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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ハリー・ポッター】編
  221 隔離病棟じゃないクリスマス


SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー

突然な話だが、アニーに渡したものは数多くある。

それは数年前クリスマスにプレゼントした〝検知不可能呪文〟がかかったバッグなんかがそうだし、今もなおアンブリッジの目を盗んでは開いている〝露店〟に並べてある〝盾の指輪シリーズ〟なんかもそうだ。

そしてその〝指輪〟は、家族や〝騎士団〟皆にも渡していて──当然ながら父さんにも渡してある。……つまり、父さんが〝聖マンゴ〟に入院する羽目になる事もなく、パーシー以外の家族全員で無事にクリスマスを〝隠れ穴〟で過ごす事が出来たのだ。

……実際には襲われたことは襲われたらしいが、〝盾の指輪〟のお陰で異音を聞き付けた〝ガード魔ン〟が来るまでは持ちこたえる事が出来たのだと父さんから(いた)く感謝されたり。

閑話休題。

あの墓場の一件で〝お辞儀さん〟との繋がりが出来て〝それ〟に気付けたはずのアニーがそれに気付かなかったのは、〝閉心術〟もそうだが──やはり一番の理由として、こちらも〝盾の指輪〟が挙げられる。

……一昨年の夏、〝お辞儀さん〟の夢を見たとアニーから相談されてから片時も〝盾の指輪〟を外さない様に注意してあり、それは父さんについても同様。……まぁ、有り(てい)に云わば、〝こんな事もあろうかと〟と云うことだろう。

そしてホグワーツに戻って来て一日目が過ぎた火曜日の朝のこと。遂に状況が変わった。

「……えっ」

〝予言者〟を広げたハーマイオニーが息を呑む。そしてハーマイオニーは俺とアニー、ネビルに読んでいた〝予言者〟の紙面を見せてくる。

〝予言者〟にはこう記されていた。


――――――――――――――


〝アズカバンから集団脱獄!! 魔法省の危惧──ペティグリューを旗頭に結集か?〟


昨夜遅くに魔法省が発表したところによれば、アズカバンから集団脱獄があった。
魔法大臣コーネリウス・ファッジは、執務室で記者らに対し、特別監視下にある──もしくはあった11人の囚人(顔写真等は当紙面の下部参照)が昨夕脱獄したことを確認し、すでにマグルの首相に対しこれら11人がこの上ない危険人物であることを通告したと語った。


――――――――――――――

それ以降も色々と書かれていたりしたが──取り敢えずはそこまで読んで、〝予言者〟から顔を離す。……それ以上記事に目を通しても、腹筋にダメージを蓄積させることしか出来ないと悟ったためである。

特に見出しの文言で…

(……〝あの〟ピーター・ペティグリューが…? この記事はスレンダーーンか何かだったか…?)

……と思ってしまう俺は悪くないはず。ピーター・ペティグリューの為人(ひととなり)を知っているアニーも頬を紅潮させつつ痙攣させている辺り、〝予言者〟に対して怒りを──更には呆れをも通り越し、最早失笑してやりたいらしい。

「ピーター・ペティグリューが≪死喰い人(デス・イーター)≫の旗頭…? ……寝言は寝てるからこそだと、ボクは思うんだけどなぁ」

「きっと他にアズカバンから脱獄した魔法使いで汚名をふっかけられるのが居なかったのよ」

「シリウスには謝礼金を渡しちまってるからな」

アニーの皮肉に対してハーマイオニーと俺はそう返すしかなくて。アニーもアニーで、俺達から大したリアクションを求めていなかったのか、溜め息を一つ()いては黙りこんでしまう。

ふと教師陣の反応(リアクション)が見たくてそちらの食卓を見遣れば、教師陣もハーマイオニーと同じく〝予言者〟を片手に重苦しい雰囲気で朝食を口に運んでいる。

……しかしアニーより早くに黙りこみ──かつハーマイオニー以上に重苦しい雰囲気を醸し出している存在がここには居た。……ネビルである。

「………」

ネビルは実際そうなのだが──親の仇でも見るかの様な目付きで今回脱走した11人の内の一人であるとある魔女を()め付けていた。

ネビルの視線のその先の魔女の名前はベラトリックス・レストレンジ。……ネビルの両親に〝(はりつけ)の呪い〟を廃人になるまで掛け続けた≪死喰い人(デス・イーター)≫の一人だ。

そこでハーマイオニーがネビルを見る。

その時点で俺はベラトリックス・レストレンジの(とが)について──ネビルの両親について記されている事を悟る。そして、どうやらハーマイオニーは、記事に〝ロンクボトム〟と云う見慣れ過ぎた名前を見付けてしまったらしい。

「ネビル、もしかしてこの〝フランクならびにアリス・ロンクボトム〟って…」

「ハーマイオニーの予想通りだよ。……その二人は僕のパパとママだ」

「ごめんなさい、ネビルの気持ちを知らなくて…」

「いいんだ、ハーマイオニー。……去年〝トーナメント〟が終わってロンとアニーから〝例のあの人〟が戻って来たって聞いた時からいつかは〝こう〟なるって判ってたから」

ネビルはハーマイオニーの謝罪を達観したような表情で流す。

(やせ我慢──ってわけでは無さそうだな)

何となくだが、ネビルの瞳からは確固たる意思のようなものが感じられるような気がした。……きっとネビルの中でベラトリックス・レストレンジに対する感情の整理は終わっているのだろう。

