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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ハリー・ポッター】編
  218 結成、≪プロメテウス≫


SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー

去年度、帰りの〝ホグワーツ特急〟でハーマイオニーが設立を提案提案自衛団、≪プロメテウス≫の設立が非公式ながらも──ダンブルドア校長の名に()いて許可されてから、二十日ほど。今年度初めて【ホグズミード村】に行ける日にちとなった。

それは、今まで書面上で名を連ねているだけだったのだが、ついに≪プロメテウス≫のメンバーの顔合わせが出来る様になった事も意味していた。

「まずは、防聴だな。……“耳塞ぎ(マフリアート)”」

「何だい、その見たことない呪文は…?」

「〝防聴呪文〟だ。これで外からは、俺らはただジョークを交わし合っているだけように見える。……見たことないのはとある人物の独自呪文(オリジナル・スペル)だからだよ」

「イかす」
「俺らにお(あつら)え向きな呪文だな」

【ホグズミード村】にある場末のバー、【ホッグズ・ヘッド】の一角。一応、≪プロメテウス≫のメンバーを除くとダンブルドア校長の弟であるアバーフォースしか居ない事を知っているが──〝防聴呪文〟を掛けると、セドリックが質問してきたので簡単に呪文の効能について語ってやる。

……ダンブルドア校長からこの【ホッグズ・ヘッド】の事を聞いてから【叫びの屋敷】経由で──来た時に、アバーフォースがこんな場末のバーを開いている事に驚いたのは懐かしい。……もちろん、その際には“己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)”でちゃんと変装していたのでアバーフォースには俺の顔は割れていなはず。

閑話休題。

〝防聴呪文〟にフレッドとジョージの他にも小さめながら歓声が上がり、他のメンバー達からも関心を向けられる。俺としては予想外ではあったが、メンバーの関心を集める事が出来たので良しとした。

「今日は来てくれてありがとう。……各々聞きたい事、言いたい事は色々有ると思うが、まずは聞きたい──この〝予言者〟の記事を覚えている人はいるだろうか?」

それらの声が収まった頃を見計らって、俺は集まってくれた事に対して礼を述べながら一枚の新聞を取り出して皆に見える様にする。

その新聞は云うまでもなくマグル界の政治新聞などではなく、魔法界に於ける新聞──【日刊予言者新聞】である。

その〝予言者〟の紙面には[魔法省、教育改革に乗り出す ドローレス・アンブリッジ、初代高等尋問官に任命]と、でかでかと記されている。二週間ほど前に発刊された記事だ。

……その記事にはアンブリッジの写真もあって、紙面のアンブリッジがこちらの嫌悪感を煽っている──様に思えるのは俺だけではないだろう、きっと。

閑話休題。

俺の問いに、全員が──まるで示し合わていたかの様なタイミングで首肯する。

「結構。この書面の大見出しをそのまま読めば[魔法省、教育改革に乗り出す ドローレス・アンブリッジ、初代高等尋問官に任命]だが、云ってしまえばこれは魔法省がホグワーツに本腰を入れて干渉してきた事に他ならない」

とりあえずはそこで区切り、「そこんところも理解出来ているよな?」と重ねて問えば、また堂タイミングの首肯が全員から一斉に返ってくる。

「……つまり魔法省側は俺達の教育水準を管理下に置きたい訳だ。……少なくとも〝闇の魔術に対する防衛術〟に関してはな」

「何で?」

「良い質問だ、コリン。簡潔云えば魔法省大臣──ファッジはダンブルドア校長を恐れているんだよ」

「……それに、ボクが聞いた話だとファッジは〝魔法省大臣〟と云う地位に固執しているらしい」

コリンの(もっと)もな質問に答えてやると、俺の言葉が短かった様に感じたのだろう──アニーがそんな風に言葉を足してくれる。

……と、そこで…

「魔法省はダンブルドアがクーデターでも起こそうとしているとでも思っているのか?」

「ああ、さっきアニーが註釈を足してくれた様にファッジはダンブルドア校長に追い落とされるとでも思っているのだろう」

テリー・ブートから、ちゃんとこれまでの話の内容を理解していた事が判る質問が飛んできた。今日日(きょうび)の魔法界の情勢をちゃんと理解しているあたり、さすがはレイブンクローと云ったところか。

