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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0258話『狭霧の進水日の過ごし方』

 
前書き
更新します。 

 




もう明日にはクリスマスイブです。
鎮守府も少なくない賑わいを見せてきました。
あちこちの艦娘の寮ではツリーや年末の買い出しなどもしている人が目立ちますね。
私も先ほどまで天霧さんと一緒に明日の準備などをしていたところでしたね。
この鎮守府にやってきて初めてのクリスマス……。
聞けば皆さんもクリスマスをこうして過ごすのは初めてとのことですので何が起こるのか今から楽しみになってきますね。
そんな時でした。
私が廊下を歩いていると、

「狭霧ちゃん♪」
「え? あ、はい。なんでしょうか蒼龍さんに蒼さん?」

私の前に蒼龍さん達が現れました。
一航戦と二航戦の方々はお二人ずついますから少し見分けがつかなくなる時があるのですけどそこら辺はまぁ雰囲気で察しろという事で頑張って覚えていますね。
どうも一人目の方はやっぱり年期があるのか貫禄のようなものがありますが、二人目の方はまだ控えめな印象があるんですよね。
まぁ、それはともかくといたしまして、

「狭霧ちゃんは今日って何の日かわかるよね?」
「分かってないわけないわよ、私!」
「そうよね、蒼!」

やはりお二人は同じ思考をしているようですのでいつもの調子でキャッキャと騒いでいます。可愛いですからいいのですけど、今日は何の日ですか……。
子日さんではないですけど、そうですね。
そこで私ははたとあることに思い至りました。

「あ、そうでしたね。今日は私と蒼龍さんの進水日でしたか……?」
「そう、その通りだよ!」
「やっぱり狭霧ちゃんはしっかりしているから覚えていたんだね!」

なるほど……それで私に話しかけてきたんですね。
それでは今日は噂に聞く提督が私達にプレゼントを持ってきてくれるのでしょうか……?
蒼龍さん達はそれでどこか嬉しいのか、

「クリスマスイブ直前に進水日っていうのもなんか乙な物よね」
「そうですね。蒼龍さん達はもしかして提督がプレゼントを持ってくるのが楽しみなんですか……?」
「それもあるんだけど、空母のみんなでこの忙しい時期に私達のためにいろいろ準備してくれていることが嬉しいんだよね」
「そうそう。飛龍とかひーちゃんとかも私達が手伝おうとすると『今は大丈夫だから外に遊んできなさい』って言われて空母寮を締め出されちゃったし……」

たはは……と頭を掻きながら嬉しそうに笑う蒼さん。
それを見て私のもデジャブのようなものが起こりました。
そういえば、

「そうですね……そういえば私も綾波姉さん達にちょっと準備しているから暇してきてちょうだいって言われたのですけど、そう言う事でしょうか……?」
「多分そう言う事だと思うな」
「うんうん。やっぱり姉妹がいるといいよね。私達は姉妹艦はいないけど空母みんなが家族のようなものだから」

それは、なんといいますか……羨ましいものですね。
空母の方々は最近では人数も増えてきましたので様々な方がいらっしゃいますから飽きは来ないでしょうし。

「まぁ、本題なんだけどそれで少し手が空いちゃっているから同じく暇してそうな狭霧ちゃんを誘いに来たんだー」
「私をですか……? 構いませんけどなにかをするのですか……?」
「うん。提督もきっと私達にプレゼントを渡す機会を伺っていると思うからどうせなら一緒にいた方がいいと思ってね」
「はぁ……確かにそうですが私で構わないのですか?」
「ぜんぜん大丈夫だよ! 違う艦種の子達ともたまには交流も深めておかないといけないしね」
「そうそう。楽しんだもの勝ちよ!」

蒼龍さん達はとても愉快な性格ですから私もつい乗せられてしまいそうになります。
確かに、それなら私も付き合うのは吝かではありませんね。

「わかりました。それでは少しの間ですが一緒になにかやりましょうか」
「決まりね! それじゃさっそくだけど間宮にでもいこっか! きっと間宮さんもサービスしてくれると思うしね」
「そんなわけで行きましょう!」

お二人に両手を掴まれてまるで連行されるように連れていかれました。
まぁ、たまには贅沢もいいですよね……?
ついつい節約思考が働いてしまうのは私の悪い癖ですから。
それで到着した甘味処間宮で、

「間宮さーん! あんみつ三人分お願いします!」
「はーい! あ、蒼龍さん達に狭霧ちゃんでしたか。それでは今日は進水日ですからなにかサービスしておきますね」
「やりぃ♪」
「思った通りだったね蒼龍」
「そうだね蒼」

お二人がそれで騒いでいる中、少し悪いと思ったんですけどやっぱり気が引けるものですね。
それを察したのかお二人はにんまりと笑いながら、

「もう! 表情に出てるよ。狭霧ちゃんは考えが固いよ! こういう時くらいは楽しまなきゃ損だよ!」
「そ、そうですね……でもこう言う事はあまりしないので慣れないものですね」
「こういうのは慣れが必要だよ。何事もこの鎮守府ではみんながみんな優しいんだからそれを受け入れるのも器が問われるよ」
「そうですね……他の鎮守府ではどうかは分かりませんがここはとても暖かい場所ですから私も慣れないといけないですよね」
「そうそう。だから楽しんじゃおうよ」
「はい!」

それから間宮さんの特別なあんみつ贅沢セットを三人で食した後に、

「あー、美味しかった! さっすが間宮さんだね」
「うんうん。それじゃこれからどうしよっか?」
「そうですね。娯楽施設はあるにはあるのですが数は限られていますからね」

そう、この鎮守府は提督がみんなの意見を聞いてそれぞれ要望に沿ったものを家具妖精さん達にお願いして作ってもらっているとかなんとか。
提督曰くストレスを溜めない環境を作りたいとか言う事で。
だから結構色々なものがあるんですよね。
運動場もあれば雨の日とか用に屋内訓練場とかもありますし、鳳翔さんとかも居酒屋とか開いていますしね。
私もたまに天霧さん達と行った事があるのですけど、良いところでしたね。
それで考えている時でした。

「おーい、三人とも」

そこで提督の声が聞こえてきました。
振り返ると提督が私達を探していたのか少し息が上がっていました。

「やっと見つけた……」
「あら? もう準備とか整ったんですか提督?」
「ああ。空母のみんなとか綾波達が準備は終えたらしいから呼びに来たんだ」

そう言う提督はいい笑みを浮かべていました。
やっぱり提督は優しいですね。
みなさんの進水日には必ずなにかを準備してくれますから。

「それじゃ三人とも。進水日のお祝いとして小さいけど会場は確保してあるからさっそくいこうか」
「「やったー!」」
「提督、それではお付き合いいたしますね」
「ああ。プレゼントも用意してあるからぜひ楽しんでくれ」

その後に私達はみなさんの準備したケーキなどを食べさせてもらいました。
間宮さんのところであんみつを食べたばっかりでしたから少し口の中が甘いですけどせっかく用意してくださったんですから美味しく頂かないとですよね。

「うん。美味しい……♪」

この鎮守府に配属できてよかったと今もいえますね。
これからもみなさんとこうして楽しみたいです。
私は、そう思いました。


 
 

 
後書き
今回は狭霧を主役で書きました。
楽しんでいただけたら幸いです。




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