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DQ8 呪われし姫君と違う意味で呪われし者達(リュカ伝その3.8おぷしょんバージョン)

作者:あちゃ
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第九話:綺麗なお姉さんは好きですか? はい、好きです。でも気が強い性格なのは……

 
前書き
今回の被害者はラグサット君です。
え、誰それ? 

 
(リーザス村)
リュリュSIDE

「面倒臭ぇ……」
幼気(いたいけ)な子供をイジメる事には労を惜しまないのに、自分に無関係な村が困っている事態には面倒臭がるステキな男性……それはウルポン!

ヤンガス君が気を利かせて、この村の事態を聞き出したのに、その事態を聞くや否や面倒臭い発言ですよ。
この男の方が余程面倒臭いのは先程の遣り取りで熟知したので、お婆さんも周囲の大人さん達も……そしてポルク君とマルク君も何もツッコまない。ツッコむと余計面倒臭くなるからね。

でも、本当に面倒臭そうな事態になりそうなのは、この村の問題事にアハト君等が探してるドルマゲさんが関わってるかもしれない……と言うことです。
いや、お婆さん等の説明では、ドルマゲさんが関わってると感じなかったんですけどね、ウルポンの面倒臭がりを見たアハト君が『もしかしたらドルマゲスが……』的な事を言って、事態解決に乗り出す旨を表明したんですよ。

性格はウルポンやラン君に近い物があるけども、正義感も持ち合わせてるアハト君は、もしかしたらお父さんに一番近いのかもしれませんね。
まぁ私は惚れませんけど。

てなワケで、寝小便タレことポルク君とマルク君に連れられて、この地方を治めてるアルバート家のお屋敷へ、詳しい事情を聞く為に訪れて居ります。
結構大きなお屋敷……家主さんは丸い性格な方だと良いなぁ。
でないと、ウルポンが……



(リーザス村・アルバート家邸)

「だから言ってるでしょ! まだ宝石を盗まれた訳じゃ無いのだから、再び現れるはずの盗賊を捕まえる為に、リーザス像の塔で迎え撃つべきだと!」
「何度言えば解るのですかゼシカ! お兄様のサーベルトが亡くなったばかりなのですよ。今はアルバート家のしきたりに従って喪に服すのが常識でしょう! 貴女は兄が亡くなったことに悲しみを感じないのですか!?」

「悲しいわよ、当然! だからこそ、お兄様を亡き者にした盗賊を討伐したいと言ってるんでしょ! お母様こそ、しきたりを持ち出してお兄様の死から目を逸らしてるんじゃないの!?」
「何を言うのですか! 悲しみを受け止めてるからこそ、しきたりに従うのではないですか!」

何か揉めてるぅ。
お屋敷に入って執事の方に奥へ通されて、いきなりの揉め事見学会。
ウルポンを嗾けたら、もっと揉め事が炎上するかなぁ?

「うっわ……何か……キツそうな女性等ですねぇ」
ウルポンを面倒事に巻き込めるので嬉しそうにしてたアハト君ですが、目の前で怒鳴り合う母娘を見て、突然尻込みし始めた。

「何だアハト君……気の強い女は苦手かい?」
「ダメですねぇ……俺はお淑やかな女性が好みです。ミーティア姫のような」
ほうほう……如何やらアハト君もミーティアちゃんの事が好きなのですねぇ。

「それは困ったな。元の世界に戻れる様になったら、人材確保の為にアハト君を連れて行こうかと思ってたのに……」
「俺の事を連れ去る計画は兎も角……何故、俺が気の強い女性が苦手と言う事に困るんですか?」

「我がグランバニアには気の強い女性が多数存在するからだよ。何せ俺の職場へヒステリックに怒鳴り込んでくる女が王妃陛下だからな(笑)」
あれはウルポンが悪いんじゃないですかね? ビアンカさんは、そう簡単に怒りませんよ。

「嫌ですよそんな国! 絶対に行きたくないです」
「でも(すげ)ー美人なんだぜ。それでもダメかい?」
意味解りません。ビアンカさんは結婚してるんですから、ダメも何も無いでしょうに。

「気が強いけど美人、でも結婚してるから俺には興味を示さない。ダメでしょう!」
「そうか……残念だ。じゃぁあの娘は如何なんだい? 母親とヒステリックに言い合ってるけど、美人だし巨乳だぜ! リュリュさんと良い勝負な大きさ」
確かに大きいですねぇ。勝負する気は無いですけど。

「誤解がある様なので言っておきますけど、俺……別に巨乳には興味ないですから。どちらかというと、小さい方が好みかなぁ」
「へぇ~……って事は、馬姫さんは貧乳なの?」

「別に=(イコール)にしなくても良いんじゃないですか? ミーティア姫は巨乳ではないですけども、貧乳でもないですよ」
「じゃぁ美乳?」

「直接は見たことないので判りませんけど、きっと美しいと思います」
「え、本当に見たことないの? 親父の目を盗んでコッソリ口説いたり、夜這いをかけたりしてないの!?」
如何いう思考回路してるんですかねぇ、この男は!? プラトニックな愛し方だって有ると思うんですよ!

「そんな事しませんよ! 国が崩壊しても仕え続けるくらい、俺は姫様を敬愛してるんですから」
「ヤれない女を愛し続けるなんて……アハト君、童貞だろ?」
この男、ヤバイくらいに恋愛への思考が偏ってる!

「か、関係ないでしょ!」
「関係はないけども、手の届かない存在が対象なら、早々に諦めた方が良いよ。俺の義理の兄貴が、以前はそういう感じで拗らせてたからね」
お兄ちゃんは拗らせてたんですか? そういう風には見えませんでしたけどねぇ?

