| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

作者:sorano
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一章 再会~第二の白亜~ 第6話

 
前書き
今年最後の更新です。  

 
~第Ⅱ分校~



1限目、数学―――



「―――これが公式となる。弾道計算などにも役立つので応用問題を通じて身につけるように。」

数学を担当しているミハイル少佐は難しい公式を黒板に書き、冷静な様子で説明をした。



2限目、政経倫理―――



「これがGDP―――国内総生産っていう概念だね。ちなみにエレボニア帝国の去年のGDPなんだけど、前年度と比較して0.4割減少に……」

政経倫理を担当しているトワは可能な限り生徒達にわかりやすく説明をしていた。



3限目、野外訓練――――



「今日のメニューは”歩く”だ。といっても甘くはないぜ?武装した状態での姿勢を保った一糸乱れぬ行軍………終わった後わざわざセレーネ教官を呼んで治癒術をかけてもらわないと、歩く事すらできないくらい戦術科の連中もヘバってたからな。」

「”歩く”だなんてチマチマとつまんないねぇ。どうせ限界までヘバらせる事は一緒なんだから、”走る”から入ればいいんじゃないかい?何だったら、体力がつきても”走れる”ようにあたいが手伝ってやるよ?」

野外訓練の授業ではランディが説明をしていたが、その様子をランディの身体の中からつまらなさそうに見守っていた歪魔―――エルンストがランディの傍に現れた後自身の周囲に無数の短剣を具現化させ、更に両手に膨大な魔力を集束し、エルンストの発言や行動を見た瞬間今までの授業で度々エルンストの乱入によって散々な目に遭ってきた事を思い出した生徒達全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせるか表情を青褪めさせ

「授業中は勝手に出てくんなって、いつも言っているだろ、エルンスト!つーか、戦術科の連中が歩く事もできないくらいヘバって、姫をわざわざ呼ぶ羽目になった一番の原因は本気で”殺る”つもりで連中を追い回したお前のせいだろうが!?」

「クク、その代わりあたいもちゃんと加減していたから、誰も傷一つついていなかっただろう?それに体力をつけるのは”命の危険”を感じるのが一番いいって、あんたもわかっているだろう?人に限らず生物ってのは”命の危険”を感じれば”本能”で限界を出して、そこから更に”覚醒”するんだからね。それに立ち上がる事もできないくらいぶっ倒れれば、男連中にとっては嬉しい展開になるんじゃないのかい?」

「ハア?何だそりゃ。意味がわかんないぜ……」

エルンストの話の最後の意味がわからなかったランディは疲れた表情で溜息を吐いたが

「戦術科の連中のようにぶっ倒れればどうせ、あの育ちのいい竜の女を呼ぶんだろう?あの女は見た目は女の中でも相当いい上巨乳だし、更に性格もあたいとは正反対だから、例え他人(リィン)の女とわかっていても、そんな女が自分の傍に来て心配そうな顔や優しそうな顔で手当てしてくれる事は男としては嬉しいんじゃないのかい?現に戦術科の男連中の一部もあの女に治療されている最中、鼻を伸ばしていたじゃないか。何だったら、あの女にセシルが着ているような看護師の服を着てもらって、手当てさせたらどうだい?間違いなくここにいる男連中の大半は喜ぶか、更にやる気を出すと思うよ。」

「言われてみればセレーネ教官って凄い美人の上、スタイルも抜群だし、性格も凄くいい人だものね。そんなセレーネ教官にナース服を着て看病してもらったら、少なくても男連中は嬉しいでしょうね。」

「……なるほど。要するに不埒な理由ですか。」

「いや、僕が男だからと言って、セレーネ教官の手当に喜ぶ男子達と一緒にしないで欲しいんだが……」

エルンストの推測や提案を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた後女子生徒達は冷たい視線で男子生徒達を見つめ、女子生徒達の視線に対して男子生徒達は慌てたり、否定したりし始めている中それぞれジト目で見つめてきたユウナとアルティナの言葉に対してクルトは疲れた表情で反論し

「あー、確かに姫だったら、ナース服も似合うだろうなぁ……しかもスタイルもあのセシルさんに迫る程だから、下手すりゃセシルさんと同格になるかも―――じゃなくって!姫にコスプレをさせて手当させた事をリア充シスコン剣士(リィン)の耳に入れば、俺が後でリア充シスコン剣士(リィン)に酷い目に遭わされるだろうが!?弟貴族(ロイド)と違って、兄貴族(リィン)(エリゼちゃん)やエリゼちゃんと同じ妹系キャラも兼ねている姫の事になると性格が豹変してマジで見境がなくなる事はお前も知っているだろうが!?」

