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ヘタリア大帝国

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5部分:TURN1 殿軍その五


TURN1 殿軍その五

「旦那はそこに行ったんだね」
「困ったことです」 
 秋山は渋々ながらもそうだと答えた。
「あの方はどうもです」
「旦那はもてるからねえ」
「漁色家に過ぎます」
 その困った顔で言う秋山だった。
「全く。祖国様自ら戦場に出られているというのに」
「私のことはいいのですが」
「そうはいきません。そもそもです」
 秋山は日本に対してこんなことを言い出した。
「祖国様からも仰って下さい。あまりに不真面目な態度は部下の士気や風紀に関わると」
「我が軍は海軍も陸軍も軍規厳正ですが」
「ですがあの方は違います」
 やや怒って言う秋山だった。
「全く。提督ともあろう方があの様に不真面目では」
「ツンデレ」
 小澤がここでぽつりと言う。
「そして受け」
「ツンデレ?受け?」
「こっちの話」
 秋山の怪訝な顔になっての問いに素っ気無く返す小澤だった。
「気にしない気にしない」
「何でしょうか、一体」
「とにかくおっさんは何処なんだよ」
 小澤と入れ替わりで田中が秋山に問うた。
「いるんだろ?長門によ」
「それはそうなのだが」
「じゃあ早くおっさん呼んで来いよ」
「今は看護婦の個室にいて」
 それでだというのだ。
「間も無く戻られると思うのだが」
「おいおい、そこで何してるんだよ」
「言うまでもないと思うが」
 声を荒くさせる田中にむっとした顔で返す秋山だった。
「もうそのことは」
「糞っ、おっさんばかり何でもてるんだよ」
「ははは、青二才は恋愛経験が足りないからね」
 悔しがる田中の横で南雲が笑って言う。
「まあ仕方ないさ。あんたも可愛い娘ちゃんと付き合って男を磨くんだね」
「可愛い娘がそもそも俺のところには来ないんだよ」
「いや、一人位はいるだろ」
「いねえよ、何でだよ」
「今時ツッパリはもてない」 
 またぽつりと言う小澤だった。
「日の丸鉢巻なんてまるでゾク、時代遅れもいいところ」
「おい、どさくさに紛れて何言ってるんだよ」
「バイク乗って事故って頭を打つと少しは頭がよくなる」
 まだ言う小澤だった。
「というかファッションセンスが悪過ぎ。サラシに御守りってテキ屋か御前は」
「小澤!手前言うことにこと欠いて!」
「男と絡まない男に存在価値なし」
 小澤の毒舌は続く。
「魚屋に転職すればそのまま」
「くっ、確かに魚は好きだけれどよ」
 言われっぱなしの田中は苦い顔で述べた。
「それでも何だよその口調は」
「気にしない気にしない」
「気にするよ馬鹿野郎」
「そろそろいいか?」
 二人のやり取りが一段落ついたところでだ。また言う秋山だった。
「それで私の言いたいことだが」
「ああ、あんたまだいたのかよ」
「額が眩しい」
「私は禿げてはいない!」
 小澤の言葉に異常反応する秋山だった。何故か。
 
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