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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1913話

 金曜の3時間目、世界史の授業の時間……俺は、何故かその教師に睨まれていた。
 いや、何故かって訳じゃなくて、単純にその教師に意見したからなのだろうが。

「アルマー、今のは私の聞き間違いかな?」

 40代くらいの、中年の教師が俺を見てそう言ってくる。
 言葉そのものは落ち着いているように聞こえるが、その顔は赤くなってコメカミには血管が浮き出ている。
 ……何でそんなに怒るんだ?
 そんな疑問を抱きながら、俺は口を開く。

「民主制が不完全な制度だと聞こえたのなら、間違ってはないと思いますが」
「……どうやら聞き間違いではなかったらしいな。では、聞こう。何故民主制が不完全だと思うのかね?」
「民主制と衆愚政治はイコールで結ばれてると思うからです」

 少なくても、俺が今まで見てきた世界では、本当の意味で充実している民主制というのを見た事はない。
 政治家は汚職をし、堕落し、自分の利益の為であれば、国を売るような真似を平然とする。
 勿論きちんとした政治家もいたが、政治家と呼ぶよりも政治屋と呼ぶ方が相応しい人間の方が圧倒的に多かったのは間違いない。
 民主制というのは、民衆が自分達の代表を選ぶといった趣旨の政治だ。
 勿論正確には色々と違うところもあるのだろうが、その辺は俺は別に学者でも何でもないので、大雑把な理解しかないが。

「ふむ、ではアルマー。君はどのような政治形態が正しいと思うのかね? 民主制を否定するんだ。何かいい意見があるのだろうな?」
「独裁制とか?」
「……本気かね?」

 予想外の言葉が俺の口から出てきた、そう言った様子の教師。
 まぁ、このペルソナ世界では独裁制なんてのは過去の遺物に相応しい政治形態だろうしな。

「ええ。ただ、その独裁者が有能な人物であるのが、大前提ですけど」
「なるほど。だが、その有能な独裁者の後を継いだ者が、必ずしも有能ではない可能性はある。いや、寧ろその可能性の方が高いだろう。その場合はどうする?」
「独裁者が不老にでもなれば、解決すると思いますが……まぁ、無理でしょうね。正確には、俺にも分かりません」

 勿論、この場合俺の言っている独裁制ってのは、シャドウミラーの事だ。
 自慢じゃないが、俺はそれなりに有能な独裁者だと思う。
 ……ただし、俺自身が有能という訳ではなく、有能な人物を引き立てて、仕事を任せるという意味での有能だが。
 普通なら年齢という問題が持ち上がってくるが、シャドウミラーであれば基本的には不老の存在となるので、そこら辺は気にする必要もない。
 まぁ、それが可能なのは、あくまでもシャドウミラーという存在だからであって、普通に考えればそんな国の存在を信じる事は出来ないと思うが。

「はぁ……民主制を批判するのなら、せめてきちんと対抗する案を持ってから言え。……いいか、独裁制などといものは、文明がまだ未発達の時代であればこそ通用した。今の時代、民主制は必須だ。それは、世界を見回せば分かるだろう?」

 俺ではく、クラスの生徒達に告げる教師。
 正直、民主制がそこまでいい制度だとは思わないのは変わらないんだけどな。
 ただ、この場合はこれ以上何も言わないで黙っていた方がいいか。
 シャドウミラーが今の体制で上手くいってるのは、あくまでも小規模だからという一面があるのも事実だし。
 もしこれで国民の数が数万人、数億人といった風になれば、さすがに今と同じ体制でどうにかするのは無理なのは間違いない。
 ……量産型Wに政治の知識とかをインストールすれば何とかなりそうな気がしないでもないが、突発的な事態には対処出来ないだろうしな。
 もしそうなったら、それこそ政治班の面々には24時間働けますか? といった事をやって貰うしかないか。
 魔法球があるからこそ、可能な荒技だが。
 何しろ、外で1時間だけ休憩の時間を作れば、魔法球の中で2日間休めるのだから。
 ともあれ、俺の言葉から始まった教師の民主制賛美で、授業時間の大半を使う事になってしまった。
 ……歴史教師の小野は、話も面白いからいいんだけど。
 まぁ、伊達家賛美になる辺り、歴史に興味のない人にはつまらないだろうけど。
 ともあれ、そんな感じで授業が終わり……

