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仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~

作者:紡ぐ風
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第3章 激闘!ディエンド編
  第42話『凪絶つ風』

『フレイムヘイズとして契約を交わし、燐子達と戦っていた僕の前に現れた海東大樹は予想通り零時迷子を狙っていた。僕は必死の攻防でディエンドを退け、シャナ達に協力を要請した。』

─無限の時が鼓動を止め、人は音もなく炎上する。誰ひとり気づく者もなく、世界は外れ 紅世の炎に包まれる。

「それでは、当の紅世の王が現れていない以上は手の出しようもない。今日は一旦解散し、後日逢いましょう。」
「そうね。でも、私は帰る場所がわからないわ。」
「それならシャナ、僕の所に来ない?」
「そうね。ミステスの監視も兼ねられるからいいわ。」
シャナと悠二は帰ってゆく。
「帰ったか。」
雅は落ち着く。
「それで、雅。その剣は?」
『ああ、私?私は紅世の王“風鈴”エリュゲイル。あなた達がこの世界にいる間は私もあなた達の味方よ。よろしくね、お嬢さん。』
エリュゲイルはフェイトに挨拶する。
「エリュゲイルさん、あなたはどうして雅と契約したのですか?」
フェイトはエリュゲイルに質問する。
『そんなの決まっているじゃない。楽しそうだからよ。私はね、この世界が無くなるのが嫌なの。この世界の、特に人間の心っていうものはとても素晴らしい。だから、私にとってはこの世界は楽しい旅行先なの。あなただって、旅行先がなくなったら嫌でしょう?それと同じよ。』
「そうですか。それなら、どうして雅だったの?」
『そうね、あなたは現代の紅世を知らないから教えるわ。封絶のことは雅から聞いているわよね?封絶が流行った結果、徒達は簡単にこちらに来れるようになった。そして、水面下で行動出来るようになった。その所為で私達は契約者を探すのが困難になって、私は封絶の中でも思考が動く人間なら誰とでも契約するようになったの。』
「そうだったのですか。」
『あとは単純に好みのタイプだったからよ。思わない?この子可愛いって。』
「私にはまだ分かりません。」
『あなたも女なら、何時か解る時がくるわよ。』
「なるほど。それで、今の雅の状況は?」
『別に、なんともないわ。雅の心臓の辺りを見て。』
エリュゲイルに言われてフェイトが雅の胸部を見ると、よく見ないと目立たないが透明な炎のようなものがゆらゆらとしていた。
「これが、炎?」
『そうよ。私、“風鈴”と契約したフレイムヘイズ“因果継承の繰り手”はみんな私と同じ透明な炎が生まれる。』
「雅の炎は、どれくらい大きいのですか?」
『これほどの逸材は中々いないわ。それくらいよ。』
「そうですか。お話、ありがとうございます。」
「もしかしたら、フェイトは将来執務官が向いているかもな。」
フェイトとエリュゲイルの話を聞き、雅は感想を述べた。