「〝ホグワーツに最右翼(アンブリッジ)を送り込んだのはどうせそんな経緯(いきさつ)だろうさ〟──と、俺は考えている。……そして、さっき俺は〝魔法省は俺達を管理下に置きたい〟って言ったよな」

そう皆に()いてみれば、タイミングこそ多少のばらつきはあったものの、全員が首肯する。……と、そこで地頭は悪くないフレッドとジョージが〝そう〟なる可能性があることに気付いたようで…。

「……って事は…」
「魔法省は俺達の足を引っ張りたいわけだ」

「その公算は高いだろうな」

「だからこの≪プロメテウス≫とやらで…」
「〝もしも〟の時に備えて自衛出来る術を学ぼうってことか」

今度は俺が首肯する。

こういった言葉が聴衆から出てきているのは、ちゃんと話に耳を傾けてもらえていると云う証左になる。……頷くだけなら首振り人形でも出来るのだ。

フレッドとジョージが俺の語りたかった内容を上手いこと──他多数のメンバーにも分かりやすい様に纏めて話を巻いてくれたので少し助かった。

「……そう、ジョージの言う通りなんだよ、アンブリッジの知識を詰め込むだけの授業じゃ無意味だ──だから〝防衛術〟を学ぼうって、この≪プロメテウス≫を結成したんだ」

真なる言い出しっぺはハーマイオニーだが、それは(つまび)らかに語るべくもないだろう。

それから≪プロメテウス≫の訓練場として使う〝在ったり無かったり部屋〟の場所を教え、また会合の合図を送る手段として自身が〝変幻自在呪文〟を掛けたコインをハーマイオニーに配ってもらいその日の顔合わせは終わった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

(やが)て始めての≪プロメテウス≫の会合が開かれる日が来た。顔合わせからこの幾日でホグワーツでいろいろな出来事があった。その最たる例は〝教育令第二十四号〟とやらが発令された事だろう。

その号令は、現存している生徒のチームの類を一旦全て解散して、アンブリッジの許可によってのみ再結成が可能だ──という号令なのだが、俺達からしたらそんな号令はへのへのかっぱで、第一回の会合を開いていた。

そしてその内容だが、初っ端から杖を使って〝決闘クラブ〟よろしくな訓練に身を(やつ)している──わけではなく、まずは座学から始めていた。

知識の詰め込みはアンブリッジの授業で懲り懲りなのだろう──マイケル・コーナー辺りの数人から反感や疑念の声は出たが、デモンストレーションとして〝実戦を実践〟してやったらそれらは少なくなった。

さすがに〝武装解除呪文〟だけで〝20人抜き〟をされるとは思っていなかったのであろう──俺に敗れた皆は肩を落としていた。アンブリッジの肩を持つわけではないが、知識を軽視して良い理由にはならない。やはり知識あっての実践だし、実践あっての実戦だから。

それに…

(……まぁ、〝別荘〟で時間が潤沢に使える事も関係しているんだろうがな…)

……ちなみに、〝別荘〟に対しての反応(リアクション)は割愛させてもらう。ハーマイオニーとネビルが始めて〝別荘〟に入った時とリアクションが大体同じだったからだ。

閑話休題。

〝別荘〟内で24時間──は言い過ぎだが、それでも12時間以上を〝武装解除呪文〟の修得に費やし、メンバー全員が〝武装解除呪文〟を使えるようになったところで第一回の≪プロメテウス≫の会合は解散となったのだった。

SIDE END 
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