一方ランディはエルンストの意見に一瞬同意しかけたがすぐに我に返って、疲れた表情で指摘した。

「クク………――――という訳で”大蛮族”の長であったこのあたいがあんた達みたいな生まれたばかりの雛鳥の為に直々に鍛えあげてやるんだから、ありがたく思いなよ?」

「ハア……ったく、何で俺の周りの女は”こんな連中”ばっかり集まるんだよ……どうせ集まるんだったら、ルファディエル姐さんやベルフェゴール姐さんみたいな美人かつスタイル抜群で、凶暴な性格じゃないお姉様が集まって欲しいぜ……(まさかとは思うが、これもキー坊の”因果操作”によるものじゃねぇよな……?)」

そして不敵な笑みを浮かべて自分達を見回したエルンストの笑みと言葉に生徒達全員は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせたり、表情を青褪めさせて身体を震わせ、その様子を見ていたランディは疲れた表情で肩を落とした。その後途中まではランディの授業通り順調に進んでいたが、授業の後半になるとエルンストが宣言通り乱入し、その様子を見ていたランディは諦めた表情で肩を落とした後ARCUSⅡを使ってセレーネを呼び出し、セレーネが来る頃にはエルンストによって、散々な目に遭わされた事でほとんどの生徒達が立ち上がる気力すらもなく、グラウンドに倒れていた。なお、訓練が終わっても立ち上がる気力はあった上、隙をついて反撃までして来た”一部の生徒達”―――ユウナ達”特務科”の生徒達全員とミュゼ、そしてティータはエルンストに目をつけられ、以後の授業でもエルンストが乱入した際、他の生徒達より酷い目に遭う事になるとは、その時のユウナ達は想像もしていなかった。



4限目、帝国史――――



「―――これが”獅子戦役”だ。帝国史における最大のターニングポイント……この後が”近代”とも言われている。この内戦がどんな背景で起きて激化したのかを紐解いていこう。」

「……………」

(結構わかりやすいわね……)

「ふむ……(そういう観点もあるのか。)」

帝国史を担当しているリィンの授業をアルティナは聞きながら、ひたすら黒板に書いてある事をノートに書き、リィンの授業のわかりやすさにユウナとクルトはそれぞれ感心したり、納得し

「………ふむふむ。(勉強になるなぁ……)」

「ハッ………」

「ふふっ……(やっぱり素敵、ですね。)」

ティータは黒板に書いてある事をノートに書きながらリィンの授業を聞くことに集中し、アッシュは興味なさげな様子で窓の外を見つめ、ミュゼは興味ありげな様子でリィンを見つめていた。



5限目、魔術――――



「今日は魔術の”威力”について教えるわ。最初の授業でも説明したように魔術は”アーツ”とも共通する点が多いわ。その共通点の一つとして魔術の”段階”もアーツと同じで、下位から最上位まであって、威力もそれぞれの段階に相応した威力よ。まあ、口で説明するより実際に見た方がわかりやすいでしょうから………―――ユウナとアルティナは前に出てちょうだい。」

「は、はい!」

「―――了解しました。」

魔術の使い手でもあるリィン達が教官として派遣された事で、分校のみに特別に組まれた授業―――”魔術”を担当しているレンはグラウンドで軽く説明をした後魔術の実演をする為に生徒達の中で既に魔術を使えるユウナとアルティナを呼び、呼ばれたユウナは緊張した様子で、アルティナは冷静な様子で前に出た。

「まずユウナは適当な場所に攻撃系の下位魔術を放ってね。」

「はい。大地の槍よ―――岩槍撃!!」

レンの指示に頷いたユウナは魔術を発動して誰もいない場所の地面から岩の槍を発生させ、それを見た生徒達は驚いた声をあげたり、興味ありげな様子で術者であるユウナを見つめたりしていた。

「今のが下位魔術よ。実際に見てわかったと思うけど見た目や派手さ、威力とかも下位アーツと大して変わらないわ。次にアルティナ、中位魔術―――それも超広範囲に効果がある攻撃魔術をお願い。ただし、魔術を放つ場所は効果範囲をちゃんと考えて放ってね。」

