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歌集「春雪花」

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 色褪せし

  もみじ葉うつす

   夜半の月

 枯れし我が身を

    隠す葉もなし



 足元には枯れた紅葉の葉が重なり、それを月明かりが映し出している…。

 冷めた夜風が冬を語り…寂しさを募らせては彼を思い出させる…。

 だが、彼を思い出せば思い出すほどに…枯れた自分が虚しくなるのだ…。

 私を映し出しす月影から身を隠そうとしたが…最早、紅葉の枝には私を隠すだけの葉はなかった…。



 秋過ぎて

  冬来たりなば

   霜ぞふる

 止まぬ月日を

    眺めつるかな



 色鮮やかな秋は去りゆき…寒さに外を眺めれば、霜が降りている冬となった…。

 こうして今年も然して間もなく終わってしまう…彼とは会えず、ただただ日々をやり過ごすだけで…。

 歳をとり…また、歳をとり…。

 こうして止まらない月日を眺めるだけ…。


 一体…どこに生まれてきた甲斐があると言うのか…。



 
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