「あのな、アクセル。あまりよけいなことをするなよな」

 休み時間になると、順平が呆れ半分、怒り半分といった様子で俺に言ってくる。

「あー、悪いな。別にそういうつもりはなかったんだけど、ちょっと気になって」
「……あの教師、嫌いな相手には点数とか厳しくなったりする事もあるから、気をつけた方がいいぞ?」
「ああ、悪いな」

 順平が俺から離れて、自分の席に戻っていく。

「で? 何だって急にあんな事を言ったのよ?」

 順平がいなくなったのを確認してから、ゆかりが俺に向かってそう尋ねてくる。
 その目にどこか悪戯っぽい光があるのは、俺の言葉に多少なりとも興味があった証か?
 周囲を見て、こっちに意識を向けている奴がいない……いや、離れた場所からゆかりと仲良く話している俺を恨めしそうに見ている奴はいるが、話しても声は届かないだろう。

「俺が見てきた中で、民主制がきちんと上手くいってるといった例は殆どなかったからな」

 実際に幾つもの世界を見てきたからの実感。
 まぁ、全員が全員駄目って訳じゃないけど。
 そこまで酷い世界は、そうそう多くはない。

「……ふーん、そうなんだ」

 俺の言葉に、ゆかりは言葉短くそれだけを返す。
 まぁ、ゆかりにしてみれば、俺の正体を知っているだけに、迂闊に言葉を返す事も出来なかったのだろう。
 微妙な空気が俺とゆかりの間に広がり……

「そう言えば今日の勉強会、桐条先輩が来るらしいけど聞いた?」
「そうなのか? いや、まだ聞いてない」
「そうなの? 後でメール送るって言ってたんだけど。ま、とにかくそういう事らしいわ。結局月曜に来てから、今日まで顔を出せなかったから、ちょっと気にしてたみたい。さっきちょっと会った時に聞いた話だけど」
「そうか」

 そう言葉を返しながら、俺はゆかりと桐条の関係を思う。
 俺と出会った当初は桐条グループの1人娘という事で、桐条を嫌っていたのだが……今はかなり仲が良くなっている。
 勿論親友だとか、そこまではいってないようだが、会えば普通に話をするのだから、関係性が改善してるのは間違いない。

「桐条先輩がいれば、友近も少しは真面目になるのかしら」
「間違いなく真面目になるだろうな。月曜もそうだっただろ?」
「それは……まぁ」

 俺の言葉に、ゆかりは素直に頷きを返す。
 もっとも、月曜に真面目に勉強をしすぎたせいで、それ以降は色々とやる気にならなかったというのもあるのかもしれないが。

「ゆかりにも色々と迷惑を掛けてるけど、月曜までもうちょっと、付き合ってくれ」
「……分かってるわよ。けど、そうね。何かお礼を楽しみにしてようかしら」
「お礼? いやまぁ、俺に出来る事であれば、別にこういう事がなくても引き受けるけど」

 何だかんだで、ゆかりはこのペルソナ世界における俺の最大の味方なのだから。

「じゃあ、そうね。今度は木星にでも連れて行って貰おうかしら」
「別にそれでいいのなら、こっちとしては構わないけどな」
「え? いいの? 本当に?」
「ああ。もっとも、木星の場合は下りるのは難しいだろうし、外から見るだけになるだろうけど」

 ……まさか、この世界の木星に古代文明の遺跡とか残ってないよな?
 まぁ、あれはナデシコ世界特有の代物なんだろうし、ここで心配する事はないと思うけど。

「まさか、こんなにあっさりOKするとは思わなかったわ」
「別に、手間は火星に移動するのと変わらないしな」

 ニーズヘッグに内蔵されているシステムXNを使えば、移動する手間そのものは変わらないし。
 もっとも、影時間になれば桐条グループの方で色々と監視していたり、桐条のペルソナを使って周辺を探索したりといった風にしているから、以前みたいに近くでニーズヘッグを取り出したりといった真似は出来ないが。
 ……今までニーズヘッグの件が露わにならなかったのは、運が良かっただけなんだよな。
 もし見つかったら、俺の素性はとてもじゃないが隠しようがない。
 魔法とかを使っているだけであれば、この世界で知られていない技術だと隠し通す事も不可能ではない。
 だが、ニーズヘッグのような人型機動兵器を見られれば、誤魔化しようがない。
 魔法とかペルソナとかシャドウとかに比べて、明らかにニーズヘッグのような機体は、この世界では異色だ。
 あー、でもニーズヘッグはまだしも魔法の要素があるから、サラマンダーやミロンガ改に比べれば、まだ……いや、無理だろ。
 思わず自分で自分に突っ込みを入れてしまったが、実際無理だと思うのは俺だけじゃない筈だ。
 そんな風に思いつつ、妙に上機嫌になったゆかりの相手をするのだった。





