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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第五十話 それぞれの休日


第五十話 それぞれの休日

帝国暦479年7月5日

■オーディン ノイエ・サンスーシ ベーネミュンデ侯爵邸 テレーゼ・フォン・ゴールデンバウム

 本日は朝からお父様とお母様と三人で朝餉を取っています。
ミッターマイヤーの結婚式から早5日、2人は宜しくしているのでしょうね。

お母様もお父様も終始にこやかで、
このまま行くけばベーネミュンデ侯爵夫人事件は起こりませんね。
てか私が起こさせませんよ。

しかし侍医がグレーザーじゃないんですよね。
調べたのですが、この頃未だ侍医になれる地位じゃないみたいですね。
まだオーディン帝国医科大学の准教授ですね。

まあ奴が来るようなら危険なことを母様に囁く可能性があるので断固拒否ですね。
ブーゲン何とか大尉とかオカマ憲兵クルムバッハ少佐とか黒マントとかが出てきますからね。
あからさまに怪しすぎです、調べた方が良いのかも知れませんね。
 
食事の後はいつものように、お勉強に出かけます。
みんな段々大人びてきています、噂がすごいですね。
特に後宮寵姫の噂が出まくります。
今日はどんな話がでるやら。

その前にお父様に私が考えた新型戦艦のラフスケッチを見せました。
ブリュンヒルトのような超弩級目立ちがり的戦艦じゃないですよ。
あの姿、なんかオウムガイに似てませんかなんかいやな形です。
お父様、面白いから持って帰るそうです。
無論お母様が午後からのお茶会の話をしている最中に渡しましたよ。

そうそうミッターマイヤーと結婚式の準備中に話したとき聞いたのですが、
今回の救恤品下賜と俘虜交換について士官学校でも大変な話題になったそうです。
門閥貴族出身者は、父様の気まぐれでしてるんだろう。
平民なんぞ放っておけばいいと言うのが多かったそうです。

それで話の種に上がるのは、平民以下の生活をしていた伯爵夫人の弟が捕まった時の為に、
伯爵夫人が閨で囁いたんだという噂が流れてるんですって。

爺様の手のモノが流してたりして。
あり得そうな気がするのは変でしょうか。

逆に最前線に立つ、ミッターマイター達平民や下級貴族達は、
今回の父様の行為を非常に頼もしく思ったそうで、
卒業パーティーでもその話題が上がり、

家族とかも父様に万歳をしていたそうですから。
在校生も軒並み好意的に感じているそうです。
良い兆候ですね、ラインハルトは株を落としまくりで、父様はあげまくる。
門閥の支持はまあしょうがない、追々首根っこ捕まえれば良いわけですからね。

さて時間ですいきますか。
お母様にお父様にご挨拶の後出かけます。
「お父様お母様、言って参ります」
「テレーゼきとつけるのじゃぞ」
「テレーゼいってらっしゃいませ」


■オーディン ライニッケンドルフ地区 ミッターマイヤー家 ウォルフガング・ミッターマイヤー

 エヴァと正式に結婚して5日目。
んー幸せだな、朝起きるとエヴァが隣にいる風景、
しかも俺の子もエヴァの中でスクスクと育っている。
此ほどの幸せが他にあるだろうか。

しかし10日には去年から始まったイゼルローンへの遠洋航海が始まる。
エヴァを残して半年も出かけるのは不安だったが、
親父やお袋もいるし、御義父さんも居るので安心できる、

テレーゼ様は俺だけ遠洋航海を免除するようにしてくれると仰って下さったが、
エヴァが俺に行ってきなさいと背中を押してくれたので行く事に決めた。
テレーゼ様とエヴァには感謝している。

テレーゼ様がイゼルローンへ行って、
オスカー・フォン・ロイエンタール中尉という人物に会ったら、
気の毒な人だから優しくしてあげてねと仰った。

ロリエンタール事件自体は知っていたが、
内容を聞くと確かにロイエンタール中尉は被害者といえよう、
そのために疎外されているらしく、イゼルローンから帰ってこないそうだ。

テレーゼ様はご自分の行動がロイエンタール中尉を傷つけたとお気になっているそうで、
俺にそのことを打ち明けてくれたのだ。
会えるかどうか判らんが会えたらロイエンタール先輩と酒でも飲んで話してみよう。

ただテレーゼ様が自分の悪口が出ても決して怒らないで下さいねと、
そして、絶対に私から聞いたとか言わないで下さいねと仰ったのは、
なんと他人を思う心のお優しいお方なのだとエヴァ共々感動した。

さて朝食だエヴァそろそろ起きなきゃね。


■オーディン テンペル - シェーネベルク  ワーレン家  アウグスト・ザムエル・ワーレン

 今日もいい天気だ、暑い快晴に何処かへ出かけたくなる、
一年前は新婚早々遠洋航海とイゼルローンへの研修そして叛徒との戦闘と忙しかったな。
しかしここの所何もなく平和でいい、今年も新人達は遠洋航海に出かけるそうだ、

ご苦労な事だが、実績を積むには良かったと思っている。
まあ俺の場合はいきなりだったから、恨み言もあったがね。
しかしこの所皇帝陛下の為さり様は俺たち兵士に良い方向に向かっている。

俘虜を罪を問わず取り返すとは並の度胸では出来ないモノだ。
同僚連中も同意見が多い、
これなら戦場へ行って万が一でも死を選ばずに何とかなると考えられるだろう。
もっとも戦わずに逃げる奴が増えるかも知れんがな。
まあそればっかりは、その人間の素質だから仕方あるまえ。

さて、リーザ今日は何処かへ出かけよう。

■イゼルローン要塞   ロイエンタール官舎   オスカー・フォン・ロイエンタール

 5日前に風邪をひいて以来体が怠くて寝込んでいる。
一人暮らしとは此所まで侘びしいモノかと実感してきているな。
しかも誰もまともに扱ってくれん。

一昨日なんぞ鶏冠頭《ビッテンフェルト》がやって来て頭が痛いにもかかわらず、
あの大声で『風邪なぞ、気合いで直せ!だめなら酒でも飲んで寝ちまえ!』
と大量の酒を持ってきて散々呑ませられ、奴も散々呑んで帰りやがった!

