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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第三十一話 大いなる罠


むっちゃ黒いです。
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第三十一話 大いなる罠

帝国暦478年10月2日  午前

■オーディン ノイエ・サンスーシ  ベーデミュンデ侯爵夫人邸

 前回の会議に於いて決まった作戦を実行すべく必要なシナリオを作成中です。
ユリアンのイゼルローン日記に帝国歴488年に捕虜交換が行われていて其れが5年ぶりしかも50年ぶりの大規模交換だと言うことは、
483年に交換が行われている計算になるがその時は少数しか交換されていない。

エコニアにはケーフェンヒラー大佐以下55000人ほどが居るはずだしどうするか、
エコニアはヤンが来年赴任する所だからな、それに暴動があるどうすべきか。
みすみす死ぬ兵達を助けたいしどうしょう。

ケーフェンヒラー大佐以下55000人を恩赦で引き取れれば、
大佐の証言から帝国内スパイ網の存在を知らせることが出来る、
しかしケーフェンヒラー大佐は帰還を拒否するだろう。

しかしヤンがアッシュビーを調べてローザス提督に会いに行って、
直ぐにローザス提督が自殺他殺事故とも判らない睡眠薬の量間違えで死去している、
そしてスパイ網の答えを出した直後にケーフェンヒラー大佐が急死している。
あまりにも出来すぎていないか、ヤンの報告書自体25年間の機密扱いに成った。

ローザス提督とケーフェンヒラー大佐は口封じに殺られた可能性が大きい。
民主共和制と言いながら衆愚政治で憂国騎士団などが平気で闊歩している国だ、
ヤンの暗殺未遂とかもしている、あり得すぎる事態だ。

ヤンが事態を起こす前ならケーフェンヒラー大佐を呼び戻すことが出来るかもしれない。
此方もある程度の大物の捕虜を出して交換するしかない。
そのへんは皆に相談しましょう。

 仕方ない此処は一端諦めて、慰問袋だが帝国の缶詰や食料品、本、衣類、あと1人1本のワインだね出来るだけ良いワインを送りましょう、捕虜に里心を付けることも出来ます。
410年物は流石に無理だが463年物辺りなら揃うでしょう。

463年物も同盟では結構なビンテージワインですから、
おそらくはかなりの数がピンハネされるでしょうね。
ピンハネされた物は同盟内で高値取引されるでしょう、
収容所所長とかの小役人が自分の懐を潤すために。

捕虜が帰還してワインを飲んでないあるいは数が合わない状態ならば、
『同盟は捕虜に対しての救恤品を搾取している』と宣伝できますから。
それを口実に戦闘を行うことが可能ですからね。


救恤品送付と捕虜交換については。
多少強引だが名目はお父様の在位23周年記念として、
俘虜に成った者達にも慈悲を行い、帰国させ恩赦を与えて罪に問わない様にする。
エコニアだけだと勘ぐられるから、数的には30万程度は交換しよう。

作戦としては、ミュッケンベルガーを子爵に叙勲し、ラインハルト叙勲も行う、
その時ついでに恩赦も行う形にすれば、門閥貴族やリヒテン爺さん達うるさ型も、
ラインハルトの批判が大きくて、それほど文句は出ないはず。

そうなると慰問袋と捕虜交換に付いて、
即位の月の479年の2月に間に合うように今月中には準備を終えないとだめだな。
フェザーンの高等弁務官事務所から捕虜交換と慰問袋送付を、同盟へ連絡しよう。
この頃のフェザーンは黒狐じゃないから、陰謀に巻き込まれる可能性は低いだろう。

その後イゼルローンに居るミュッケンベルガーに連絡して同盟に使者を送り、
受け渡しの話し合いをさせよう。
そうなると大規模な事になるから、
父様と爺様とケスラーに相談しよう、早いうちがいいな今から連絡してみよう。


帝国暦478年10月2日  午後
■オーディン ノイエ・サンスーシ    小部屋
 
 早速父様のところへ、爺様、ケスラーがやって来た、
ケスラーは爺様の副官のポジションみたいに成っています。

父様が聞いてきます。
「テレーゼ突然いったい何のようじゃな」
「はいお父様、昨日の計画シナリオを考えまして、
是非お父様達に演技と品物の準備をお願いしたいのです」

「シナリオはこうです、
その1、叛徒共に俘虜に救恤品として慰問袋送付を提案します。
此は1月の終わりまでに俘虜に届くようにします。
その中身ですが、衣類、本、食料品などですが、一番大事なのが463年物辺りのビンテージワインを1人1本です。」

3人とも、えって顔してますね。
それはそうですよね、俘虜にビンテージワインなんて帝国じゃ普通送りませんよ。
「なぜワインを?」
お父様も疑問ですよね。

「第1には俘虜に里心を付かせる為、第2に俘虜がお父様に感謝すること、
第3に此が一番大事なのですが罠です」
「罠じゃと?」
みんな怪訝な顔してるね。

「そうです、叛徒共の組織はかなり腐敗が進んでいるそうです、
其処へ高く売れるビンテージワインが数百万本送られて来たらどうすると思いますか」
「なるほど其れを掠め取ろうとする訳ですか」
「ケスラー正解ですよ。小役人が自らの懐を暖める為に掠め取るでしょう」
「しかし其れが罠じゃと言うのが解せんが」