ハーマイオニーは気を取り直したのか、改めて〝予言者〟を折り返し新たな記事に目を通し始めるが3分もしない内に痛ましい声をあげた。

「ああ…っ、なんてこと…」

「どうしたの、ハーマイオニー?」

「三人とも、これを見て…」

アニーがハーマイオニーに声を掛けると、ハーマイオニーがその記事を俺たちに見せてくれる。その記事の見出しには[魔法省の役人 非業の死]とあった。軽く目を通しただけだが、ブロデリック・ボードと云う魔法省の役人が〝聖マンゴ〟で〝悪魔の罠〟によって絞め殺されてしまったとのことだ。

「〝悪魔の罠〟ってたしか1年の時の〝あれ〟だよね?」

「そうよ、スプラウト先生が〝賢者の石〟を守るために持ち込んだ〝あれ〟よ」

「こんなの、ひどいよ…」

ネビルがショックを受けているが、俺は〝ボード〟と云う名前に思うところがあった。……どこかで聞き覚えがある名前な様な気がしたのだ。

(ブロデリック・ボード──ボード…)

数度ボードの名前を脳内で反芻(はんすう)するが、ちっとも思い出せない。

……なので、そこで一旦頭の縁っこにボードの名前を置いておこうとしたのだが、ふと遠巻きに聞こえた〝クィディッチ〟という語句(ワード)で閃いた。

「……っ、こいつ〝無言者〟だ。……すっかり忘れていたが思い出せた」

「〝無言者〟って魔法省の〝神秘部〟に勤めてるっていう…」

「ああ。クィディッチ・ワールドカップの時、父さんの口から〝ボード〟の名前が出たんだ」

「……うーん…。……快方に向かっている〝無言者〟の元に〝悪魔の罠〟が都合良く──きな臭いね」

そう締めるのはアニーで、ハーマイオニーも深く頷いている。俺も同意だ。

「……?」

ちょっと込み入った話になってきたので、話に着いてこれきってないネビルにアニーとハーマイオニーが簡潔ながら説明しているのを横目に見ながら、〝IF(もしも)の話〟を考えていた。

〝知識〟の通りに事が推移していれば、〝映画〟には描写こそされていなかったが──父さんは〝聖マンゴ〟に搬送されていた公算が高い。……故に、連鎖的に考えてしまうのだ。

(……もしかしたら、ボードを見殺しにしちまった…?)

……と、そう考えてしまう俺は不遜なのかもしれない。しかし可能性としては2割くらいだと俺は見ている。……〝聖マンゴ〟の構造が判れば多少の判断がつくかも判らないが、ネビルに()くのはさすがに憚られた。

暗鬱とした空気が蔓延する。……しかしそんな朝でも、(つつが)無く一日が始まるのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

アズカバンからの≪死喰い人(デス・イーター)≫どもの集団脱獄は≪プロメテウス≫にとって大きな刺激を与えた。

……≪死喰い人(デス・イーター)≫もそうだが吸魂鬼(ディメンター)が世に放たれたと云う危機感をメンバー達にもたらしたのだ。

「……何て言うか──脱帽だね」

「ああ…」

アニーの感嘆に俺もそう短く返すしかなかった。ハーマイオニーもネビルも愕然としながらも、アニーと俺の所感に追従(ついしょう)する様に頷いている。

俺とアニー、ハーマイオニー、ネビルの前には59もの銀白色の化生(けしょう)──〝守護霊(パトローナス)〟を携えた59人の≪プロメテウス≫のメンバー達。

〝多少のズル〟はしたとは云え──よもや、≪プロメテウス≫のメンバー──アニー、ハーマイオニー、ネビルを除く59人全員が1日の内に〝守護霊呪文(パトローナス・チャーム)〟を修めるとは思わなかった。

……その〝多少のズル〟とは〝開心術〟で幸せな記憶を引っ張り出したことで、当たり前だが男子は俺に女子はアニーと分けてあり、〝開心術〟で覗いてしまった記憶についても決して口外しないと約束してある。

……もちろん、〝開心術〟を拒否された場合は常道の、イメージトレーニングの方法を教えたると説明したし──最悪〝破れぬ誓い〟立てても良かったのだが、ザカリアス・スミスでさえも口頭の約束のみで受け入れてくれた。それは女子も同様だったようだ。

閑話休題。

「止めっ!」

号令の後の手拍子と共にメンバーたちは〝守護霊(パトローナス)〟を霧散させ、彼らからしたら──前に立っている俺達を一斉に見て口を閉じる。……そして、その様を見てふと脳裏にこう(よぎ)る。

(……これって丸っきり軍隊だよな…)

……と。最近やっているのは大方〝魔法ケイドロ〟などのレクリエーションなのだが、何故か一部の──〝身内〟を除く≪プロメテウス≫のメンバー達からの恭順度が高まっている気がする。

だからザカリアス・スミスやマイケル・コーナーですら俺に〝開心術〟を使われる事を良しとしたのだ。

(……ま、いいか)

恭順度が上がっているとはいっても、危険があるわけでも無いので一旦そう捨て置く。これまでの──前世前々世を含めた人生で屡々(しばしば)あったことでもあるから…。

……ちなみに、その恭順度ゆえにアンブリッジに対して変に噛み付かない様にと言い含めてあり──〝真実薬(ベリタセラム)〟が服用される可能性についても通達してあるので≪プロメテウス≫について嗅ぎ回られているとかの心配はしていなかったりする。

閑話休題。

「さぁ〝魔法ケイドロ〟始めるぞー」

今日も今日とて訓練に身を(やつ)すのだった。

SIDE END 
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