翌日、雅はシャナ達と授業に出ていた。
「では、次の問題は凪風君、解いてくれるかな?」
「は、はい…」
雅は教師に指されて教壇に上がり解を書く。
「素晴らしい。百点満点の回答ですね。皆さん、凪風君に拍手をして下さい。実はこの問題、高校卒業クラスの問題です。」
教師の言葉を聞き、シャナを除く全ての生徒が雅に拍手を送るが、雅は怯えるように席に戻った。
「あんた、中々やるわね。」
「せめて、苗字か名前で呼んでいただけませんか、平井さん?」
雅はシャナの言葉に返す。シャナは、この学校に入り込む為に、既にトーチであった少女、平井ゆかりの名前を借りている。
「さて、今日の授業はここまで。それでは皆さん─」
教師の言葉は封絶によってさえぎられる。
「やあ、異界のフレイムヘイズ、そして炎髪灼眼の子獅子ちゃん。」
そこには、白で身を固めた男性がいた。
「お前は!」
シャナは贄殿遮那を構える。
『奴は、“狩人”!あの燐子達を放ったのはお前だったのか!』
「いかにも。全ては私の可愛いマリアンヌの為だよ。」
「あいつがフレイムヘイズ殺しで有名な“狩人”!?」
『その通りだ。気を付けるのだ!』
シャナはアラストールの忠告を聞かずに突っ走る。
「見ていられない。僕達も行こう、エリュゲイル!」
【KAMEN RIDE-DELOAD-】
『分かっているわよ!』
雅もディロードに変身してフリアグネに向かうが、マネキン型の燐子がディロードの行く手を遮る。
「こいつら、数が多い!」
ディロードが手こずる中、シャナもフリアグネに苦戦していた。
「さっきから避けてばっかり!少しは真面目に戦いなさい!」
「だから君は子獅子なのだよ、炎髪灼眼のお嬢ちゃん。」
フリアグネは纏っている白い帯でシャナの攻撃を受け止める。そんな時、
「大丈夫か!」
ディロードがフリアグネに刃を向けて切り裂こうとするが、突然カードからマネキン型燐子が現れて盾となる。
「ありがとう。でも、勝手にこちらに来てはダメだと言っただろう。私の可愛いマリアンヌ。」
フリアグネが後退すると、古ぼけたぬいぐるみがいた。
「フリアグネ様、ここは私にもやらせて下さい!」
そのぬいぐるみ、燐子“可愛いマリアンヌ”はコイン型宝具“バブルルート”から金色の鎖を放ち贄殿遮那を封じ込めてしまう。
「くっ!この!」
シャナは必死に贄殿遮那を使えるように努力するが、いっこうに使用出来るようにならない。
「だったら、僕が大元を叩く!」
ディロードのクラウソラスによる一閃でマリアンヌが吹き飛ぶ。すると、
「マリアンヌ!ああ…私の可愛いマリアンヌが!お前だけは、許すものか!」
フリアグネはカードから大量のマネキン型燐子を呼び出してディロードに向かわせると、ハンドベルを取り出し、
「“ダンスパーティー”!」
その宝具“ダンスパーティー”によって燐子を連鎖させるように爆発させ、ディロードは爆発に呑み込まれる。
「ぐあぁっ!」
幾十という爆発によってディロードの変身は解除させられ、雅は爆発によって吹き飛ばされる。
「う………」
雅は気を失う。
「フリアグネ様、大丈夫ですか!」
マリアンヌはフリアグネの様子を確認する。
「ああ、大丈夫だよ私の可愛いマリアンヌ。炎髪灼眼、それに因果継承!今は一旦さらばだ。」
「待ちなさい!」
シャナはフリアグネを追いかけようとするが、フリアグネの姿は既に無く、シャナは自在式で破損した教室と生徒を直す。
「とりあえず、あんたのことは名前で呼ぶわ。悠二、こいつを家まで運ぶわ。手伝いなさい。」
「わかったよシャナ。」
シャナと悠二は協力して雅を運ぶ。

「ん…ここは…」
雅が目を覚ますと、フェイトがいた。
「よかった。無事で。」
「僕は“狩人”と戦っていたはず。どうして?」
「シャナさん達が運んでくれたの。」
雅が横を向くとシャナと悠二がいた。
「シャナさん、悠二さん、ありがとうございます。」
「別に、いいわ。昨日の礼と思いなさい。」
「解りました。それで、“狩人”に対抗する為にある特訓をしたのですが、シャナさんに手伝っていただけないでしょうか?」
雅はシャナに尋ねる。
「一体何の。」
「これを見て下さい。」
雅は巻物を一つ取り出す。そこには『凪風流武術全書』と書かれていた。
「この中にある凪風流の奥義を会得したいのです。シャナさん、協力していただけないでしょうか?」
「別に、それくらい構わないわ。それで、内容は何?」
「この中に記されている奥義、凪絶つ風は百の軍勢を払うと言われています。シャナさんには、カウントを頼みたいのです。」
「わかったわ。任せて。」
雅の頼みにシャナは納得し雅とシャナ、そして悠二の三人は外へ出る。
「それでは、始めます!封絶、展開!」
雅は封絶を張り、その存在の力の一部を使いフリアグネが使役したマネキン型燐子のダミーを百体生み出す。
「凪風流、奥義!」
雅は右腕を広げて心臓の直線上まで動かす。すると、空気は吸い寄せられるようにその一点に集まってゆき、雅の身体は真空状態によって発生する裂傷で皮膚が裂けてゆく。そして、
「凪絶つ風ぇっ!」
その集まった空気を横薙ぎの刃ですして燐子に放つ。風の刃によって燐子達は次々に崩れてゆくが、煙が晴れると数体の燐子が残っていた。
「83体!次!」
「奥義!凪絶つ風!」
雅は再び放つ。しかし、
「68!ふざけているの!?」
その数にシャナは起こる。
「凪絶つ風!」
「74!次!」
「凪絶つ風!」
「52!諦めたら?」
「いいや、まだだ!」
「95!もう少し!」
「どうだ!」
「76!何しているの!?」
何度も雅は失敗を繰り返す。そして、
「これで、どうだ!」
「100体!出来るじゃない!」
シャナの言葉で特訓は終わり、休息に入る。
「シャナ、どうして嘘をついたの?」
悠二はシャナに質問する。カウンターには、67と記されていた。
「あの調子じゃ何日かけても無駄よ。それならさっさと終わらせる方がいいわ。」
シャナの言葉は冷たかった。

