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ドリトル先生と春の花達

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第十幕その十

「何についてもね」
「そういうことですね」
「怖い、おかしいだけじゃね」
「何にもならないですね」
「学問はそうした偏見を消していくものなんだ」
 先生は学問についてこう考えています。
「神を学ぶと共にね」
「その通りですね」
「こう言うと日本人は首を傾げるけれど」
「学問は神学からはじまってますからね」
「全ての学問の源流は神学だよ」
 キリスト教のというのです。
「まさにね」
「けれどこのことは」
「そう、本当にね」
「日本ではそれぞれの学問が分かれてますね」
「文学、社会学、法学、哲学、経済学、医学、理学、何でもだね」
「そこが欧州と本当に違いますね」
「欧州は本当にね」
 学問は神学という源流があるというのです。
「源流があるから」
「そして学問は神のことを学ぶことでもありますが」
「そこが日本とは違うね」
「日本も宗教学がありますが」
「哲学や文学には影響を与えていても」
「全ての学問には、ではないですね」
「そうした学問ではないよ」
 日本の宗教学はというのです。
「西洋の神学とは違って」
「そうですね」
「神仏というし神も宗教も一つではない」
「そのことがありますね」
「だからね」
「全ての学問が神を学ぶことという考えは」
「日本にはないね」
 本当にそこはというのです。
「また別の考え方だよ」
「学問についても」
「生物学もね」
「生物学は生物学ですね」
「そう考えられているよ」
 神学が源流にはないというのです。
「だからこそダーウィンの進化論も無抵抗に受け入れて理解出来ているけれど」
「これは凄いことですけれどね」
「日本人には自覚がないんだよね」
 先生達から見れば本当に凄いことですが。欧州の学者さんからの視点では。
「そのことも」
「欧州では大論争でしたからね」
 ダーウィンの進化論についてです。
「今も言われていますし」
「神学に反するのではってね」
「そうなんですよね」
「天動説、地動説もね」 
「ガリレイやコペルニクスの」
「こちらもだったからね」
 ルネサンスの頃のことです。
「ベーコンやデカルトも言っていたしね」
「それぞれの立場で」
「けれど日本ではね」
「地動説もあっさりとでしたね」
「うん、受け入れられたよ」 
 物凄い論争にならずにです。
「これがどれだけ凄いか」
「僕達が思っていても」
「それを全然凄くないだから」
「日本人は余計に凄いですよ」
「これは神学に捉われていないからだね」
「全ての学問の源流が神学でないので」
「神を学ぶことを意識しなくてもね」
 それでもというのです。
「悪いことばかりではないね」
「そうしたことを自然に受け入れることも出来るので」
「うん、いいこともあるよ」
「そういうことですね」
「日本の学問もね」
「そうなりますね、ただそのせいか」
 トミーはこうも言いました。
「学問についての考え方が全然違いますね」
「神を意識するかしないでね」
「そうですよね」
「音楽でもそうだね」
「欧州は音楽まで神からはじまっていますからね」
「そう、教会で発達してきたからね」
 パイプオルガンや合唱とです。オーケストラにしても信仰についての曲が非常に多いのです。 
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