「了解しました。――――闇に包まれよ――――ティルワンの闇界!!」

ユウナに続くようにアルティナはグラウンドのほぼ全てを漆黒の闇で覆う魔術を発動し、その様子を見ていた生徒達は再び驚きの声をあげたり、興味ありげな様子で術者であるアルティナを見つめたりしていた。

「今のが中位魔術よ。魔術の場合、中位になると超広範囲―――”自身が認識している戦場全体”に効果がある魔術もあるわ。この点がアーツと異なる点だから、注意しておいてね。で、最後に上位魔術はレンが実演してあげるわ。―――――狭間の雷よ、炸裂し、我が仇名す敵を灰燼と化せ――――二つ回廊の轟雷!!」

そして最後にレンが魔術を発動すると雷撃が混じり、周囲が震える程の轟音を立て、更に地揺れを起こす程の爆発が何度も起こり、魔術が終わると生徒達の大半は口をパクパクさせたり、表情を引き攣らせたりしていた。

「今のが上位魔術よ。上位魔術―――特に攻撃系魔術の大半は見た目も派手で、広範囲かつ高威力よ。ただし、上位魔術になってくると”魔術の適性が高い事”――――みんなにわかりやすく説明すれば魔導杖(オーバルスタッフ)並びにその系統の武装に適性のある人達、もしくは戦術オーブメントの連結が最低でも5連結以上ある人達になる為習得できる人達も限られてくるから、覚えておいてね。で、最上位魔術だけど……最上位魔術の使い手は上位魔術の使い手よりも更に絞られる事になる上、どれも威力や範囲も余りにも凄まじいから実演は省かせてもらうわ。第一もし、最上位魔術をこんな所で放っちゃったら、できたばかりのグラウンドに大きな(クレーター)がいくつもできて、後片付けが大変になっちゃうしね♪」

「この状況で最上位魔術を発動した場合、下手をすればいくつかの(クレーター)ができるどころか、”このグラウンド自体が巨大な(クレーター)と化する”可能性もありえると思うのですが。」

「ア、アハハ………」

レンは上位魔術の実演と説明をした後に最上位魔術の事や実演を行わない理由等を説明した後小悪魔な笑みを浮かべ、レンの説明を聞いた生徒達全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中最上位魔術を実際に見た事があるアルティナはジト目で指摘し、アルティナ同様最上位魔術を実際に見た事が何度もあるティータはアルティナの言っている事も強ち間違っていない事に気づいていた為冷や汗をかいて苦笑し、他の生徒達はアルティナの指摘に再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「あの……ちなみにレン教官はその、”最上位魔術”を使う事ができるのですか……?」

「いえ、レンも”最上位魔術”はまだ習得できていないわ。でも、その代わり”大魔術”は習得しているわ。ちなみに”大魔術”というのは―――――」

我に返った後質問をして来た女子生徒―――タチアナの質問に対して苦笑しながら答えたレンは講義を続けた。



6限目、実戦技術――――



「今日のメニューは3人1組のチームでの”バトルロイヤル”だ。ルールは簡単、制限時間以内に”この場にいる全チーム”と戦って生き残ったチームが勝者だ。正面から戦ってもよし、戦っている最中に背後から襲うもよし等”戦い方は自由”だから、お前達の好きにしな。ちなみに最後まで生き残ったチームは纏めてこの俺が相手にしてやるから、光栄に思えよぉ?それと、この俺の目の前で手を抜くようなふざけた事をするバカ共はいないと思うが手を抜いて戦ったりしたバカ共はその時点でこの俺が直々に相手になるから、くれぐれも手を抜くんじゃねぇぞ?」

実戦技術を担当しているランドロスは授業内容を説明した後獰猛な笑みを浮かべて生徒達を見まわし、ランドロスの獰猛な笑みと発言に生徒達全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「せっかく生き残っても、最後はランドロス教官と戦わなきゃいけないなんて、理不尽過ぎよ……しかも、教官と戦う事を見越して、生き残りのチームを少しでも増やす為にお互いに手加減をする事もできないし。」

「いや………ランドロス教官は”戦い方は自由”と言っていたから、チーム同士組むことについては、大丈夫なんじゃないか?」

疲れた表情で肩を落としたユウナにクルトは自身の推測を口にし

「あ……っ!」

「確かにランドロス教官の口ぶりからすると、チーム同士組むことについては反則ではないように聞こえますね。」

クルトの指摘にユウナは声を上げ、アルティナは納得した様子で呟き

「ああ、ランドロス教官も”好きにしな”と言っていたから、恐らく大丈夫だろう。(かの”六銃士”の一人に挑めるなんて、滅多にない機会だ。絶対に生き残り、挑ませてもらう……!)」

