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とある3年4組の卑怯者

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62 運動場(グラウンド)

 
前書き
 このエピソードを執筆するにあたって戦略を勉強するためにサッカーは「キャプテン翼」、バレーは「アタックNo.1」のアニメを視聴しています。 

 
 朝、笹山は昇降口でまる子に会った。
「あ、笹山さん、おはよう!」
「おはよう、さくらさん。そうだ、昨日の練習どうだった?」
「それがさあ、体育館が他のクラスに使われてて、仕方なく体育館裏でやったんだよ。そしたら前田さんが小さい失敗ですぐ怒ってさあ」
「た、大変だったわね・・・」
「それでレシーブの練習しかできなくて、前田さんがレシーブしたボールが外に飛んでっちゃって皆で探したんだよ!で前田さんが自分だけ探さない上に皆が集まんのが遅いって言ってアタシたち頭に来たから帰ってやったよ!」
「それで前田さんは?」
「泣いたよ」
「そうなんだ・・・」
 笹山は今日から練習に参加する予定だが、始める前から不安に陥ってしまった。

 休み時間になった。
「よし、男子!サッカーの練習するからグラウンドに集合な!」
 大野が皆に呼び掛けた。
「大野君、すみません」
「丸尾か、なんだ?」
「これからワタクシは各学級委員や先生方と放課後の校庭と体育館の使用についていつどのクラスが球技大会の練習をしていいか話し合いをするので練習に参加できないのですが宜しいでしょうか?」
 丸尾が頼んだ。
「ああ、頼んだぜ!」
「ありがとうございます!ワタクシ、ズバリ学級委員として精一杯頑張りたいでしょう!」
「分かった、じゃあな!」
 大野は練習でも上達してくれればいいけどなと思いながら杉山とケン太と共に教室を出ていった。

 練習が始まり、男子はグラウンドの一部分に集合していた。ケン太が皆に言った。
「皆、昨日の紅白戦で弱点が何かが分かったはずだ!これからはその弱点を克服する練習をしよう!」
(弱点か・・・、僕は多すぎるよな・・・)
 藤木は心の中で己を愚痴った。
「藤木君」
 藤木はケン太に呼び掛けられた。
「何だい?」
「君の弱点は恐らくボールへ飛び付こうとする積極性が足りないことだと思うんだ。ボールを取ろうと自分から飛び付いていけば大丈夫だよ!」
「うん、分かった。ありがとう、ケン太君!」
 藤木はボールを取ることに積極的になろうと考えた。そして皆はまずはパス練習から始めた。

 その頃丸尾はある教室で各クラスの担任および学級委員1名と放課後の校庭と体育館の使用について話し合っていた。
「という訳でワタクシは球技大会の練習について、日によって使うクラスを決めたいと思うのです!」
 丸尾は堂々と言った。
「それはいいね。そうすればどこが使いたい時に使えないとか、使いたかったクラス同士で揉めることもなくなるだろうしね」
 3組の鹿沼正倫が丸尾の意見に肯定的な感想を言った。
「ありがとうございます、鹿沼君。ではそれでいいでしょうか?」
「いいけど、使えないクラスはどこで練習すればいいんだい?」
 2組の横須修太が質問した。
「そうですね・・・」
「外の公園に集合させて練習するといいよ!昨日5組はそうしてたよ。ね、橿田さん?」
 本郷が5組の橿田(かしだ)ひろ子に聞いた。
「うん、女子も男子も公園でやったよ」
「それでは、こうしましょう。校庭および体育館で練習できるクラスを日によって変え、使えない日は外の公園などで練習するということにしましょう!先生方、如何でしょうか?」
 丸尾が先生方に答えを求めた。先生方も反対意見はなかった。こうして次にいつの日にどのクラスが入れるかを話し合った。

 パス練習の後、男子はそれぞれの弱点を補うための練習をしていた。藤木はボールへの反応をよくするためにケン太のシュートを受けていた。しかし、うまく取ることができない。
「藤木君、ボールを取るには前に出るんだ!当たるのを怖がるな!」
「あ、うん!」
 藤木はケン太の言われたとおりに体を前に出してボールを止めようとした。ケン太がシュートを放つ藤木はキャッチしようとする。その時、ボールは完全には取れなかったが、前に弾くことはできた。
「と、止めた・・・」
 藤木はケン太のシュートを止めたことが己でも信じられなかった。
「藤木君、いいぞ、その調子でいけるぞ!」
「うん・・・、ありがとう!」
 藤木はその後もシュートを3つほど止めた。

 女子達は教室で今後の練習についてのミーティングをしていた。
「それじゃあ、体育館が使えなかったら朝練もやるってこと?」
 みぎわが聞いた。
「私はいいと思うわ。別の用事で放課後行けない人はむしろそうした方がいいわよ」
 城ヶ崎は賛成していた。
「そうね、みんなが上達して、自分だけ遅れをとるのも嫌よね」
 みぎわもいい考えだと思った。
「よし、じゃあ、そうしよう!」
 まる子が明るく言った。
「分かったよ、皆遅刻するんじゃないよ!」
 前田が皆に命令するように言った。皆は静まってしまった。殆どは何で前田が仕切るのかが気に食わなかった。
 丁度休み時間が終わり、サッカーをしていた男子達、そして丸尾と戸川先生も同時に戻ってきた。
「皆さん、いいニュースです!」
 丸尾はそう言って皆に席に着かせた。
「只今会議を行いました所、放課後体育館および校庭はクラスで順番で使えることになりました!なお女子の皆様、本日はズバリ、貴女方が体育館を5組と合同で使えることになりました!男子は本日は2組と5組が使いますのでズバリ、外の公園で練習するといいでしょう!」
「やったー!」
「昨日の体育館裏は狭かったから広々とやれるわ!」
 リリィは喜んでいた。
「良かったね、リリィ!」
 藤木はリリィにめでたく思って言った。

 こうして放課後になり、4組の女子は体操着に着替えた後、体育館へと集合した。なお昨日出られなかった笹山達も参加し、この日は欠員はいなかった。同時に5組も体育館へと集合していた。その時、たまえは誰かに声をかけられた。
「たまちゃん、よかったね、体育館が使えて」
「ひ、ひろ子ちゃん・・・」
 5組の学級委員・橿田ひろ子だった。
「4組には負けないよ。じゃあ・・・」
 橿田はたまえにそう言って5組の使うコートへと向かった。
「たまちゃん、あの人と仲良いの?」
 リリィが聞いてきた。
「あ、うん、昔はね・・・」
「ほら、始めるよ!ボーッとしてんじゃないよ!!」
「ご、ごめん・・・」
 前田がリリィ達に怒鳴って言った。こうして練習が始まる。 
 

 
後書き
次回:「確執」
 丸尾の尽力で放課後体育館で練習できるようになった4組の女子。しかし、細かい事で再び前田の愚痴や批判で確執が起きてしまい・・・。
 
 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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