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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第三十五話 サルベージ大作戦


今回はワイン船が届くまでの時間があるので、
以前話に出た秘密工場設立物語なので、ロイとかでません。


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第三十五話 サルベージ大作戦

帝国暦478年11月25日

■メンヒェングラトバッハ星系 デュイスブルク星     ハンス・ノイマイヤー

 畜生!また転勤かよ!此で4度目だ!何で俺が此処まで田舎を転々としなきゃならんのか、全部シャフトの野郎の差し金だ!

思い起こせば9年前オーディン帝国大学機械工学科を優秀な成績卒業した俺は一兵卒として徴兵されるのが嫌で軍の技術士官に志願したのに、なぜかシャフト大将に嫌われて僅か2月でイゼルローンの修造敞へ転勤させられた。

其れから来る日も来る日も修造の繰り返し、3年経って移動の時機になったら今度はマールバッハ星系の浮きドックへ飛ばされた、いい加減頭に来たので退職願を出したが却下され、更に田舎のアルメントフーベル星系の補給敞へ飛ばされた。

10月29日の定期異動で異動先を聞いたとき何処だ其所はっておもったが、
こんな誰も来ないような海ばっかで産業が海産物養殖と加工だけの星かよ!
しかも直通定期航路がないから乗り継ぎに継ぐ乗り継ぎで3週間もかかった!

しかも辞令が、軍用缶詰工場の主任だと!!もう我慢できないと人事部に直接退職願を送ったが、そのまま送り返して来やがった。
くっそー!俺は技術屋だぞ、缶詰機械のメンテをしろって言うことかよ!!

 取りあえず宇宙港からバスへ乗って工場へ、
正門には装甲擲弾兵の様な体の守衛が居る。
誰何され転任命令書と認識手帳を見せると連絡してくれた、
直ぐに連絡があり工場長室へ来る様に言われ守衛が場所を教えてくれた。

工場長室に行くと、50代後半ぐらいの疲れたような禿げたオヤジがよく来たと挨拶してくれた。
ああー俺もこんな感じになっちまうのかと心が沈んだもんだ。
工場長は明日から頑張ってくれと言ったが頑張る気が起きないよな。

翌日から毎日毎日缶詰機械を見るだけの仕事、
他の工場にも同じような奴らが居て食堂で会って話を聞いたら。
同じようにシャフトに飛ばされた奴や、軍内部で非主流派に属する奴とか、

みんな端弾きな連中ばかりだった。
ああ此処は刑務所みたいなもんだ、睨まれた連中が収容される辺境の牢獄だ!
守衛が装甲擲弾兵みたいな奴なのは俺たちの脱走防止の為かと噂し合った。


帝国暦479年1月8日

 新年に成ると数人が転勤していった。
この牢獄から出られるとはうらやましいことだ。
俺も出られる日が来るのだろうか。
相変わらず退職願は却下されている。

仕事始めの日、職員全員が講堂へ集められた。
暫く待っていると突然講堂の床が沈み始めた!
多くの職員が驚いているが、幹部連中や警備員は涼しい顔をしている。

部屋全体がエレベータのように下がっていくザワザワと皆が騒ぎ出すが、
あの貧相な工場長が眼光鋭く『静かにせよ』と一括した。
皆驚く一気に静まる講堂内。
そうこうしている間に床が止まり、目の前に巨大な空洞が現れた。

ライトが付くとなんと中に軍艦が鎮座している。
見たことのない軍艦だ、我が軍の物と違う気がする色も緑色だ、
なぜ工場の下に軍艦が、皆も驚きの余り無口になっている。

工場長がニヤリと笑いながら話し始める。
「諸君帝国軍工部敞へようこそ」
工部敞だってそんな組織があったか?
皆顔を見合わせながら不思議がる。

「此処に居る者達は、有る者は科学技術総監にパージされた者、無能な上司に疎まれた者など実力はあるが疎外された者達だ」
そうかだから一癖も二癖もあるよな奴らばかりなのか。

「諸君には、此処でそれぞれの得意分野の研究をして貰う、無論拒否も可能だ」
うそこけ、秘密守る為に拒否したら行方不明とかだろう、
そうじゃなきゃあんな装甲擲弾兵のような守衛がいるかよ。

勇気のある奴が質問をする。
「済みませんが、質問良いでしょうか?」
「官姓名と前所属を名乗りたまえ」
「造兵大佐グリュザンテーメ・グリュツィーニエ、ガイエスブルク要塞造修敞です」
「宜しい質問は?」

「此処の目的は何ですか?」
「目的かね、此からの帝国軍の戦略戦術戦法造兵などの新規開発研究を行うことが目的だ」
「しかしそう言うのはそれぞれ専門部署があるのでは?」

「貴官らが思う事はもっともだ、しかし現在の科学技術部や艦政本部等の研究等はまともだと言えるかね?」
「確かに恣意的な事も多いですが、それでも別組織というのが不審です」
「だろうな、この組織はさるやんごとなき御方が現状に憂いで組織したのだよ」

さるやんごとなき御方って相当偉いってことか、
これだけの秘密基地を作れるほどの組織の親玉か、
何処ぞの大貴族か皇族か?

「なるほど、では研究について自由度はあるのですかね?」
「テーマはあるがそれ以外は自由だ」
皆がざわつく。

「諸君らを観察してきて、このチャンスを断らないと断言できる。断るような者は既に返したからな」
そう言うことか転勤者は御眼鏡に成らなかった奴らか、面白いじゃないか!
 
「諸君どうだね、悔しくないのか!」
皆拳を握りしめたり頷いたりしている。
すると1人が叫んだ。

「俺はこの仕事やるぜー!」
その言葉が発端で次々に歓声が上がる。
「俺もだ!」
「おー」
「私も!」

工場長がまじめに『全員が賛成のようだな君たちを歓迎する、
自分は帝国軍中将ユストゥス・エーベネだ』

あの工場長が中将閣下かよおどろいた。

「貴官らは此より小官の旗下入るが所属は今まで通り缶詰工場だ。
家族を呼びたい者は呼んでも良いが、秘密は絶対だその点だけは肝に銘じるように、
今日はご苦労だった解散」

こうして俺の秘密基地での仕事が始まったのである。
けど普段鯖缶作る作業してたら、鯖が嫌いになっちまったんだよな。
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人材のサルベージ。
ワイン作戦はおそらくは三十六話から書けるはずです。ワイン、捕虜、ロイ、エル・ファシルって順番ですかね、
けどテレーゼが何かやらかすと変わるんですよね。
 
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