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星河の覇皇

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第六十五部第五章 ヒッピーその十六

「けれど戦場はベトナムだっただろ」
「ああ、アメリカ本土じゃなかった」
「本土で戦争の実態を聞いて起こったことだったな」
「それが今でも続いていてな」
「俺達になってるんだよな」
「若しもだよ」
 サングラスはこうも言った。
「俺達自身が言うだろ、戦場で」
「その場で撃ち殺されるか」
「全体主義国家でもか」
「もうその場でな」
「殺されるか」
「そうなるか?アメリカは民主主義だしな」
 その時代、もっと言えば建国の時からだ。
「色々な意見を認める国だろ」
「だからヒッピーも認められる」
「それで今でも活動出来る」
「そういうことなんだな」
「戦場でもないし民主主義だから」
「ヒッピーはやれるんだな」
「ヒッピーは余裕があるんだよ」
 サングラスはこうも言った、ヒッピーの中にあるものをだ。
「余裕がある社会で生まれて余裕のある文化になっているんだよ」
「余裕のない社会だとか」
「そう簡単には生まれないか」
「それで育ちもしない」
「それが俺達か」
「政治活動は出来てもな」
 非戦を訴えることだ、実際にエウロパ戦役は彼等はエウロパを嫌っていてもこの立場から戦争反対を主張していた。
「戦場とか全体主義国家では存在も出来ない」
「それがヒッピーか」
「平和な民主主義国家じゃないとか」
「俺達はいないんだな」
「そうなんだろうな、それで平和の中で生まれてな」
 もっと言えば自由や博愛の精神が主張出来る世界においてだ。
「それを守っていくのがヒッピーなんだろうな」
「その平和とか自由をか」
「歌って一緒に話したり主張してか」
「表現もしたりして」
「守るのが俺達か」
 即ちヒッピー文化だというのだ。
「そういうものなんだな」
「だからサハラではいなくてか」
「これから生まれるかも知れない」
「そういうものか」
「だろうな」
 お互いにだ、ヒッピー達はこう話すのだった。そうしたことを話しながら酒も音楽も楽しんでいた。そこには確かに自由と平和、そして博愛がある。
 そうしたものの中に身を置きつつだ、彼等は話してだ。
 ドレッドがだ、自分の酒をもう一缶出して述べた。
「ずっとこうであって欲しいな」
「平和なままでな」
「それを守っていきたいな」
「俺達にやり方でな」
「連合のこの風土ってのをな」
「俺は分権主義者だよ」 
 ドレッドは自分の政治的立場も話した。
「やっぱり連合は各国の権限が強くていいんだよ、それでもな」
「連合であって欲しい」
「そういうことだな」
「こんなに自由で平等な国が他にあるか」
 人類の社会にというのだ。
「確かに色々難儀なところもあるし差別だってな」
「あるな」
「職業差別もあれば」
「民族間の対立もなくはないか」
 昔の日本で言う地域的な感情対立の様なものではあるがだ。
「色々とな」
「問題はあるな」
「やっぱり差別ってのは簡単にはな」
「簡単にはなくならないな」 
 このことは連合にいても認めるしかなかった、人間の習性の一つとして他者への差別がありそれは容易には克服出来ない。 
 だからだ、連合にもこれがあることはあるのだ。 
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