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【アンコもどき小説】やる夫は叢雲と共に過剰戦力で宇宙戦艦ヤマトの旅路を支援するようです

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テンプレ転生シーン 最初のサイコロ

「いやまぁ、私だって物語的には美しいと思うのですよ。
 けど、その完結まで数十億の人間の命が消えるのはどうかなぁと思いまして。
 あれ、数年単位で天国と地獄ブラック勤務でーなんですよ。まじで」

 おかしい。
 死亡してうきうきとチート転生と思ったら、目の下にくま作った女神が涙目で愚痴ってやがる。

「大体おかしいと思いませんか?
 いくらSFの世界だからってあそこまで負けがこんでて、それで逆転勝利って。
 まだ綺麗に滅んでくれれば、こっちもお役ごめんで別の部署へ……」

 まて女神。
 自分の担当する世界ディスり始めたぞ。
 なんかいっちゃった目で天井見上げてぼやき出したし。

「しかもあれですよ。
 チートつけます。ハーレムつけますって言っても誰もこの世界にやってこないんですよ!
 なんですか!
 ほんのちょっと惑星規模の攻撃があった程度でみんなびびって!!
 死ぬ時は一瞬だから楽ですよって笑顔でアピールしても、ご活躍をお祈りしていますって!
 そんなにみんなSFいやですか!
 そんなにエルフがいいですか!
 出してあげましょーじゃないですかって言ってもみんな断りやがって!
 辞めてやる!
 今度こそ女神辞めてやるんだから!!」

 多分これそのまま去った方が良かったのだろう。
 だが、お人好しかつ少しスケベな俺は見た目だけは良い女神についつい声をかけてしまった。

「ちなみに、その世界ってどんのです?」

「『宇宙戦艦ヤマト』……って!居たの!?
 ちょっと待って!
 そのまま去らないで!!
 色々つけるから、茶菓子も用意するから、見捨てないでぇ!!!」




「問題は、あの話が一年で終わる所にあるんです」

 女神必死の泣き落としに負けた俺は、女神相手に問題点を指摘する。
 SFゆえにこの時間の短さが、色々と問題を浮き彫りにする。

「まずガミラスに地球圏まで攻め込まれている時点で論外です。
 女神様の仕事軽減を考えたら、植民が始まっている火星圏の維持は至上命題。
 そこを前提にすると木星圏が最終防衛線になります」

 女神様が太陽系星域図を展開させながらメモを取る。
 ホログラムよろしく綺麗に回る太陽系は見ているだけでちょっと楽しい。

「で、この問題のやっかいな所が、こちらのチートを持ってしてもガミラスの科学技術に負けているという事実です。
 特に昨今のファンタジー系の隆盛で対個人戦においてのチートは有利にはなるでしょうが、この物語は数百隻単位の艦隊戦がメインです。
 ガミラスの科学技術に勝てるだろう作品はメジャーな所だと少ないんですよ」

 まず第一前提としてワープがある。
 これができる技術が無いと、ガミラスには勝てない。
 ガンダムは却下。ナデシコはボソンジャンプ前提だがギリ可。
 なのははOKだろうが、管理局の艦隊運用が多分数十隻単位だから、厳しいと見た。
 銀英伝はOKだろうが、あれは万単位の艦艇が出てくるから個艦能力については?がつく。

「だとしたら、選ぶのは一択。
 スターウォーズだと思う。
 クローンとドロイドが実用化しているから、戦力的には問題がないし、フォースもあるから俺ツエーもし易いだろう」

「ふむふむ。
 じゃあ、貴方、それで転生してみない?」

「は?」

 がっしりと肩を掴まれる。
 そのワガママバディのどこにそんな力があったのかと思うが、顔は女神でなく幽鬼である。
 ブラック業務イクナイ。

「チートつけるわよ。
 ハーレムつけるわよ。
 出来る限り、望みを叶えるから、どうか人類死亡者数を減らしてほしいのよ!
 ぶっちゃけ、ガミラスと戦わなくていいからさぁ」

 おかしい。
 女神の誘惑のはずだが、今の俺には悪魔の脅迫に聞こえる。
 魂増えるから悪魔は喜ぶ……なるほど。食べ過ぎたからダイエットという訳だ。
 どっちにせよ、断れる状況に無かった。

「で、転生特典は。
 どうせ制限があるんだろう?」

「あらよく分かっているわね。
 歴史の改竄は、うまくやらないと制止力が働いて、つまり私が上に叱られてという訳。
 問題なのは、ガミラスとの戦争における洒落にならない死亡者数だから、これを減らすことが目的。
 フォースはつけてあげるわ。私利私欲に使うからシス扱いでしょうけど、こっちの銀河には貴方一人しか居ないから関係ないでしょうし」

 おい。
 力に溺れろと言ってないか?この女神?