アルティナに続くように答えたクルトは真剣な表情でランドロスを見つめた。



HR―――



「―――本日はここまで。けっこう疲れただろう?」

「………かなり。」

「大変なのは最初から覚悟はしていましたが………」

「……あたしたちが慣れて来た所ですかさずハードルを上げてません?特にランディ先輩とか、ランドロス教官とか。」

リィンの労いの言葉に対してアルティナとクルトは静かな表情で答え、ユウナはジト目でリィンとセレーネを見つめ

「ア、アハハ……ランディさんの場合は主に授業に乱入するエルンストさんが原因だと思いますけど、結局ランディさんも止めないでそのまま授業を続行させていますものね……」

「はは………ランディ達に限らず、俺達も結果的にそうなっているかもしれないな。ただ、この分校に課せられたカリキュラムは多岐に渡る。今後も、ハードな毎日が続くことは覚悟した方がいいだろうな。」

ユウナの指摘に対してセレーネと共に苦笑していたリィンは気を取り直して説明を続けた。



「ううっ、座学がこんなに多くなければ………」

「………体力消費が想定以上です。」

「やれやれ……―――ですが明日は『自由行動日』なんですよね?」

ユウナとアルティナの泣き言や文句に若干呆れていたクルトは気を取り直してリィンとセレーネに訊ねた。

「ああ、丁度これから説明しょうと思ってたが……」

「それって、入学案内にも書かれていた言葉よね?」

「いわゆる”休日”のようですが違いがあるのですか?」

「『自由行動日』というのはトールズ士官学院におえる”授業がない自由日”の事です。自由時間を利用して自習や訓練、趣味に当てても構いませんし、申請をすれば外出許可も出ますから帝都あたりに遊びに出ても構いません。」

「へえ……!思った以上に自由なんですね。エレボニアの士官学校なんてお堅そうだから制限付きの休養日かと思ったけど。」

「別にそれでも十分と思いますが……」

セレーネの説明を聞いて目を丸くしているユウナにアルティナは静かな表情で指摘した。



「まあ、それがトールズのトールズたる所以(ゆえん)だな。―――ただし、基本的に自由だが明日だけは1つ条件がある。『部活動』を決めてもらおう。」

「へ………」

「『部活動』……ですか?」

「……設立されたばかりですし部活はないと思っていましたが。」

リィンの説明を聞いたユウナとアルティナは目を丸くし、クルトは戸惑いの表情をした。

「分校長からのお達しでね。”トールズ”を名乗る以上、部活に所属するのは必須だそうだ。2名以上集めたら、どんな部活でも申請を許可して、道具や機材も揃えてくれるらしい。ちなみに参加しない生徒は強制的に”生徒会”を作らせて分校長を含めた教官達の補佐をさせると言ってたな。」

「ア、アハハ……特にレン教官は、もし本当に”生徒会”ができたら、『都合のいい使い走りができるわね』とも言っていましたよ。」

リィンとセレーネの話を聞いたユウナ達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「……さすがにそれは抵抗がありますね。」

「ていうか、あの博士といい、ランドロス教官といい、この分校は無茶苦茶な教官が多すぎよ……!」

「実質、強制ですか……明日中に決めろという事ですね。」

我に返ったアルティナとユウナはそれぞれ反論し、クルトは疲れた表情で呟いた。



「ああ、今日の放課後からでもさっそく検討してみるといい。教官陣も相談に乗る。遠慮なく声をかけてくれ。」

「わたくし達に相談し辛かったらアルフィンさんに相談してもいいと思いますわよ。アルフィンさんも、1年半前までは皆さんと同じ”学生”の身でもあったのですから、学生である皆さんの視点で一緒に考えてくれると思いますわ。」

「ちなみにアルフィンとエリゼにも部活の件は前もって説明し、君達の相談に乗る許可も取れているから、二人にも遠慮なく相談してくれて構わない。」

「っ………」

「ふう、了解です……というか、僕からすれば皇女殿下達に相談する方が、教官達に相談するよりも遠慮してしまうのですが……」

「むしろ指定してくれると助かるのですが……」

リィンとセレーネの話に生徒達はそれぞれ困惑や疲れた表情を浮かべていた。



「―――それと最後に週明けの”カリキュラム”だが。」

「……!」

「……そう言えばそれがありましたね。」

「”機甲兵教練”ですか。」

そしてリィンが口にしたある言葉を聞いた生徒達はそれぞれ表情を引き締めた。

「ああ、既にハンガーに練習機も到着している。戦術科生徒と合同で基本操縦を学んでもらうからそのつもりでいてくれ。その後は、週末に実施される『特別カリキュラム』についても発表される見込みだ。」