「お父様そこです、俘虜交換をしてワインが配給されたかを調べて、
数が合わないなど判れば、叛徒共は共和主義自由主義は平等な世界と言いながら、
俘虜の生活品まで掠め取る盗賊と変わらない集団だと、
幻想を抱いている臣民に現実を見せることが出来ます。」

「なるほど凄いことじゃの」
「それなら臣民に対する強烈なインパクトになります」
みんなも驚いてるね。


「ではその2、俘虜交換による帰還です、
普通であれば俘虜は不名誉な者ですが今回お父様の戴冠23周年とイゼルローン勝利の恩赦として、
帰還兵恩赦を行います、彼らは確かに叛徒共の主義に毒された者もおりましょうが、
純粋に帝国を思う者達が多いはずです。
それに皇帝陛下の慈悲を受けて恩赦されて社会生活に戻れると成れば臣民の忠誠度も上がります。
また生活品を掠め取られたと知れば叛徒共に対する幻想もきえるでしょう」

「なるほどのそう言う見方もあるのじゃな」

「俘虜のデーターを見たのですが、エコニアに第二次ティアマト会戦で俘虜になった、
ケーフェンヒラー大佐と言う方が未だに抑留されています。もう41年も抑留では気の毒なので是非帰還させてあげたいです」

「テレーゼ様俘虜交換数ですが如何ほどをお考えでありますか」
まあ其れを考えるよね。
「30万ほどを計画しています」
「30万とな」

「最低でもその位じゃないと罠になりませんから、
それから、救恤品と俘虜の受け渡しはイゼルローンで行った方が良いかと」
「なぜじゃフェザーンで良いのではないか?」
「フェザーンだと機密がばれる可能性や何か仕掛けられる可能性が有ります」
「うむそうじゃの、ケスラーそうせい」
「御意」

「その3です、昨日話したように恩赦をうるさ方から霞ませる為に、
お父様の戴冠23周年でイゼルローン防衛で活躍したミュッケンベルガーに子爵位と所領を下賜します、更にグリューネワルト伯爵夫人の弟に男爵を下賜します、
これで恩赦は完全に霞みます。
ミュッケンベルガーはお父様に感謝するでしょう」

「そうじゃのミュッケンベルガーはよく働いてくれるからの」
「そうですよ、ミュッケンベルガーには、非難は少ないはずです。
グリューネワルト伯爵夫人の弟は徹底的に非難されるでしょうね。
特にフレーゲル男爵辺りは激高しそうですよ」
 
「ハハハ確かにあの者は激高しそうじゃの」
「陛下目に浮かぶようですな」
「全くじゃ」

笑いが発生していますが、そんなに可笑しいかな。
「こんな感じかですか『伯父上あのようなげせんの者が私と同じ男爵ですと!』言いそうですね」

「爵位を与える時グリューネワルトを使うというがどの様な感じじゃ?」

「ケスラー、伯爵夫人の所にも潜り込んいるのでしょ?」
「御意」
「それに噂を流させます。幼年学校で弟が爵位がないと虐められていると、
そしてそのことで喧嘩をして放校されるかも知れないと」

「なるほど」
「そして、お父様がお渡りになってこう言うのですよ。
『そちの弟の事じゃが、この所幼年学校で爵位も持たぬ小僧となじられておるそうじゃ、
そこでじゃ、そちの弟にグリューネワルト伯爵家の家門で断絶している、
シェーンヴァルト男爵位をやろうと思うがどうじゃ?』と。

「なるほどのいい手じゃ」

「後今思いついたのですが、あの一緒にくっついている赤毛の者の親を帝国騎士に叙勲したらどうでしょうか、あの者の親は司法省の下級官吏のようですね、
今では帝国騎士はたいした価値はありませんから、
永年勤続かなにかで褒美に叙勲してしまうと良いのでは思うのです」

「ふむ其れぐらいであれば文句も出ぬまい」

「それでは、ケスラー準備をお願い、
お父様は国務尚書と軍務尚書に俘虜に対する事と叙勲に対する事を、
そしてミューゼルの噂が流れたら伯爵夫人の元へお願いします」

「御意」
「うむテレーゼ任しておきなさい、演技は得意じゃからな」
「確かに陛下の演技は子供の頃からですからな年期が違いますな」

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ケーフェンケラー→ケーフェンヒラー修正しました。

改訂しました
そちの弟にグリューネワルト男爵位をやろうと思うがどうじゃ?』

そちの弟にグリューネワルト伯爵家の家門で断絶している、
シェーンヴァルト男爵位をやろうと思うがどうじゃ?』

グリューネワルト男爵家→シェーンヴァルト男爵家
 
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