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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ハリー・ポッター】編
  210 クラウチ家のスキャンダル


SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー

(……さて、どうしてこうなったか…)

復活祭(イースター)を間近に控えた今日(こんにち)、俺は〝現状〟について頭をまわす。

俺は現在、第三の課題の説明を受けた後〝ちょいとツラ貸しな〟──みたいなニュアンスでクラムに連れ出されていた。

どうして呼び出されたか意味不明だったが、重々しく開かれたクラムの口によって疑問が解氷する。

「君ヴァ、グレンジャーとどういう関係だ?」

「は?」

「グレンジャーとヴァどういう関係だと聞いたんだ」

クラムから予想外の質問にアホ面を晒してしまう。しかしクラムはいたって真面目な面持ちだ。

つまりクラムはハーマイオニーに本当に惚れてしまった──と云うことらしい。……仙術の探知範囲内に入っている〝ここにいる人物〟についてだけでも頭を悩ませていたのに、余計に頭が痛くなる。

〝頭痛が痛い〟とはこの事だろうか。正直、死んでいるものだと思っていた人物だ。……が、既に気付いてしまった以上は保護しておくべきだろう。

(てか、〝あの人〟生きてたのか…。……あー、もう、バタフライエフェクトと割り切るしかないか…)

俺はこのまま放っておけば死ぬことが半ば確定している人物──クラウチ父を保護するために、まず目の前の青春真っ盛りの少年を丸め込むために口を開いた。

「……少し、歩こうか」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「……それからクラウチ氏をホグワーツの城へクラム選手と共に運びこんだというのが一連のおおまかな顛末(てんまつ)です」

「ふむ…。そうか、バーティを保護してくれてありがとう、ロン」

ダンブルドア校長は豊かに蓄えられた顎髭を撫で付けながら俺に礼を述べる。現在この場には俺とダンブルドア校長の他に、クラウチ氏を保護した場面に居合わせたクラムと、ダンブルドア校長の連絡を聞き付けておっとり刀ですっとんで来たカルカロフも顔を並べている。

「ビクトール、ウィーズリーの説明に間違ったところは少しでも無いかね?」

「はい、校長」

カルカロフは俺の弁明をちっとも信じられなかったのか、クラムに何度か問い掛けるもクラムの口からはカルカロフからしたら〝うまくない〟返事ばかり。


1:クラムに〝話がある〟と誘われ森へ。

2:森を歩いているとクラウチ氏を発見。

3:クラウチ氏とコミュニケーションをとろうとするもののクラウチ氏は憔悴しきっていた。

4:クラウチ氏には錯乱している様にも見えて、ロクにコミュニケーションをとれる状況ではなかったので〝失神〟させてクラウチ氏を医務室へ。

5:今に至る。


ダンブルドア校長とカルカロフに語った内容と云えば以上の様な塩梅で、〝1〟のあたりでカルカロフがクラムに噛み付くがクラムは取り付く島もない。俺もそこらはさすがに、クラムの名誉のためにも詳しくは語らなかった。

俺がクラムに森の近くに呼ばれたのはハーマイオニーを巡っての鞘当てみたいな内容で、青少年(クラム)の胸に秘められた想いをベラベラと語るほどクラムを嫌っていない。

……(もっと)も、ダンブルドア校長はクラムに生暖かい視線を向けていて──尚もクラムに詰め寄ろうとしていたカルカロフを宥めた様子を見る限り、クラムの秘めたる想いについて気付いているようだが…。

閑話休題。

……ちなみにクラウチ氏だが、今はウィンキーが着いていてダンブルドア校長の采配により〝聖マンゴ〟には送られていない。現在ならホグワーツのセキュリティの方が安全とのことだ。

また閑話休題。

「さてイゴール、今日の事についてはこの辺りで良いと儂は思うとるが…」

「だがっ…」

「校長先生、ヴぉく疲れた」

「ビクトール…。……判った、もう行こうか」

カルカロフはダンブルドア校長に噛みつこうするが、早くこの場を切り上げたかったのだろうクラムがカルカロフの言葉をぶった切り、二人揃って校長室から退室していく。

(よし、うやむやに出来たな)

しめしめ、と俺もクラムとカルカロフに続く様に退室しようとする。

「ああ、ロンは残っておくれ」

「はぁ…」

(げ…)

出来るだけ自然な所作に見えるように椅子から立ち上がろうとしたところで敢えなく呼び止められる。

「……どのような用でしょう?」

「単刀直入に()こう。……ロン、お主はバーティを襲った犯人に目星は付いておるかね?」

腰を椅子にかけ直し──校長室の扉が閉まりきったのを確認して、直球(ストレート)にダンブルドア校長に投げ掛けてみる。ダンブルドア校長も俺を必要以上に拘束するつもりはなかったのか、取り繕うことなくそう訊いてきた。

ダンブルドア校長は俺が“忍びの地図”を持っている事を知っている。その上、一年の時にはクィレル件、二年時にはバジリスクの件、去年の三年生の時にはシリウスの冤罪も証明してしまった。

(……判断材料を与え過ぎたか…)

(およ)そですが…」

「それでも良い。君の推測は筋が通っていることが多分にあるのでな」

割りと打算ありきの韜晦(とうかい)である。ここで惚けても痛い腹を探られるだけなので保険をかけながら述べてはみるものの、ダンブルドア校長はそう言い切る。

それこそ、〝俺が知っていて当然だ〟──とでも云うように。

……ともすれば、ダンブルドア校長のこの態度も納得できるような気がしてきた。

(〝予言〟だろうな、多分)

