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ヘタリア大帝国

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39部分:TURN4 長官の娘その六


TURN4 長官の娘その六

「ううん、わからないものなんだぜ」
「全く。わしはどう思われているのだ」
「頼りになる外相ですが?」
「いや、どうもお節介だの融通が効かないだの石頭だのではないのか」
 実際にこう言われている宇垣だった。
「わしの評判はよくないであろう」
「いえ、そうでもないですよ」
 実際は違うとだ。東郷は穏やかな声で宇垣自身に話す。
「皆口ではそう言いますけれど外相を嫌ってはいませんよ」
「それはまことか?」
「もっと言えば軽蔑もしていませんし憎まれてもいません」
「ではわしは人気があるのか」
「あるといえばありますね」
 この辺りは結構真面目に話す東郷だった。
「少なくとも外相を嫌いな人間はそうそういないです」
「ならよいがな」
「そういえば俺も外相嫌いじゃないんだぜ」
 これは韓国もだった。
「確かに顔は怖いし融通が効かないし変なおっさんなんだぜ。加齢臭もするんだぜ」
「何気に言ってくれるのう」
「けれど公平で親切で真面目なんだぜ」
 宇垣の長所だった。どれも。
「しかも外相としてもそこそこ優秀なんだぜ」
「ではわしは外相合格か」
「俺はそう思うんだぜ」
「ならよいのだがな」
「ですから外相は嫌われる方ではないです」
 東郷もこのことを言う。
「それは俺も保証しますよ」
「御主もか」
「はい、提督としても優秀でしたから」
「提督か。懐かしいな」
 かつての提督時代のことをだ。宇垣は思い出しながら述べた、
「あの頃はわしも艦隊を率いて戦っておったわ」
「ええ。俺は部下にいなかったですね」
「御主が部下だったらその女好きを修正しておったわ」
 ここでも東郷の女好きを指摘する。
「全く。御主はどうしてそう不真面目なのだ」
「やる時はやるでいいじゃないですか」
「それがいかんのだ。やはり軍人たるもの常にだな」
「ははは、その話はまた今度ということで」
「今度ではない。大体御主はだ」
 どうかと話してだった。宇垣はだ。
 今度はだ。こんなことを言うのだった。
「真希ちゃんもいるのだ。この娘の為にやるべきことをやるのだ」
「娘の為にですか」
「わしはこれでも御主の資質は買っているのだ」
 だからこそだった。
「もっと言えばその人間性も。欠点だらけにしてもだ」
「おや、俺のことは嫌いではなかったのですか」
「好きとか嫌いは別だ」
 公平なのは間違いなかった。宇垣という男が。
 その彼がだ。東郷にさらに話すのだった。
「大体嫌いな者の家にこんなにいつも来るものか」
「やれやれ。素直ですね」
「わしは嘘は言わん」
 このこともだ。宇垣ははっきりと答えた。
「だからこそ言うのだ。御主もまたこの国の為にだ」
「勝ちますよ」
 東郷は微笑みながら宇垣に答えた。
「今度の戦いは」
「頼めるか」
「絶対に。北京に攻め込む用意は進めています」
「頼むぞ。くれぐれも」
「はい。ところでガメリカですが」
「相変わらずだ」
 その国のことをだ。宇垣は苦々しい顔で述べた。
「理不尽な要求を続けてきておる」
「そうですか。では今も」
「燃料の輸出を制限するぞと言ってきている」
「今度は経済制裁ですかね」
「そうだな。残念だが我が国は資源に乏しい」
 日本帝国の弱点だった。まさにだ。
 
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