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大忙し日本軍

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第二章

 だがその偉大な歴史がだというのだ。
「日本軍は破壊した証拠も残さないまでに破壊した!」
 あのコンキレスタドール、コルテスやピサロですら平伏するだけの破壊行為を成し遂げたというのだ。それだけの破壊行為をしたというのだ。
「美しかった国土も破壊した!」
「木という木は全て刈り取られた!」
「何もかもを破壊された!」
「自然も!文明も!」
 どんどん東映の特撮ものの悪の組織の様になってきている。
「後に残ったのは廃墟のみだった!」
「人材という人材は全て強制連行で連れ去られた!何千万も!」
 八百四十万人からさらに倍以上に増えた。
「娘達は根こそぎ慰安婦として慰みものにされた!」
 当時貴重品だった車に四人の憲兵達、本来は馬に乗って移動する筈の彼等が兵士のいない村にわざわざ来たという。尚憲兵は軍の警察であり軍隊のいない場所には普通はいない。
 しかもその憲兵達の腕章は赤かったっという。不思議だ、日本軍の憲兵の腕章は白地に黒い字で憲兵と書かれているからだ。
 その日本軍の憲兵とは思えない彼等が村の娘、使用すら禁じられていた筈のその国の言葉で喋っているのに業を煮やした感じで娘を慰安婦として引き立てていった。村人達はその憲兵達を恐れて娘を見殺しにしたという。 ちなみに慰安婦になった経緯はどういう訳か同一人物の証言であっても生年月日や生まれた場所、生い立ち、慰安婦になった経緯が証言の都度様々に変わる。これを裁判で検証すればどうなるのであろうか。
 強制連行も沖縄に万人単位で送り込めた、それだけ日本軍は勤勉に強制連行にも励んでいたのである。
 勿論破壊と収奪も徹底的にやった、一般市民を殺戮し柔道だけで百万人を殺戮したという。柔道は本来は彼等に起源があるものだが豊臣秀吉が彼等を殺戮する為に日本に持ち去りあの嘉納治五郎が完成させたという。そしてその日本の柔道家達は百万人の民衆を殺戮したというのだ。おそらく空手で二百四十万、合気道で百万、剣道に至っては四百万人を殺したのであろう。後世のポル=ポトは日本軍を参考にして殺戮を行ったのだろうか。
 それでいて慰安婦達とは昼も夜も淫らの限りを尽くし様々な、どんな腐敗した権力者、サド侯爵やマゾッホの様なある意味において偉大な芸術家達ですら想像しなかった背徳の宴を行い続けた。日本軍はこれだけのことをやっていたというのだ。
 だが、だ。ある人がここまで聞いてこう言った。
「これだけのことをして日本軍は何時戦っていたんだ?」
 何故足掛け数年も連合国をまとめて相手にして戦い抜いたかというのだ。その国でこれだけのことをしながらだ。
 このことについて別の人がこう答えた。
「一日五分位かと」
 つまり一日で僅か五分、その間の戦闘で連合国と数年も戦えたのだ。何千万と強制連行を行う圧倒的な輸送力があらばこそできたことであろうか。
 日本軍はとかく多忙だった。そしてこれだけのことを成し遂げたと彼等は主張する。だとすれば我々は日本軍、我々にとってご先祖様である彼等を尊敬せねばならない。その全ては人間とは思えないからだ。 
 最後にある人達は言った。
「これだけの力を戦争に回していれば絶対に勝っていた」
「何故戦争に負けたのか不思議だ」
「これだけのことを成し遂げた日本軍を尊敬する」
「まさに超人だ」
 少なくとも人間とは思えない。日本軍は多忙な中でこれだけのことをしたのだ、彼等が言う日本軍を尊敬しないではいられないのは彼等の意図的な宣伝であろうか。このことは読者の方々に判断を任せて筆を置くことにする。


大忙し日本軍   完


                            2012・11・10 
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