車道を悪く言うつもりはないんだが、俺は本当にどうかしていたと思うよ。これはたぶん俺の環境が悪かったんだと思う。

戦車道に限らずにやっぱり格式が高い家に生まれた人間は嫌でも注目を集めるのだと理解した……いや、普通の生活に客観的に物事を考える余裕が生まれたからこそ理解したのだ。流派の未来、名門としてのプライド、門下生や家元最有力候補だった母の期待に応える事で自分のやりたい事を押し殺していたのだ。俺は西住みほのあらゆる可能性と経験を継承していたが、どの世界においても西住みほは西住流という縁は強かった。西住みほが引っ込み思考の性格になったのも西住流の指導によって反論は許さないというべき圧倒的スパルタ教育によるものだ。

俺はこの教育を受けてよく西住みほと西住まほはグレなかったよなと不思議に思った。もし、西住みほのあらゆる可能性と経験を継承しなかったら俺は西住流の教えに直ぐに限界を感じて下手をすれば自殺、よくても逃げ出していたかも知れない。どんなに笑顔を作っても常に鉄仮面のように表情を崩さない西住母と姉に俺は正直に言って不気味と思っていた。だから俺はあんまり西住まほと西住しほに対して転生した新たな肉親という感情が一切わかなかった。まるで自分が西住流のパーツという認識しかないのでは?と、思ってしまうからだ。何より西住流の勝利以外は価値無しと言わんばかりに幼いころより徹底させた西住しほは本当に血が通った人間なのか?と、疑いたくなるような人間性であった。

だからこそ、俺は今の刺激はないが平和な平凡な生活に戻ってよかったと思っている。あのまま西住流に居続けたら自分の心が何時かは壊れて西住流というイカれた殺人機械量産所のキリングマシーンとなって西住まほと西住しほの命令を受けて人を殺すターミネーターになっていただろう。だから、この日常生活に戻って自分は世間から見ても無害な性格に戻ってきたと思う。だからこそ、俺は二度と戦車道に……いや、西住流と一切かかわらない道を選んだ。西住みほの事故死により、ニュースからの情報しか見ていないが戦車道のルール変更と安全性の見直しが進められている。

だけど、俺から言わせれば遅すぎるとしか言えない。原作より一年前のような事故でも試合続行などしたらいつ死人が出ても可笑しくないのに、原作では普通に無視して試合を実行していた。世間からも何で今までルール変更と安全性を疎かにしていたのだと非難が集まっていた。これもニュースでしか知らないが、あの決勝戦に参加していた審判を含めて全日本戦車道連盟の上の方でかなり首が飛んだそうだ。今回の騒動で警察の方も本腰を入れて戦車道連盟やそれに関わる人間達を調査したら、それはもう世間様に隠せない程に非難を集めるには十分な程の真っ黒い案件が沢山でたそうだ。

世界大会やプロリーグ設立に向けて動いた戦車道連盟と、それを実現するために協力していた文科省は非合法の案件が沢山出てきた為に、今は日本の戦車道は大混乱だ。あ、そうそう。原作でやたらと大洗女子学園を廃校に執念を燃やしていた役人さんは実績がない学園艦廃校を推し進める悪役として原作で書かれていたけど、この世界だど本当は本人より上の重役達に命令されて仕方なく実行したに過ぎなかったそうだ。これもニュースで知った事だけど本当なのかどうかは分からないけど、今の俺には関係のない話だけどね。

あ、話忘れたけど西住流は今、結構ヤバいらいし。

「西住流はこれからどうなるかね。結構世間に叩かれていたけど」

黒森峰乱闘事件は流石に俺も驚いた。一部の過激思想の西住流信奉者の事件のせいで西住流は世間からかなりバッシングを受けており、西住みほの事故死もさして反応を示さなかった事を含めて黒森峰に愛想をつかして転校する生徒が増加して、黒森峰を支えるスポンサーとOG会の人間が結構な数が撤退したそうである。原作に存在していた絶対王者の黒森峰の弱体化。これが原因で本当に原作とは違う話しになりそうだなと俺は思った。

ーーー。

私はスポーツを中心に記事を書いている週刊誌の記者である。今回は戦車道において最も注目を集めた高校に取材に来ている。それが黒森峰女子学園だ。

西住みほ副隊長の事故死で黒森峰は変わった。何しろ今回の騒動で黒森峰の環境は劇的に変わったと言ってもいい。大会10連覇を成し遂げられずに敗退してしまった事に含めて副隊長の事故死で黒森峰の隊員達は心身共に疲弊していた。

そんな弱り切っていた黒森峰の隊員達に追い打ちをかけたのがOG会に所属する一部の西住流の過激思想信奉者による西住みほさんに対するバッシング。このバッシングに怒り、現役生とOG達による世間で知れ渡った黒森峰乱闘事件。この事件の後にOG会の会長による声明文を受けてより一層に激怒した事件であった。

