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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0266話『除夜の鐘を聞きながら……』

 
前書き
今年最後の更新をします。 

 



私は今あと一時間も経過すれば来年となる中で大鳳とか島風とか他諸々を部屋に招いてお蕎麦を食べていた。
外ではもう何回も鐘の音が響いてきているのでもう少しというところだろう。

「やっぱり今年の締めは年越し蕎麦だよな」
「てーとくー! もう食べ終わっちゃいましたー!」

島風がそう言って空になったお椀をこちらに出してくる。

「はいはい。すぐに持ってくるから特番でも見ていなさい」
「はーい!」
「提督ー! あたしのも頼むわ」
「アタイのも頼むぜ!」
「わかったわかった」

島風は相変わらず元気でよろしい。
それで一緒に炬燵で駄弁っている長波と朝霜とテレビを見ながら話し込んでいた。
それで私が自分の分も一緒に入れてこようと思って立ち上がると、

「提督。この大鳳も手伝わせてもらいますね」
「悪いな。それじゃ頼む」
「はい!」

付いてくる大鳳はそれから一緒に私室についているガスコンロと荷台に置いてある蕎麦の汁やら蕎麦の麺などの袋を開けながら丁寧に盛ってくれる。
大鳳は作業をしながらも、

「……ですが、提督。どうして今日はこの大鳳を呼んでくださったのですか……? もっと他に……そうですね。金剛さんや山城さんなども呼んでもよかったのでは……?」
「またピンポイントで誰かを言ってくるな……。まぁ、そうなんだけどな……。大鳳、君が鎮守府に来た日はいつかを覚えているかい……?」
「え……? えっとー……」

思い出そうとしているのか少し考え込んでいる。
だけど私がすぐに答えを教えようと口を開いた。

「2016年の1月1日、零時を過ぎた瞬間の年始めに初めて回した大型建造で君、大鳳はうちに来てくれたんだよ」
「あ!」

思い出したのか口に手を当てて照れているレアな大鳳の姿があった。

「そうでしたね……提督はあの時すごく画面越しに喜んでいたのを思い出しました」
「あはは……そこも覚えていたか。あの時はお互いに一方通行だったから話も出来なかったけど、大鳳が来てくれて本当に嬉しかったんだ……。私の中では大鳳は史実で言う不幸な艦ではなく幸福艦なんだぞ?」
「それは、とてもありがたいです……。ありがとうございます、提督。この大鳳の着任日を覚えていてくださって……」
「だからさ。大鳳、今日は年越しまではみんなもいるけど一緒にいようか。年越しと同時に着任日三年目の日なんだから」
「はい! 喜んで!!」

それで大鳳と笑いあっていると炬燵の方から、

「てーとくー! まだですか!? おっそーいっ!!」

そんな島風の声が聞こえてきたので、

「すまんすまん、すぐに持っていくよー!」
「うふふ。すぐに持っていきましょうか。あ、榛名さん?」
《はい。なんでしょうか?》
「提督と少しいい雰囲気になってしまってごめんなさいね?」
《いえ、榛名は大丈夫です。大鳳さんもそうですけど提督はみなさんの提督なのですから》
「そこまで言われてしまうとこちらが申し訳なくなってしまうのですけどね……」
《大丈夫です。初詣ではすでに提督と一緒に行くって約束も貰っていますから!》
「え……? ではまたあの明石さん謹製の薬を飲むのですか……?」

大鳳がそう言って心配そうにこちらを見てくるけど、

「私は大丈夫だ。元に戻る薬もあるんだからタイミングを見計らって飲ませてくれとは頼んであるからな」
「そうですか。それなら、まぁ……安心なのでしょうか?」
「まぁ、問題は小さい私が言う事を聞いてくれるかどうかだから少しの間だけど遊んでやってくれ」
「わかりました」

そんな話をしながらもみんなのお蕎麦を持ちながら炬燵へと戻っていく私達。

「てーとく、遅いですよ!」
「すまんすまん!……っと、時間は……後30分ってところか」

テレビを見ればすでに特番も終盤に入ったのか終わりになっていたので、

「ニュースでも見るか……多分そろそろカウントダウンに入っていると思うしな」
「いいねー。提督と迎える新年も乙なものだよなー」

長波がそう言ってニシシと笑みを浮かべる。

「そう言う長波や朝霜は姉妹達と過ごさなくてよかったのか……?」
「まぁ、そうだけどなー。たまにはこういうのもありなんじゃないか?」
「朝霜のいう通りだよ、てーとく。それにこのメンバーも大鳳さん以外は結構仲が良いメンバーですし」
「まぁ、過去に色々あったからなー」

しみじみと頷く長波。

「長波は長波で今年最後に改二になれたのは嬉しかったんじゃないか……?」
「そうだね! やっと夕雲型にも光が差してきたってもんだからな!」
「次はアタイの番かもなって期待はしているぜ!」
「うー……島風も早く改二になりたいです! ね!? 連装砲ちゃん!」

島風の言葉に三体の連装砲ちゃん達は飛び跳ねている。
うーん……意思がある艤装も増えてきたから今度明石に翻訳機でも作らせてみるかな……?
意外な発言を聞けそうだし。

「この大鳳も早く改二になりたいものですね……」
「いつかはなれるさ……。それじゃまだ改二になっていない子は来年の抱負にでもしてみたらどうだ……? それで余計頑張れるかもしれないぞ」
《それはとてもいい案だと思います。提督》

私の言葉に朝霜や島風が色々と騒いでいたけど、そうしている間に時計を見れば秒針がもうすぐ零時を過ぎる。

「それじゃそろそろカウントダウンでもしようか」
「わかったぜ!」
「来年になったら一番早くてーとくに挨拶をするんだー!」
「それじゃアタイと勝負だな、島風!」
「望むところだよ!」

それからみんなで10……9……8……とカウントを言っていく。
そしてついに、

「年明けだな……。みんな、今年もよろしくな!」

年明けとともにまた鐘が「ボーン……」と鳴ったのでみんなに挨拶をした。

《はい。提督、今年も頑張りましょう》
「あー! 榛名さんに先を越されたー! て、てーとく、明けましておめでとうございまーす!!」
「よろしくだぜ!」
「今年もよろしく、提督!」
「よろしくお願いしますね、提督」

朝になればわいわいとみんなで賑やかになるんだからこういう少数でのお祝いもいいものだよな。
こうしてみんなで年明けを祝ったのであった。
今年もいい年でありますように……。


 
 

 
後書き
少しフライング気味なスタートダッシュですが除夜の鐘を最後に鳴らして今年の締めとさせてもらいます。
来年も『戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。』をどうぞよろしくお願いします。




それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 
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