「では、失礼する」

 桐条がそう言いながら俺の部屋に上がる。
 俺の部屋に来るのはまだ2度目だからか、まだどこか緊張した様子がある。
 そのうち慣れる……と言いたいけど、来週の月曜からテストなのを考えれば、そこまで時間はないだろう。
 ちなみに、この勉強会は日曜で終わりという事になっている。
 来週の月曜から始まるテストだが、午前中でテストは終わって、午後からは自由な時間となる以上、勉強会を続けようと思えば続けられるんだが……
 ただ、当初の目的……宮本を始めとした三馬鹿トリオの成績は間違いなく上がっており、現状でも取りあえず赤点はないだろうと思える程度には勉強が出来ている筈だ。
 ……このままテストが終わった後も復習とかを欠かさないようにすれば、赤点を取らない……平均点は無理でも、そこから少し下くらいの成績であれば、維持出来ると思うんだが。
 まぁ、無理だろうな。
 恐らくテストが終われば、また勉強しなくなるだろうし。

「アルマー、その、これは手土産だ。小腹が空いたら食べて欲しい」

 そう言いながら桐条が渡してきたのは、紙で出来た箱だった。
 ケーキとか、そういうのが入っているような。
 実際、箱の中からは甘い匂いがするので、ケーキの類だというのは間違いないだろう。

「悪いな。じゃあ、勉強が一段落したら食わせて貰おうか」

 そう言い、ケーキは台所の方に置いておく。
 そうして桐条と共に勉強会をやっている場所に向かい……

「桐条先輩!」

 嬉しそうな……いや、そんな表現だと足りないな。歓喜の表情を浮かべた友近が、桐条に向かって叫ぶ。
 桐条も、自分が来た事を友近が喜んでいるというのは理解しているのだろう。
 小さく笑みを浮かべ、口を開く。

「最近は少し忙しかったが、今日は大丈夫だ。……それで、私は君に教えればいいのか?」
「はい、是非お願いします」
「ふふっ、私は厳しいぞ?」

 そう告げる桐条に、友近が数秒目を奪われる。
 ……ただ、この場合不運なのは桐条が友近を後輩、もしくは俺達の友人という立場でしか見てない事だろう。
 少なくても、友近が希望しているように男として見ているかと言われれば……間違いなく、否だ。
 もっとも、友近の場合は叶という本命がいるんだろうけど。
 色々と噂を聞いた限りだと、叶は生徒に手を出しているって話だし。
 一夏の経験的な意味では、友近にもまだチャンスはあるかもしれない。
 まぁ、夏どころか、まだ春になったばかりなんだが。

「ふむ、では彼には私が教えよう。アルマーと岳羽はどうする?」
「私は……やっぱり順平かしら。出来の悪い生徒だけど」
「そんなぁ、ゆかりッチ……」

 出来の悪い生徒呼ばわりされた順平が、ゆかりに潤んだ視線を向ける。
 順平の立場は、完全にゆかりより下というのが決まってしまったな。
 いやまぁ、それは元々か。

「って訳で、今日も宮本の勉強は俺が見ることになる。よろしくな」
「ああ、よろしく頼む」

 そう告げる宮本の口調には、微かな自信がある。
 今日までの勉強で、結構な手応えを感じているのだろう。
 実際、剣道で鍛えた集中力もあってか、宮本の勉強に対する態度はかなり真剣なものだ。
 恐らく三馬鹿トリオの中では一番成績がよくなるんじゃないかと、そう思えるくらいには。
 もっとも、集中力という意味では順平はタルタロスで命懸けの戦いを繰り広げているのだが。
 訓練と実戦……それも命を懸けた実戦となれば、当然のように後者の方が経験値は多い。別に経験値が数値化されてる訳じゃないけど。
 ともあれ、俺達はそんな感じで勉強を進めていき……時には順平のボケにゆかりが突っ込みを入れたり、時には休憩時間に桐条が持ってきてくれた美味いケーキに舌鼓を打ちながら、夜まで勉強をするのだった。
 ……ちなみに、当然ながら夕食は毎食釜玉うどんになったのだが、それは当然の事だろう。
 そんな風に勉強をしつつ……いよいよ俺達はテストの日を迎えるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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