黒森峰乱闘事件によりOG会は世間から白い目で見られていた。あの事件の後はテレビ、週刊誌、スポーツ新聞の記者より質問攻めにあい、大半のOG会メンバーは自分達に関係ないと取材を断っていたが、人命を蔑ろにした発言をしたOG会による世間風当たりは冷たかった。そんな状況にありながら黒森峰の隊員達が西住流に愛想を尽かした事件こそOG会会長による声明文であった。

「あの発言は間違ったと思っていません」

この発言には、世間の誰もが度肝を抜かれた。

「西住流はどんな犠牲を払っても勝利を掴む流派です。あの全国大会決勝戦における西住みほの行動こそ間違っているのです。」

「で、ですが西住みほは自分の命と引き換えに川に落ちた黒森峰の選手は助けました。彼女のお蔭で選手は助かっているのですよ」

「私は川に落ちた間抜けを助けて死ぬなんて馬鹿な行為をしたと思います。勝利してこそ栄光を掴めるのです。それを怠ったた西住みほは西住流の戦犯です」

黒森峰OG会長の発言はマスコミやネット経由で拡散した。この発言が原因により黒森峰OG会は世間から更なるパッシングを受けて、そして黒森峰戦車道に影響力が強い西住流にもOG会の失態の余波に飲み込まれた。いくら黒森峰に多大な支援をしてもらっているOG会会長だが、流石にこの発言問題は庇いきれず西住流は直ぐにOG会会長と会長と縁が深い西住流門下生を破門を言い渡した。この問題発言が原因で良識のある黒森峰OG会の大半のメンバーは会を去った。そしてOG会だけではなく、黒森峰を支えるスポンサーの大半が今回の騒動により記者会見で黒森峰女子学園の支援を打ち切るとの声明文を発表した。

だが、OG会会長を破門にしたが、西住みほに対して特に支持もせずにかといって否定もしないでうやむやにして発言をしなかったせいか黒森峰戦車道隊員達は西住流に対して強い不信感が芽生え始めたのだ。身内のみほに対する冷徹な対応に対して黒森峰の隊員達は西住流に愛想を尽かして半数近くの隊員が黒森峰を去り転校してしまった。メンバーの半数が去り、OG会やスポンサーによる支援の半数以上が打ち切られて黒森峰戦車道の全盛期の栄光は崩れ落ちた。現在の黒森峰は、戦車道における王者としての面影はないと戦車道に関わる誰もがそう思っていた。だが、その風潮をものともせずに第六十三回戦車道全国高校生大会において黒森峰の優勝はもうないだろうと言われたなかで、前回大会の戦力の半分以下のメンバーを率いて黒森峰は優勝を果たした。


今回の大会で優勝の原動力となった黒森峰女子学園隊長の西住まほ選手と副隊長逸見エリカさんの取材許可を貰いました。今日は貴重な時間を割いて取材に応じてもらいありがとうございます。早速西住まほさんに質問ですが、前回大会より黒森峰はOG会による問題発言以降壊滅的打撃を受けました。周りから戦車道を続けられないだろうと思われていました。他の強豪校より転校しないかと誘われた中でどうして黒森峰で戦車道を続けようと思いましたか?

「黒森峰を変えたいという事がまず第一の理由です。知っていると思いますが、黒森峰は西住流の影響力が強い学園です。母が家元に就任する前の西住流はとてもではないが言葉に合わせない程にひどいものでした。」

なるほど。ですが、現在は家元に就任しました西住しほさんは家元に就任する前は以前の過激な西住流信奉者であると戦車道関係者より言われていますが何故方針転換したのかわかりますか?

「妹の事故死が原因だと思います。これは自分の母親に対して失礼だと思いますが妹のみほが事故死するまで私の母は徹底的な西住流信奉者で、母親は娘である私達を西住流を存続させるただのパーツという認識でしかないと思いました。ですが、みほの事故死の後に母親は今までの自分の行いを悔いるようになりました。母親は自分と同様に不器用で素直に自分の本音を言う事が難しかったようで、本音は私やみほを愛していようです。それから母親は自分と同じように戦車道で娘を事故で亡くすような悲劇を繰り返さないように、以前の西住流の教えを排して人命に第一に考えるように徹底させるようになりました。」

黒森峰の奇跡ともいえる劇的な優勝後は黒森峰を立て直した隊長として注目を集め大学戦車道や実業団、はてはヨーロッパ最先端の戦車道プロリーグの名門のドイツリーグからも即戦力として期待されてスカウトされましたが何故全て断ったのですか?

「私は最愛の妹を亡くしました。妹が亡くなる前はプロリーグで戦うという構想もありましたが前回大会の事件後に考えが変わりました。私の次に続く選手達に親しい人間を亡くすという悲劇を経験してほしくありません。それで私は選手としてではなく戦車道の講師という道を選ぶことにしました。今の私は戦車道の講師の道という考えに後悔はありません」

では最後にこれから戦車道をはじめる女性達にメッセージを。

「勝利を目指す気持ちを否定することはしません。自分の努力が報われて嬉しいのですから勝利を目指すのは誰もが当たり前です。しかし、勝利だけを目指して何もかも捨ててしまえば人ではなくなってしまいます。これから戦車道を始めるならば支えてくれる人達の気持ちを忘れずに、支えてくれる人達に感謝の気持ちを忘れないで戦車道を始めてください。」

取材に応じてくれてありがとうございます。では副隊長逸見エリカさんに質問ですが事故死した西住みほ選手とは友人という関係と聞きました。黒森峰で逸見エリカさんの話を聞きますと西住みほさんの名前がでてくるのですが、どのような女性でしたか?