『何っ!都喰らいだと!』
雅の言葉を聞いたアラストールは驚く。
「シャナ、都喰らいって?」
「町規模での大規模な捕食活動のことよ。」
「そんなっ!シャナ、雅、どうにかならないの!?」
「なる!僕達で止めて見せる!」
雅とシャナ、悠二は夜の御崎デパートへ向かった。

「見つけたぞ、フリアグネ!」
「おやおや、因果継承に炎髪灼眼のお嬢ちゃん、それに珍しい宝具のミステス。」
「悠二には指一つ触れさせない。」
「おや?そのミステスを名前で呼ぶとは、変わったようだね。」
「御託はいい。その野望、挫いて見せる!」
「因果継承、出来るものならね!」
フリアグネは120の燐子を呼び出す。
「露払いは僕に任せて下さい!凪風流、奥義!」
雅は凪絶つ風の構えをとる。
「雅、あの時の特訓、実はクリアしていなかったんだ!だから」
「解っていました。だから、今回は百五十を狙います!奥義!凪絶つ風!」
雅は悠二の言葉を遮って凪絶つ風を放つ。放たれた風の刃はみるみるうちに燐子達を倒してゆく。
「シャナさん、悠二さん、今です!」
「させません!フリアグネ様の邪魔は、私が食い止めます!」
雅の言葉に反応してマリアンヌがシャナ達に立ちふさがる。
「マリアンヌ!君の相手は僕だ!」
【FORM RIDE-DELOAD SNOW RAIN-】
雅はディロード スノーレインフォームに変身してマリアンヌを殴る。
「シャナさん、悠二さん!このカードに願いを込めて下さい!」
ディロードは白紙のカードを投げ渡し、2人は願いを込める。
「集え、世界の願い!」
【WORLD HOPE-SYAKUGAN NO SYANA-】
ディロードはシャナの世界のワールドホープを発動する。すると、シャナと悠二の身体が紅蓮の光を放ち、シャナに緋色の翼が生える。
「これは、もしかして悠二と一緒にいるから?」
「シャナ、僕はシャナを信じている。だから、頑張って!」
「わかったわ。悠二、私と一緒に戦って!私、悠二がいれば怖くない!行くわよ悠二、掴まって。」
悠二はシャナの腹部にしがみつく。
「行くわよ。」
シャナはそう言って紅蓮の翼で空を飛ぶ。
「これで、終わりだ!」
【FINAL ATTACK RIDE-DE DE DE DELOAD-】
「ディロード雷天斬り!」
ディロードの斬擊がマリアンヌを切り裂き、マリアンヌは爆発する。それによってバブルルートに封印された贄殿遮那が解放される。
「おのれ!マリアンヌを、私の可愛いマリアンヌを!」
フリアグネは拳銃型宝具“トリガーハッピー”でシャナとディロードを攻撃するがことごとく避けられ、ディロードの攻撃でトリガーハッピーは破壊され、
「これで、終わり!」
贄殿遮那の一閃によってフリアグネは討滅される。

「ありがとうございます。」
「礼をされることでもない。」
雅の礼にシャナはそっぽを向く。すると、
「仕方がないなー。その宝具は諦めてあげるよ。かわりに、別の宝具で我慢するから。」
両手にフリアグネが残した沢山の宝具を抱えた海東がいた。
「待て!それを置いていけ!」
「嫌だね。」
海東は雅の制止を振り切って次元のオーロラへ去って行った。
「それでは、僕はあいつを追わないといけないので、この辺で。」
『それじゃあ、私ともお別れのようね。』
「済まない、エリュゲイル。」
『謝らなくていいわよ。元々私の我が儘に付き合ってもらったんだしね。ありがとね、雅。』
エリュゲイルはそう言って、契約を解除し紅世へ帰っていく。
「それでは、僕もこの辺で。」
雅はシャナ達に一礼して去って行った。

「みんな、僕達が次に向かうべき世界は『ローゼンメイデン-トロイメント-』のようだ。」
ソウルライドの発動を確認した雅が絵巻を広げると、そこには紫の少女に立ち向かう金、緑、青の少女が描かれていた。
to be continued.

次回、仮面ライダーディロード
海東の次なる標的は薔薇の乙女の核。雅は、本来有り得ない八番目の契りを交わす。次回『紫晶石-amethyst stone-』 
 

 
後書き
新カード紹介
灼眼のシャナ(ワールドホープ):シャナの世界のワールドホープ。シャナが紅蓮の翼を会得する。

エリュゲイルの元ネタはソロモンの悪魔の一柱、アルゴルです。神器が槍の名前である理由はアルゴルの武器が槍で描かれることが多いことに由来しています。神器が剣の形になった理由は、二刀流を行えるようにする為です。 
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