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星河の覇皇

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第六十五部第五章 ヒッピーその十八

「博愛ともいうがだ」
「貴族という導く階級がいない」
「指導者のいないものですね」
「そうしたものですね」
「平和を謳歌しているが実は堕落している」
 エウロパでは実際にこうも考えられている。
「非戦と言いながらいがみ合ってばかりだしな」
「連合の中で」
「何もまとまらずに」
「そのうえで、ですね」
「非戦だの言っているだけですね」
「矛盾している、そして性的にも乱れ無政府主義的だ」
 アナーキズム、それもあるというのだ。
「国家の主権だの法律だのを軽視しているな」
「その感じもありますね」
「確かにそうですね」
「あのヒッピーというものは」
「そうしたものですね」
「身なりといい音楽といいその主張といいだ」
 要するにその全てがというのだ。
「頽廃だ」
「まさにですね」
「その中にあるものですね」
「それがヒッピーですね」
「リベラリズムともいうが」
 この言葉自体はこの時代にも残っている、政治的立場としてもだ。この考えは根強く残っているのである。
「しかしだ」
「その思想はですね」
「連合においては」
「エウロパのリベラリズムと違う」
「左様ですね」
「何でもかんでも自由だの平等だの言うのだ」
 そうしたものになるのだ、エウロパから見た連合のリベラリズムは。
「そんなものではな」
「確かなものではないですね」
「何もなく」
「ただ雑多なだけで」
「まとまりもありませんね」
「元々まとまりのない国だ」
 アッディーンはあくまでエウロパから見た連合を話していく。
「所詮はな、だからだ」
「ヒッピーもエウロパにおいては」
「受け入れられないものですね」
「衆愚の頽廃文化」
「それに過ぎませんね」
「エウロパ健全だ」
 少なくともそれを目指している社会だというのだ。
「健全な精神を養いそこから健全な肉体、ひいてはな」
「健全な社会」
「そして健全な国家ですね」 
「民主主義もまた」
「健全ですね」
「薬なぞには溺れない」
 エウロパではヒッピーはこう思われている、実際は違うが。
「酒にもだ」
「飲みはしても」
「それでもですね」
「溺れない」
「貴族も平民も」
「決してですね」
「その通りだ、貴族文化も平民文化もだ」
 その二つの階級のそれぞれの文化もというのだ。
「どれも違うな」
「はい、健全です」
「平民文化もです」
「至って健全で健康的で」
「真面目なものです」
「自由でしかも健全だ」
 頽廃ではなく、というのだ。
「ヒッピーとは違う」
「退廃文化ですね」
 一人がこの言葉を出した。
「つまり」
「そうだ、まさにな」
「連合にあるものはそれですね」
「大衆文化というがだ」
 その実はというのだ。 
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