「姉の隊長にではなく私に聞くのね。まあ、良いわ。そうね一言で表すなら太陽のような女の子だったわね」

太陽ですか?

「そう、太陽よ。あの子に初めて会ったのは中等部に入学した時よ。初めて会った時から笑顔が絶えない優しそうな女の子というのが第一印象だったわ。でも、初めは誰からも好意的に見られていなかったわ」

それはどうしてですか?話を聞く限りでは優しそうな女性という感じですが?

「その理由としては姉の七光りと言われていたからよ。隊長である西住まほさんは中等部の頃より黒森峰で注目を集めていたわ。小学生の頃より世界相手に好成績を収めて中学戦車道においても最優秀選手として戦車道における次代のスーパースターで誰もが憧れる選手だったわ。そんな中で妹のみほはそれほど有名じゃなかったわ。だから黒森峰に中等部に属していた同年代や上級生達からは姉の七光りで黒森峰に入学したと軽蔑されてたわ。でもね、姉の七光りという偏見は直ぐに吹き飛んだわ」

その理由を教えて貰っていいですか?

「新入生の力量を図る練習試合が切っ掛けよ。一年生が主力でその補助に二年生が数名ほど参加。そして最上級生の三年生の試合。高等部と違って中等部から戦車道を始める子だって大勢いるのに、そんな状況で誰の目から見ても勝敗なんてすぐにわかりそうな試合だったけど、そんな圧倒的不利な状況でみほは勝ったのよ。黒森峰は西住流の影響力が強い学園だから先輩達も西住流の動きを取り入れた作戦を展開するんだけど、みほは逆に西住流の動きを知り尽くして先輩達を絡めて動きを封じて、そして詰将棋の様に各個撃破して、最上級生に勝ったのよ。当初は西住流で戦わないみほを邪道とされて非難されたけど、何度戦ってもみほの圧勝。それからみほは黒森峰で注目を集めるようになったのよ。」

では逸見エリカさんと西住みほさんとは当初は不仲説が流れていましたが、その真相は?

「私は自分で言うのもなんだけど凄く負けん気が強かったのよ。誰もがみほを有能と認めても私は認める事が出来なった。憧れの西住まほさんの副隊長になるんだと当初は凄く敵視していた事は認めるわね。」

仲良くなったきっかけは?

「そうね。みほは黒森峰を変えたわ。初めは姉の七光りて影口を言っていた子も、常に厳格でピリピリして誰も寄せ付けなかった先輩達も、みほと接するうちに穏やかになっていったわ。誰もがみほを認めてみほの周りは常に笑顔で溢れていた。でも、当時の私は絶対にみほに親しくなろうとしなかった。相手が天才だからって常にみほに噛みついていたわ。それなのにみほは私に対して優しくしてくれた。私はそれが凄く気に入らなかった。そして初めて私はみほに言ったわ「どうしていつも貴女に噛みつく私に優しくするのよ」って、そしたらみほは「私と友達になりたいから」って言うのよ。私はこれを聞いて怒ったわ。私は西住みほをライバルと思っていたのに、私をライバルとして意識していなかったのかと」

それほど険悪な関係からどのようにして友人に?

「みほは常に自分に噛みつく私に興味があったかららしいわ。みほは小さい頃から隊長と一緒に西住流を学んだ子。そしてなまじ隊長と同様の才能があるから大半の人間はみほに挑戦する事を諦めたけど、私は常に噛みついていたからみほからしたら不思議に思ったらしいのよ。そうやって話していくうちにみほは周りが天才と称してくれるけど、誰もが戦車道で異質なな才能があるみほを疎ましく思って友人が出来なかった事を話してくれたわ。そうやって本音を聞くうちに私もよくわからないけど自然と友人になっていたのよ。」

なるほど。では最後の質問ですが、隊長の西住まほさんと黒森峰女子学園立て直しに同じく貢献した逸見エリカさんは西住まほさんと一緒に取材を受ける際に自分は西住みほさんの変わりでしかないと言っていますが、その理由について教えてください。

「そのままの意味よ。もし、みほが事故死しなければ副隊長という地位はなかったわ。そもそも隊長と一緒に立て直したって言っても私は隊長の補佐をしていただけ。今でも去った隊員達を引き留める事が出来なかったんだから私はみほより副隊長としての格は下よ。だから今でも私は西住みほを超えるべき壁だと思っているわ。」

貴重な意見をありがとうございました。今回の取材は大変有意義でした。本当にありがとうございます。

 
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