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真剣で納豆な松永兄妹

作者:葛根
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第七章 水上体育祭午後の部



間違いなく、今俺は天国にいる。
スク水の美少女に囲まれている。
川神百代、矢場弓子、葉桜清楚、源義経、武蔵坊弁慶に燕ちゃんと昼飯だ。
源義経は水上借り物競争からの流れでここにいる。
それに付き添うように武蔵坊弁慶がさり気なく紛れ込んでいた。
武蔵坊弁慶は年下であるが、けしからん。
全くもってけしからん。
昼飯だが、意外にも川神百代は手作りであった。
まあ、おにぎりだが。
俺はと言うと、唐揚げに、納豆入り卵巻き。
燕ちゃんの分は納豆オムレツと唐揚げ。
今日の料理担当は俺だった。

「久秀達も自炊か。私も経費節約のため川神院で握ってきたおにぎりだ。さて、オカズをもらおうかな」
「唐揚げと納豆入り卵巻きを少しな。少し。少しだって言ってるだろーが!」

5つある唐揚げの内3つ持って行かれた。
納豆入り卵巻きは半分持って行かれた。

「私の分けてあげるね」

葉桜清楚がオカズをくれた。
そのかわりに納豆入り卵巻きを一口分持って行かれた。

「義経も貰ってもいいか?」
「好きにしろよ。俺も何かオカズを頂くがな」
「なら、私も。川神水に合いそうなのは唐揚げくらいか」

唐揚げの残機1。
納豆入り卵巻きは4分の1しか残っていなかった。

「荒らされた。俺の手作り弁当が……まあ良いけどな」
「兄ちゃん。案外テンション高いね」

源義経と武蔵坊弁慶と仲良くなって、呼び捨てで良いと言われた。
これからは呼び捨てにしようと思いつつ、美少女と仲良くなるたびに燕ちゃんの機嫌が少し悪くなった気がする。



ランチタイムも終了して水上体育祭のカリキュラムが消化されていく。
――午後の競技、女子:船渡りアスレチック。

「義経がんばれー」
「言われなくても、ここは本家が決める」

飛ぶ。
船から船へ。
八艘跳びの伝説を見れた。
たぶん、真似できるだろう。

「お、黛由紀江もでるか。がんばれー! 黛由紀江!」

八艘跳びにも劣らない華麗な跳躍だった。
うむ、1年の中では強さと潜在能力はピカイチだ。

「まゆまゆの強さが明るみになっていくな。久秀、どう思う?」
「強いんじゃね? 1年の中じゃピカイチだろうね。でも、百代の期待には答えないだろうな」
「いつかまゆまゆの本気を見てみたいものだ。勿論、久秀の本気も見たいぞ」
「家がうるさいので無理です……。俺を買い被り過ぎだと思うが」

頑なに俺は俺の強さを否定する。

「どうかな? 私の見立てでは久秀が全力を出せば私といい勝負できそうだと思っている」
「さてね。俺の全力は朝の稽古の通りだ」

川神百代が睨んでくるが知らんぷりした。
――午後の競技、女子:大遠投。

アレは、川神一子だ。
遠投の記録は素晴らしいものだ。
しかし、あくまで壁を超えるものではない。
続いて遠投した武蔵坊弁慶のボールは遥か彼方に消えた。
あれが、壁の超えた実力だろう。しかも、殆ど実力を出していない。
もし、試合をするような事があるなら下準備が相当必要だと思う。
けしからん身体と実力を持っている武蔵坊弁慶。
遠投の時の胸の揺れは全くもってけしからんものだ。

「久秀、お前案外エロスだな」
「百代、男は誰でもエロスだ」

――水上体育祭、女子:水上歌合戦。
燕ちゃんの歌う納豆小町はやはり可愛かった。
聞き耳を立てれば、異口同音に納豆の話が聞こえたので、松永納豆が広まっていると実感する。
しかし、水上歌合戦の結果は、燕ちゃんが準優勝だった。
優勝は2-Fの椎名京であった。
風間ファミリーは、意外にも目立つ人材が多い。

――水上体育祭ファイナルステージ:クラス対抗怪物退治。
クラスごとに1匹の怪物の着ぐるみを討伐する競技だ。
着ぐるみの中身は川神院の修行僧が入っているのだが、俺達のクラスは川神鉄心が着ぐるみの中に入っていた。

「へぇー。直江大和君ね。なかなかの指示だなーこちらは中身が強くてまだ倒せないってのに」
「そりゃ、私の弟で、うちのクラスはじじいが中に入ってるからな」
「フェアに戦力を振り分けているにすぎんわい。ほれ、余所見する暇があるんか?」
「隙あり。松永式納豆足絡み」
「兄ちゃんに続いて脇固め」
「川神流――無双正拳突き!」
「イタタタ、老人にはもっと優しくせんか……。降参、降参じゃ」

この爺さん、燕ちゃんの脇固めの感触楽しんでないか?

2-Sでは、指揮権が源義経に移っていた。
彼女の指揮により、あっという間に決着をつけていた。
初めから団結して団体行動していれば、もっと早くに決着が付いていただろうに。



「夕日が綺麗だ……」
「おい、久秀。黄昏てないで帰るぞ」
「百代には情景を楽しむという事がないのか? 自然の美しさを楽しむのも乙のなものだ」
「年寄りみたいな事言うな……」

夕日に赤く染められる川神百代。
俺の横に並んで同じ光景を眺め始めた。

「綺麗だ……。夕日も、百代も」
「なんだ? 今更私が美少女だとわかったか?」

いい雰囲気でくさい台詞に動じないか。
この手は効果が薄いようだ。

「初めから百代は美少女さ。美しくて強い。魅力的女の子だと思うぜ」

ただし、強過ぎるが。

「……そうか」

赤い夕日に染まる空。
川神百代の顔も赤く染まっていた。
それが、夕日によるものであると俺は思う。



寄りし身体と心。
配点:(赤)

 
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