よくよく考えてみれば、アニーの予言に〝赤い龍云々~〟──みたいなニュアンスで俺の事に触れられてもそこまでおかしいことではない。何しろ俺はアニーを矢面に、〝お辞儀さん〟を滅殺するつもりなのだから。

実際、〝お辞儀さん〟の不死のタネたる〝分霊箱(ホークラックス)〟も直接的かつ間接的に三つも破壊している。七つの内の三つなので半数を破壊しているといっても差し支えがない。

……そんな考察は一旦横道に置いておくとして、今はダンブルドア校長の信用(?)に答えるのが先だ。

(……使える手札(カード)は〝地図〟くらいなもんだが…)

クラウチ氏を助けなければ無かったはずの懊悩(おうのう)。“忍びの地図”の件を出せば、当然ダンブルドア校長から〝いつから〝息子(クラウチ)〟に知っていたか〟を突っ込まれるだろう。

もちろん、クラウチ氏を助けた事を後悔しているわけではないが…。

そして、幾らかの逡巡(しゅんじゅん)の後、俺は意を決して口を開いた。

「……校長先生、推論を述べる前にお訊きしても?」

「構わぬよ」

「校長先生は〝バーテミウス・クラウチ〟と云う人物が二人居るのはご存知ですか?」

「……〝居た〟と云うのが正しい表現じゃな。バーティの息子はアズカバンで獄死しておる」

「……クラウチ氏の息子が獄死…?」

ダンブルドア校長は俺の言葉のニュアンスから俺の言いたい事を悟ったのか、神妙な面持ちでそんな風に改めてきたので、俺は驚いたような顔をしておく。……一応演技(フリ)だが、〝記憶〟的には曖昧なところだったから。

「そうじゃ、投獄されて一年ほどだったそうじゃ」

「ですが〝地図〟には…」

「〝地図〟はネズミに化けたピーターすら暴き出した。……故に儂は〝地図〟は疑ってはおらん。……じゃが、どうして──どうやって…」

手詰まり感が半端なくなり、お互い黙りこんでしまう。そこで俺は地味に気になっていた、〝獄死〟したと云うクラウチ氏の息子について訊いてみることに。

「……ところで校長先生、獄死したいうクラウチ氏の息子については?」

「……大して知らぬ。バーティの息子を間近に見たのは、彼が終身刑に決まった裁判くらいなものじゃ。その時のクラウチ夫人の憔悴具合は今でも鮮明に──っ」

息を呑むダンブルドア校長。俺もまた、ダンブルドア校長からもたらされた〝クラウチ夫人〟と云う言葉で繋がっていなかったピースを繋げる事に成功する。

(っ、〝ポリジュース薬〟か…)

縁の少ないものだったのでてっきり忘れていたが、〝ポリジュース薬〟をもってすれば息子と母親の互いが互いに変身すればアズカバンの監獄から連れ出す事も可能なはず。

……もちろん、今のところは推論の域を出ない。……と云うのも、俺の所感ではクラウチ氏は〝反闇の魔術〟の最右翼といってもいい人物であり、その人物が息子であろうと助命するとは思えなかったからだ。

(……なんか、色々とこんがらがってきたな)

思考が右往左往してしまったが、取り敢えず俺が言いたいはクラウチ氏が終身刑になるはずだった息子のその死を偽装し、隠匿していたと云うこと。

……確かにこれは、クラウチ氏を保護していた時に言っていた様に〝大変なこと〟だろう。

「校長先生、クラウチ氏の夫人は…」

「ロンの予想通り、亡くなっておる。息子が亡くなったとされるほぼ同時期じゃ──奇しくものう?」

「……同時期に──あっ、〝ポリジュース薬〟でなら…」

「ほう! 儂でも先ほどそこに思い至れた事じゃというのにもう辿り着けたのか。……(まっこと)、巧妙な手口じゃよ」

俺は〝今気付いた〟とでも言いたげに〝ポリジュース薬〟と云うワードを口にすれば、ダンブルドア校長は面映ゆそうに破顔させる。しかしそれも数秒のことで、直ぐに頬の筋は引き締まった。

「……ロン、お主は蒙昧(もうまい)な老人にバーティを襲った人物を──ひいてはアニーを(たばか)り〝対抗試合〟へと参加させた人物を教えてくれたのじゃろう?」

やはり何かしらの確信をもっているらしいダンブルドア校長。テキトーに惚けても良かったが、ある程度は開陳することに。

「……結果的にそうなってしまいましたね──ああ、もちろん校長先生が蒙昧だなんて露ほども思ってませんが」

「と云うは、ふむ、儂も捨てたものではないと云うことじゃな。……じゃが…」

「バラしませんよ」

「ほう」

言い切る俺にダンブルドア校長は感嘆する。

ダンブルドア校長は去年度のクリスマスにもたらされたトレローニー先生の〝予言〟からして、ヴォルデモートが近いうちに甦るのを予見しているとみていい。

……そして〝俺も同様にそう予見している〟、と気付いているとしてもいいいだろう。……それなのに俺はヴォルデモートの復活を言外に許容した。その事がダンブルドア校長の琴線に触れたのかもしれない。

「……ロン、お主はまるで未来を見透しておるようじゃ──さあ、今日はもう戻りなさい」

そのダンブルドア校長の呟きに、ジャパニーズ・スマイルで誤魔化して退室した。

それから幾日して、第三の課題の日がやって来る。

SIDE END 
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