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マニュアル

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第三章

「受け止めるしかないんだ」
「そういうことですね」
「ああ、そしてだ」
「その評価を変えたいのなら」
「その原因を知ってだ」
「改善していく、ですね」
「御前はそこまではわかるんだ」
 それだけの能力はあるというのだ。
「それはいいことだ、しかしな」
「何故そうなのか」
「まだそこまではわかってないんだよ」
 レオンカヴァロは共に基地の中の廊下を歩く後輩に言った。
「そこをわかることだ」
「まずはですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「評価を変えたいならな」
「なら一体」
「考えてみることだ、前に言ったな」
「ヒントはですね」
「この世界じゃいつも言われていることだ」
 軍隊の中ではというのだ。
「そういうことだ」
「そうですか、それじゃあ」
「わかったな」
「はい」
 わからないままだ、マッテウッツィはレオンカヴァロに答えた。そしてそのうえでだった。
 任務先の状況や地理、自身の部隊のことを隅から隅まで調べて赴任した。そのうえでその駐屯地に入ると。
 砂漠の気候の中にあってだ、彼は困った顔で言った。
「噂には聞いてましたが」
「凄いな」
「うだる様な暑さですね」
 とにかく日が強い、アフリカの暑さだと思った。
「しかも毒蛇とか蠍もいますね」
「そうだ」
 その通りだとだ、レオンカヴァロも答えた。
「そちらも危ないぞ」
「ゲリラも出ますし」
「危険が常に隣り合わせだ」
「防衛や迎撃の用意もしてますが」
 マッテウッツィが考えるところ予想通りのことだ、
「弾薬も燃料も充分にあります」
「充分か」
「はい、持ってきていますし次の補給の時までは」
「充分にだな」
「もちます」
 マッテウッツィはレオンカヴァロに確信して言った。
「大丈夫ですよ」
「まあそれはな」
「それは?」
「おいおいわかるかもな」
 またこんなことを言ったのだった。104
「そのことも、むしろな」
「そのことが」
「ヒントだ、まあ任務が終わるまではな」
「はい、我々はここでですね」
 祖国イタリアを離れた南スーダンでだ。
「頑張っていくしかないですね」
「その通りだ」
「ここのことは調べました」
 それこそ全てというのだ。
「何があってもです」
「安心か」
「はい」
 こうレオンカヴァロに言うのだった、そして。
 彼は万全だと彼が思っている状態で部隊の中にいた、しかし。
 先任下士官の一人が彼にこんなことを言ってきた。
「現地の者が言っていましたが」
「何かな」
「近いうちに大雨になるとか」
「雨?ここでかい?」
「はい、そうです」
 その現地の者はというのだ。 
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