「……………」

「特別カリキュラム……前から気になってたけど。」

「今、この場で内容を聞くだけ無駄なんでしょうね。」

「申し訳ありませんが教官陣もまだ詳細は知らされていません。」

「まあ、英気を養う意味でも明日は大いに羽を伸ばしてくれ。――――HRは以上だ。アルティナ、号令を頼む。」

「はい。起立――――礼。」

その後HRを終えたリィンとセレーネは教官室へと向かった。



~本校舎1F・教官室~



「さて―――明日は”自由行動日”だが。我々教官陣も、基本的には自由にせよと分校長のお達しだ。ただし、午後の3時からブリーフィングに参加して欲しい。」

「ブリーフィング、ですか?」

「また軍隊っぽい用語が飛び出してきたな。」

「うふふ、ここは”士官学院”なんだから、”士官学院の関係者も一応軍の関係者”にもなるのだから、別におかしな事ではないわよ。」

ミハイル少佐の説明にリィンは不思議そうな表情をし、疲れた表情で呟いたランディにレンは小悪魔な笑みを浮かべて指摘し

「それって、もしかして―――」

「俺達教官陣にも未だ秘匿している、『特別カリキュラム』についてだろう?」

ブリーフィングの内容を悟っていたトワとランドロスはミハイル少佐に視線を向けた。



「ああ、来週末に行われる『特別カリキュラム』についての概要と目的を説明する。」

「……なるほど。」

「勿体ぶるねぇ。どうやら機甲兵訓練以上に大掛かりな話っぽいが。」

「教官陣全員が参加という事は、もしかして全校生徒が参加するカリキュラムなのですか?」

ミハイル少佐の答えを聞いたリィンとランディは疲れた表情で呟き、ある事に気づいたセレーネはミハイル少佐に質問をした。

「ああ、Ⅶ組からⅨ組まで教官陣を含めて例外はない。明日午後3時、本校舎の軍略会議室に集合して欲しい。――――連絡事項は以上だ。」

そしてリィン達教官陣への連絡事項を終えたミハイル少佐は部屋から退出した。



「ったく、さすがは天下の鉄道憲兵隊っつーか。聞いてる限り、ロクでもない話しか思い浮かばないんだが。」

「う、うーん……」

「うふふ、何せこの分校が作られた”理由”を考えるとねぇ?」

「ま、何せ厄介者を纏めて『捨石』にする為に作られたからな。」

「レ、レン教官。それにランドロス教官も。」

ミハイル少佐が出て行った後呟いたランディの推測を聞いたトワは困った表情で答えを濁し、意味ありげな笑みを浮かべたレンとランドロスの言葉にセレーネは冷や汗をかいた。

「……同感です。あの小要塞といい、機甲兵といい、貨物路線の引き込みといい―――この分校の設備はただの『捨石』というには充実しすぎている気がします。」

「うん……そうだね。本校も大改修されたそうだけど、それと同じくらいのお(ミラ)が掛かっていそうっていうか……問題はどこからその予算が出てるかだよね。」

リィンの推測に同意したトワは自身の疑問を口にした。



「んで、それに見合う”何”を第Ⅱに求めてるかってことだな。あー、ヤダヤダ。キナ臭い事はルファディエル姐さんやリア充皇帝共のお陰で十分味わってお腹一杯だってのに、外国にまで来て関わる羽目になるなんて勘弁して欲しいぜ。しかも今回の職場仲間の中にもルファディエル姐さんと互角のキナ臭い事担当もいるし、巻き込まれる前にとっとと戦線を離脱したくなってくるぜ。」

「あら、そう言っている割には、”特務支援課”にいた頃はルファディエルお姉さんのお腹が真っ黒な事に巻き込まれても、ランディお兄さんは最後までついて行ったじゃない。」

ランディの発言を聞いたレンは小悪魔な笑みを浮かべて指摘し

「ルファディエル姐さんの場合はあくまで俺達の”敵”を嵌める為に暗躍していただけで、敵も味方も躊躇いなく利用する所か、自分の掌の上で踊るように仕向けるどこぞの”参謀のお姫様”とは違うっつーの。」

