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バナナ&ピーチ

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第二章

「アフリカ系もいればね」
「アジア系も多いね」
「君の国にルーツがある人達もいるよ」
 中国系アメリカ人のことだ。アメリカの主要都市の多くにはチャイナタウンもある。観光名所にもなっており中国系アメリカ人達の活動拠点でもある。
「ラテン系もね」
「所謂ヒスパニックだね」
「そうだ。そして細かく言えば」
 アメリカの人種はどうなるかというのだ。
「ワスプ、イギリス系だけじゃないよ」
「そうだね。最初はイギリス系が中心だったけれど」
「ドイツ系が多いよ」
 実はアメリカの人種構成はそうなっている。それだけドイツからの移民が多かったのだ。
「イタリア系もいればポーランド系もいる」
「ロシア系もね」
「アジア系、ラテン系といっても色々だしね」
 その中国系だけでなく彼等が今いる日本にルーツがあるアメリカ人も多い。ベトナム系もいる。ラテン系だとメキシコやキューバ、プエルトリコ等だ。
 とかくアメリカの人種構成は複雑だ。そしてオークリッド自身もだというのだ。
「かく言う僕もね」
「ああ、君の名前を見ると」
「わかるね、これで」
「ケルト系だね」
「アイルランド系さ」
 これまたアメリカに多い。ジャガイモ飢饉等でアメリカに移民したのだ。
「オーとかマックと姓に頭文字があるということは」
「ケルト系の証だったね」
 例えばスティーブ=マックイーン、ダグラス=マッカーサーだ。マッカーサーは正式には『マックアーサー』と読む。日本語では『アーサー家の息子』という意味だ。
「そうさ。僕はアイルランド系さ」
「アイルランド系もアメリカにはいるんだね」
「多いよ、本当に」
 アメリカの人種の構成という意味の言葉だ。
「アメリカの人種もね」
「そして人種、ルーツの分だけだね」
「多くの文化があるさ」 
 アメリカもまた然りだった。そこは。
「実際にね」
「そうだね。アメリカ人といってもね」
「色々だよ」
 そうだというのだった。お互いに。
 彼等はこう言うだけだった。だが周囲の他の、アメリカや中国以外の国々以外からの留学生達はその居酒屋の席の後でこう話した。
「そっくりじゃないかな、アメリカと中国って」
「うん、そうだよね」
「何かあの二国ってね」
「言い合うことも多いけれど」
「実際のところね」
「そっくりだよね」
「色々とね」
 似ている部分が多いのだった。この二国は。
 彼等はこのことを話しさらに言っていく。
「すぐに恫喝してくれるしね」
「僕の国この前アメリカに脅されたよ」
「私は中国によ」
「いつも両方に言われるよ」
 次から次に出て来る。
「政治的にすぐに高圧的に言ってくれるよね」
「何様だって態度で」
「本当にどっちもね」
「言ってくれるね」
 二人のそれぞれの国のことが話される。
「何かあればすぐに出て来るし」
「それこそ呼んでなくても」
「で、大国ぶって介入してくるのよね」
「強引に押し売りしてきて見返り要求するし」
「正直迷惑よね」
「かなりね」
 これが他の国々の意見だった。彼等にしてみるとオークリッドの国も袁の国も同じだった。あまりよくない意味で。 
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