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とある3年4組の卑怯者

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72 強敵(いちくみ)

 
前書き
ここまでの試合結果
男子サッカー
1組 6-1 2組
 1組の勝利
5組 1-4 3組
 3組の勝利
女子バレー
5組-3組 2勝1敗で3組の勝利
 1セット目 5組 16-12 3組
 2セット目 3組 16-13 5組
 3セット目 5組 10-16 3組
2組-4組 2勝0敗で4組の勝利
 1セット目 4組 16-15 2組
 2セット目 2組 13-16 4組 

 本郷以外の1組の生徒の名前は2002年のワールドカップに選抜された選手、候補でありながら惜しくも選抜されなかった選手を基に付けています。 

 
 男子サッカー、4組対1組の試合が始まった。

  4組
 FW(フォワード)
 杉山、ケン太、三沢、内藤
 MF(ミッドフィルダー)
 ナベちゃん、関口、花輪
 DF(ディフェンダー)
 ブー太郎、永沢、山根
 GK(ゴールキーパー)
 藤木

 1組
 FW(フォワード)
 本郷、高原(たかはら)中山(なかやま)
 MF(ミッドフィルダー)
 戸田(とだ)明神(みょうじん)市川(いちかわ)稲本(いなもと)
 DF(ディフェンダー)
 中田(なかた)森岡(もりおか)松田(まつだ)
 GK(ゴールキーパー)
 楢崎(ならさき)

 4組は3-3-4と攻撃重視のフォーメーションで組んだ。

 最初は1組のキックオフとなった。本郷がボールを蹴りだした。フォワードが先攻し、ミッドフィルダーも後についで攻めていく。藤木はこの1組の威圧感に押されているような感覚だった。花輪が本郷をマークするも、本郷は中山にパスした。ブー太郎のカットも間に合わず、中山はボールを受け取り、シュートした。藤木は必死にボールを取った。何とか先制を許さなかった。
「花輪クン、行くぞ!」
 藤木は花輪に向けてボールを投げた。花輪は見事に受け取るが、明神と稲本がその場にいる。このままではドリブルできないと見て、花輪はケン太にロングパスをした。その時、本郷と高原、市川がボールを奪いに来た。
「ケン太君、三沢君にパスするんだ!」
 藤木はケン太にマークのない三沢にパスするよう呼びかけた。三沢がボールを受け取り、ドリブルするが、ペナルティエリアに入った所で森岡のスライディングタックルでボールを奪われてしまった。そのボールを松田が取り、稲本、高原へとパスした。
「永沢君、山根君!高原君を通すな!富田君、本郷君をマークしろ!!」
 藤木は必死で叫んだ。高原は永沢と山根に通せんぼされ、本郷もブー太郎にマークされる。高原は後ろへバックパスした。戸田がボールを貰い、ドリブルした。そしてその戸田がシュートしようとした。藤木は止めようと必死になった。しかし、藤木すぐ傍に中山がいた。中山が戸田のシュートをアシストすべく、ヘディングしたのだ。藤木は意表を突かれた。そして、体の向きを変えた。しかし、取れなかった。ボールはゴールに刺さった。藤木は始めて失点してしまったのだ。
「そ、そんな・・・」
 藤木は落ち込んだ。しかし、応援に回っている大野が叫んだ。
「藤木!落ち込むな!まだ始まったばかりだ!!」
(大野君・・・。そうだ、取られたからってまだ終わりじゃないんだ!よし!!)
 藤木は立ち直った。そしてもうこれ以上はやらんという気になった。
 
 しかし、相手も揺るぎない攻守である。巧みにパスをして、ゴールを狙おうとし、仮にこちらが攻撃してもマークもセービングもインターセプトもこなしてくる。藤木に対して本郷が2度、高原が1度シュートをしてきたが、藤木は何とかゴールを守った。だが、4組もなかなかゴールを決めることができなかった。ケンタや杉山が幾度がシュートする機会はあったが、ディフェンダーの中田、森岡、松田のマークやインターセプトは厳しく、ゴールキーパーの楢崎も全く点を許していなかった。そして内藤のシュートを楢崎が止め、それを遠投する。ボールは本郷の方へ飛んだ。
「ミッドも皆守備に付け!!」
 藤木は必死で呼び掛けた。本郷はナベちゃんのスライディングタックルをあっさりとかわし関口と花輪のマークも中山へのパスでかわそうとした。しかし、山根が必死でカットした。それをケン太のいる方へ勢いよく飛ばす。ケン太にボールが渡った。ケンタが必死でシュートした。しかし、楢崎は再び止めた。そして本郷へ再びボールが渡った。
「富田君は高原君を、永沢君は中山君をマークしろ!」
 藤木はマークを呼び掛けた。
「ナベちゃんと花輪クン、関口君、ボールを奪うんだ!フォワードの皆もボールを奪いに行け!!」
 そして藤木はミッドフィルダー3名にボールの奪取を指令した。そしてケン太らも4組の陣地に向かい、本郷からボールを奪おうとした。その時だった。なんと本郷はペナルティーエリアの外からシュートを放ったのだ。しかも勢いは強い。
「何だって!?」
 藤木は慌ててボールを取りに行った。ボールを掴んだ。と思いきや、ボールの勢いは止まらない。ボールは藤木の手を弾いてそのままゴールに突き刺さった。
「そんな・・・!!」
 驚愕する4組。喚起する1組。1組がリードを2点に広げたのだ。
 藤木は悔しかった。今まで一度もゴールを許さなかった自分がここで2点も取られるなど情けなく思った。
「藤木君!2点くらい俺達で取り返すから落ち込むな!!」
 ケン太が藤木を立ち直らせようとした。
「ケン太君・・・」
(そうだ、まだ試合は終わってないんだ・・・!!)
 藤木は己の失点でくよくよするのを止めた。

 前半戦も残り時間は僅かになった。2-0と1組のリードだった。しかし、それでも4組は点を取ることができない。しかし、転機は訪れた。花輪が明神が本郷へパスしようとしたボールをカットし、それを三沢へ、そして三沢がペナルティエリアでケン太にパスし、ケン太がシュートした。楢崎はボールに飛び付いた。しかし、取れない。4組はようやく1点を返した。しかし、ここで前半戦終了となった。

「ごめんよ、2点も取られるなんて」
「そんなことないぜ、おまえもよくやってくれたよ」
 杉山が藤木の必死のプレーを評価した。
「よし、次で取り返すぞ!!」
 大野は後半戦に出場するために燃えていた。
「そうだ、前半戦は攻撃重視だから守りが手薄でキーパーにも大きい負担をかけてしまったんだ。次はバランスのいい作戦で行こう!」
「そうだな!」
 皆はケン太の意見に賛成した。そして後半戦での巻き返しを誓うのだった。 
 

 
後書き
次回:「延長戦」
 男子サッカー、4組と1組との試合の後半戦が始まった。4組は執念で1組に追い付こうと必死になる。そして試合はPK戦へともつれ込み・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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