「クク、随分とおっかない”参謀”だな。その”どこぞの参謀のお姫様”とやらの顔を見てみたいぜ。」

「え、えっと………冗談で言っているんですよね?」

「ハア………」

レンの指摘に対して疲れた表情で反論したランディの言葉を聞いたリィンとセレーネ、トワは冷や汗をかいて表情を引き攣らせてレンに視線を向け、不敵な笑みを浮かべて呟いたランドロスの言葉を聞いたセレーネは冷や汗をかいて問いかけ、リィンは疲れた表情で溜息を吐いた。

「え、えっと……その、わたしたちにはお止めはできませんけど……」

一方ランディの言葉を真に受けていたトワは心配そうな表情でランディに視線を向け

「冗談だよ、冗談。いきなり放り出したりしないって。なんだかんだ言って、戦術科の連中もシゴき甲斐がある奴等ばっかりだしな。そんじゃ、お先に。せいぜいガキどもの相談にお互い乗ってやるとしようぜ。」

「俺も先に上がるぜ。ま、俺も戦術科のガキどもに関わらず他のクラスのガキどもの相談にも乗るから、ガキどもの事で何か聞きたい事があったら俺にも相談してくれ。その代わり、俺も相談させてもらうぜ?」

ランディは苦笑しながらトワの心配が無用である事を説明した後席から立ち上がり、ランドロスも続くように席から立ちあがった。

「ああ、了解だ。」

「ふふ、わかりましたわ。」

「お疲れ様でしたー。」

「うふふ、お疲れ様♪」

そしてランディとランドロスは先に部屋から退室した。



「……二人とも、話してみると気さくだし、生徒の面倒見もいいみたいだね。」

「ええ、ランディと長い事一緒に仕事をしていた俺もランディは教官としては打って付けの人材だと思います。」

「初対面で、様々な理由で支援課に所属する事になったわたくし達にも、早く支援課に馴染めるように、気さくな態度で面倒を見てくれましたものね。」

「うふふ、それにランドロスおじさんは何といっても、”とある大国”の軍の師団の中でも”最強”と謳われていた”某師団”をボロ負けさせた”とある自治州の警備隊”を育て上げた人物達の関係者だから、ランドロスおじさんも教官として打って付けの人材でしょうね♪」

二人が退出した後呟いたトワの意見にリィンとセレーネが頷いた後に答えたレンの答えを聞いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「レン教官……さすがにその発言はエレボニア帝国の士官学院の教官として、危ない発言だと思いますわよ……?」

「ハハ………――――とりあえず今日は、生徒達の様子を見て帰ります。いきなり部活をやれっていうのもハードルが高いでしょうからね。」

「……うん、そうだね。繰り返しになるけど……お互い、力を合わせて頑張ろうね!」

その後教官室から退室したリィンは校舎の見回りをしながら生徒達の相談に乗り、そして下校時間になると宿舎に戻る為に校門へと向かった。


 
 

 
後書き
今回の話で気づいたと思いますが、原作と違い、強化されるのは特務科メンバーではなく分校生徒達全員です!え?何でⅦ組以外の生徒達も強化するかだって?だって、エルンスト乱入による地獄の特訓や実戦の系統の授業ではギュランドロスとレンがいる上、まだ本格的に参加はしていませんが、いずれ生徒達の特訓にリアンヌも指導する予定も入っているんですよ?なので、分校生徒達もギュランドロス達の指導によって強制的(汗)に強化される事になりますから下手したら原作より超強化されたクロスベル警備隊のように最終的に分校生徒達だけで本校生徒達全員相手(本校側に機甲兵あり、分校側には機甲兵なし)やハーキュリーズすらも蹂躙できる強さの化物軍団になるかもしれません(ぇ)しかもその中には既に3rd篇や閃Ⅱ篇で強化された事でレベルは軽く100は超えているティータやアルティナもいる訳ですから……ひょっとしたらティータもオーバルギアなしでアガットを超える強さになるかもしれませんし、アルティナは単独で鉄血の子供達(アイアンブリード)チームと互角かそれ以上の強さになるかもしれません(オイッ!)それとランディのルファディエルはレンと違うというランディの発言を聞いた人達の中にはこう思った人もいるかもしれません……ぶっちゃけ腹黒さで言えばルファディエルの方がレンより上の可能性が高い!……とww………それでは皆さん、よいお年を。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