ウルポンとアハト君の遣り取りを横目に、この家の母娘の遣り取りを遠目で見学してると、私達と同じ様にヒステリック母娘の喧嘩を見学してた男性が、私をイヤらしい目で見ながら(特に胸を)近付き話しかけてきた。

「やぁ……ぼくはサザンビークの大臣の息子“ラグサット”と言う者なんだけど、君等もアルバート家に何か用なのかい?」
「あ……はぁ……何だか大変な事になってる様なので、何か力になれればと思って……」
私こういう人、キライです。聞いてもいないのに「大臣の息子」とか「貴族だ」とか言う人。

「そなのかい。でもぼくも、フィアンセのゼシカが心配で訪れたんだよ。彼女の心の支えになれればなぁと思ってネ☆」
「あぁそうなんですか」
あぁどうしよう……凄く殴りたいわ、この人!

「うわぁ……あの娘、哀れだな」
先刻(さっき)までアハト君と遣り取りしてたウルポンが、イヤらしい目で私に話しかけてくるお偉いさんの子を見ながら(しかも上から下へと視線を動かしながら)ゼシカさんを哀れと評した。でも私も同意見ですよ……この男がフィアンセなんて。

「……如何いう意味だい、それは!?」
ウルポンの言いたいことが伝わった為、不愉快そうな(てか不愉快)顔で問い返すお偉いさんの息子さん。さて、我等が性悪ヒーローのウルポンは如何答える?

「何がですか?」
おぉっと、ワザとだろうけどもキョトンとした表情で、問い返されてる意味を聞き返す。
解らない訳ないでしょう、あなたに。

「何がって、今キミは、ぼくがゼシカのフィアンセだと聞いて、彼女の事を『哀れ』だと発言したじゃないか。とても無礼な発言だと思うがね!」
まぁ本人に聞こえる様に言うのは無礼ですね。何時ものことですけどね。

「はぁぁぁ?! 俺が何時『アンタのフィアンセなんて哀れだ』と言いました? 俺は『慕ってる兄を殺されて哀れだ』と言ったんだ。何、被害妄想で因縁付けてんだコラ!」
絶対嘘だ。だってこのタイミングで言う事じゃないモン。

「あ、いや……因縁を付けてる訳では……ちょっと勘違いをだね……」
「勘違いで済まされると思ってるのかね、見ず知らずの相手を批判しておいて!? ああ、そうか。大臣の息子って事は、お前の父親も同じ様な人物……即ちサザンビークって国は見ず知らずの相手に因縁を付けるのが常識の国柄って事だな! ああ解った。俺は旅人だから世界を回るけど、各地で貴国のことを触れ回ってやるよ。『人様を侮辱するのが常識の無礼な国柄』だとな!」

「あぁ……いや……我が国は……そんな……国では……」
うわぁーい。ウルポンの苛烈な口撃(こうげき)に、お偉いさんの息子さんもタジタジ。
初めてウルポンを応援したくなってる。絶対応援はしないけど。

「そんな国ではないのに、何故サザンビーク代表の貴殿が無礼な因縁を付けてくるのか!?」
「ぼ、ぼくは……サザンビーク代表では……あ、ありません」
何時の間にこの人が代表者になったのだ?

「何を言うか! 先程貴殿が自慢してたではないか。『大臣の息子』であると、声高に身分をひけらかしてたではないか! 一国の大臣となれば、それ即ち代表者である!」
「それは父であって、ぼくではないでしょう(泣)」

「父親が如何であれ、ご自身の身分が高いことをひけらかしてたのは事実。つまり、それなりの身分を有する者には、それ相応の責任も発生する。それが解らぬ程アホだとは思いませんが?」
おお、上手いこじつけ。こんな事を言われてしまっては、今後は父親の威を借りて偉そうな態度には出ないかもしれないわね。

「流石はウルフ殿ですな」
私が少しだけウルポンの事を感心してると、ラン君が近寄ってきて小声で彼を褒め称える。
「何が流石なのかしら?」
声に出して褒めたくない私は、解らないふりをする。

「あの男は、自身が虎の威を借る狐であると認めないと、自国の悪評を世界中に彼の存在付で広められてしまいますが、認めてしまえば自らのアイデンティティーを放棄した上アホであると明言する事となり、どちらも選びたくない状態です。本当に性格が悪いですよ、ウルフ殿は(笑)」

なるほど、そう言う意味ですか。
「そうですねぇ……本当に性格が悪い嫌な男ですねぇ」
大臣の息子さんを虐めてくれて凄く胸がスッとしたけど、それでウルポンを褒めるのは絶対にイヤなので、一言付け足して言葉を返す。

するとラン君は長身から私を見下ろし苦笑いを浮かべて「やれやれ……」とだけ言って視線をウルポン等に戻した。
何が『やれやれ』なのか聞きたくてラン君に話しかけようとした時、激しく口論をしてたヒステリック母娘の話し合いが終わり、娘さんがこちらに向かってきたので、何も言えなくなってしまいました。

口論は終了したみたいだけど、100%納得してない表情の娘さんは、私達の横を大股で通り抜けると、ウルポンが寝小便タレと称した少年に「ポルク。私の部屋には誰も入れない様に見張っててちょうだい!」と命令し、自室と思われる扉の奥に入っていった。

「あっちがポルク君ですかぁ。ではもう一人のトロそうなのがマルク君ですね」
それ、ずっと気になってたんですかラン君?
如何でも良くない?

リュリュSIDE END



 
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