しかもだ酔って気分が最悪な俺をそのまま放り出して帰りやがった、
部屋も汚れたままじゃないか!
おかげでさらに風邪が悪化して今ひどい状態だ。

ん?誰か来たようだ。また鶏冠頭か、いい加減にしろ!
「ごめん下さい、ロイエンタール様大丈夫ですか?」
ん、女の声だ、レテーナじゃないのか?
寝室へ来て、俺の惨状を見てレテーナが驚いた顔をしている。

「ロイエンタール様、大丈夫ですか!」
「あまり良くはないがな」
可笑しい、レテーナだけには何故か素直になれる自分が居る。

「レテーナどうして此所へ?」
「ビッテンフェルト様からロイエンタール様が寝込んでいらっしゃると聞いて仕事休んできました」
「鶏冠頭め余計な事を」

「ひどい状態です、私に任せて下さい、ロイエンタール様が直るまで看病しますから」
「仕事はどうするんだ?」
「ママが私の気の済むままにしなさいって言ってくれたんですよ」

ユリアーネか、気を効かせすぎだ。
「さあ片付けちゃいますね、まずは汗まみれのパジャマを着替えましょうね」
普段見せ慣れているのに、何故かこういう時は恥ずかしいモノだ。

「自分で着替えるからいいぞ」
「いいえ、ふらついてるじゃないですか、だめです」
押し切られてしまった、弱い俺を見られるのが非常に恥ずかしい。

体を蒸しタオルで拭かれ、着替えさせられ、新しいシーツのベットに寝かされた。
レテーナはリビングの掃除をしているらしい。
数時間たっただろうか、夕食を作って俺に食わせてくれた。

そのまま帰るのかと思いきや、泊まっていくという。
よせそんな体力は今無いぞ!
違うのか本気で看病のために泊まり込みをするのか、

「ロイエンタール様直るまでは一緒ですからね」
これはまずい、誰かに見られたら何を言われるか、早く直そう。


■イゼルローン要塞   ビッテンフェルト官舎   フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト

 いやはや、あのロイエンタールが風邪とは驚いたぞ。あいつでも風邪をひくんだな。
以前俺が風邪をひいたときには『ビッテンフェルト卿も風邪をひくとは天変地異の前触れか』とか言いやがたからな、今回は俺が笑いに行ってやった。

酒と肴を大量に持ち、奴の官舎へ行ったところ、
相当具合が悪そうだったから、酒をしこたま飲まして寝かして帰った。
翌日も出て来ないからさすがに心配になって奴の彼女へ連絡して行って貰う事にしたのだ。
俺も優しいところがあるだろ。まあロイエンタールよ早く良くなれよ。

そういや、最近は前線部隊の士気が高くて良いな、
皇帝陛下のおかげだ、おかげで戦いやすくていい。
功績あげて自分の部隊を早く持ちたいモノだ。


■オーディン   帝国軍幼年学校  ジークフリード・フォン・キルヒアイス
 
 ラインハルト様が男爵に敍爵され早5ヶ月、我々の周りが少ずつではあるが変わり始めていた。
自分も父が永年勤続者敍爵とやらで帝国騎士に成ったため、騎士階級に編入された。
ラインハルト様はたいそう喜んくださり『キルヒアイスこれでお前を平民と馬鹿にする奴らに何も言わせないぞ』と言って下さった。

自分としては帝国騎士に成ったとでアンネローゼ様との間の垣根が一段低くなった気がしてそれが嬉しかった。

幼年学校生は今までラインハルト様を爵位もないと馬鹿にしていたが、
男爵に成られてからは、アンネローゼ様が強請ってラインハルト様に爵位を貰ったと言い始めている。
許せない仕業だ、ラインハルト様もお怒りだ、自分もはらわたが煮えくり返る思いだが、
アンネローゼ様が喧嘩をしないでと仰るので我慢している。

しかしラインハルト様がいつまで我慢できるか、そして我慢が限界に達したとき、
自分では止められないだろう、なぜなら自分も一緒に参加しているはずだから。


■オーディン   帝国軍幼年学校 ラインハルト・フォン・シェーンヴァルト

 最近あの男の慈悲の話が多いが、
今まで散々最悪な罪悪を施してきた男がいきなり慈悲に目覚めたところでなんの意味があるのか、
ばかばかしい事だ。
俘虜交換はしてやられた、俺がいずれやろうと思っていた事だった。
あの男がそんな事を思いつくはずがない、誰かが入れ知恵したのだろう。

 俺の敍爵後学校の生徒の俺を見る目が変わっていった。
今まで疎遠にしていた帝国騎士の連中が時々媚びを売るように近寄ってくるようになった。
俺の男爵位に媚びているらしい、浅ましい奴らだ。
役立たずの癖にそういうことだけは、敏感な唾棄すべき輩どもだ。

爵位のある連中は、今まで以上に俺と姉上そしてキルヒアイスを馬鹿にしてくる。
何が姉上がお強請りしただ、そんなわけがない!
何度殴ってやろうかと思ったが、姉上との約束を思い出しとどまっているが、
そろそろ限界に達しそうだ。

今度姉上の悪口を言ったら殴り倒してやる!


 
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