「あら?
 英雄力と色を好むってね。それぐらい億単位の人の死亡時期を減らして私の仕事を減らせるなら構いはしないわよ。
 とりあえず、転生特典はこんなのでどうかしら?」

 出できたのは一枚のボード。
 そこにはこんなのが書かれていた。



1 ヴェネター級スター・デストロイヤー

2 MC80スター・クルーザー

3 インペリアルI級スター・デストロイヤー

4 ルクレハルク級ドロイド司令船

5 エグゼクター級スター・ドレッドノート

6 デス・スター (EP4仕様)


「おい女神」
「な、何よ……」

 俺の真顔に女神がたじろぐ。
 それを気にせずに淡々と6のデカブツを指摘した。

「これ、現実の米政府にすら馬鹿にされたガラクタじゃねーか。
 制止力ガバガバだな。おい」

「だからEP4仕様で一撃で爆散するようになっているじゃない!
 大丈夫ガチャで星5出る程度の確率でしか当たらないわよ」

「まったく安心じゃねーじゃねーか!!!」 

 こっちの叫びを気にせずに、女神は俺の目を見ずに説明を続ける。
 つまり、ボードの裏側を読むために顔をボードで隠しやがった。

「一応、メリットとデメリットは説明しておくわ。
 1から5については、補給基地が必要だから太陽系外縁部に補給基地を作ってもらう必要があるわ。
 その人員は乗員から抽出する事になるけど、建設資源は当然その船で探してちょうだい。
 4・5・6はドロイド及びクローン製造施設があるから毎年一定数のドロイド及びクローンを製造できるけど、その資源は以下略。
 さらに6には兵器製造プラントもあります!
 けど、6はぶっちゃけると、太陽系外縁部でも見つかるから貴方の成長が終るまで他星系に隠してください」

 まて女神。
 そもそもの目的を思い出せ。こら。

「………てへっ♪」

 なるほど。
 この女神が駄女神であると確信した瞬間である。

「あと、女神特典として、艦の運営に貴方が生前提督業をしていた艦娘をつけてあげるわ。
 その方がやりがいがあるだろうし、まぁ、ボーナスみたいなものよ」

 それはちょっと心惹かれるな。
 頑張ってケッコンカッコカリしたあの艦娘に会えるのは悪くない。

「じゃあ運命のサイコロターイム。
 何がでるかな。何が出るかな。それはサイコロ任せよ♪」

 女神が振ったサイコロの出目は5。
 すると、俺の隣に俺の嫁艦が姿を現す。

「エグゼクター級スター・ドレッドノート。
 5番艦になるのかしら。
 叢雲よ。
 あんたが司令官ね。
 ま、せいぜいがんばりなさい♪」

 左手の薬指に指輪を確認。
 デレ雲だった。

「ここでもよろしく。
 叢雲。
 で、駄女神様。知っているか?」

「駄女神言うなぁ!!!
 で、何なのよ」

「デス・スターはある意味分かるが、エグゼクター級スター・ドレッドノートはスペック見て載せたんだよな?」

「いいえ。
 適当に強そうなのを載せただけだけど?」

 駄女神の致命的な一言が分からない叢雲が、新しい己のスペックを披露する。

「全長19㎞。乗員約28万人。
 レーザーキャノン2000基、戦闘機を144機搭載できる銀河帝国宇宙軍宇宙艦隊の総旗艦として建造されたのが私よ。
 皇帝専用船やかのダースベイダー卿も私達の船に乗ったんだから!」

 やっと己のミスに気づいた駄女神様の顔が真っ青になる。
 優しい俺は丁寧に、駄女神様の傷に塩を塗り込んでゆく。

「宇宙戦艦ヤマトは2199仕様だと、全長333メートルで乗員999人だっけ。
 大丈夫なのか?これ?」

「やっちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 なんとかインチキできんのかと俺は思ったのだが、何かどこかのDと同じ考えらしい駄女神様は関係各所に頭を下げ続けてなんとこれを通してしまう。
 普通のスター・デストロイヤーでも良いのだがと俺は言おうと思ったのだが、その超スペック(もちろん体も超弩級戦艦仕様)で無駄にうきうきしている叢雲を見て素直に黙っていることにした。

「これで転生の条件は終わりだけど最後、名前は何にする?」

 そりゃ決まっている。
 こんな荒唐無稽で、すちゃらか最低オレツエーのエター予定物語にふさわしい名前は一つしか無い。

「入即出やる夫」


 これは、駄女神様から任務を与えられたやる夫が、過剰戦力を持って宇宙戦艦ヤマトの旅路を助ける最低蹂躙物語である。
 その運命と未来は、サイコロだけが知っている。






 おまけ

「数十億の人間が短期間で消えて天国も地獄もブラックならば、ガンダム世界なんてどうなるんだ?」
「だから、あの世界大量に転生者を送り込んでいるじゃない」

 納得。 
 

 
後書き
ネタ元
『スターウォーズ』
『艦隊これくしょん』
『水曜どうでしょう』
多分女神は『この素晴らしい世界に祝福を』のアクア様のイメージ。
おまけネタ『ガンダム』

サイコロの証拠
https://twitter.com/hokubukyuushuu/status/950584644403003392 
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