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ヘタリア大帝国

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21部分:TURN2 連合艦隊司令長官その九


TURN2 連合艦隊司令長官その九

「それがわからないのですが」
「おそらく中帝国との関係故にでしょう」
 秋山が言う。
「あの国は中帝国に親米派を作っていますので」
「その彼等との関係からですか」
「国民派との関係だけでなくです」
 その親米派だけではないというのだ。
「噂では共有派にもパイプがあるそうですから」
「資本主義なのにですか」
「その切り崩しにもかかっている様です」
「そうした背景があってですか」
「はい、我々が持っていても中帝国が手に入れてもガメリカの利益になる為に」
 まさにだ。その為にだというのだ。
「彼等は我々に満州への資本参加を要求しているのでしょう」
「そういう事情ですか」
「ではです」
 帝と秋山の話が終わったのを見てだ。それから言う宇垣だった。
「この件は如何致しましょうか」
「資本参加程度ならいいと思います」
 帝は宇垣にこう答えた。
「今ここで突っぱねるとガメリカをさらに刺激します」
「だからこそですね」
「はい、今中帝国だけでなくガメリカを敵に回すことは危険です」 
 帝の判断はこうしたものだった。
「ですからそうしましょう」
「わかりました。それでは」
「また要求があるでしょう」
 帝は既に読んでいた。先を。
「ですが今はです」
「こちらが譲歩してですな」
「とりあえずの衝突を避けましょう」
「畏まりました」
 こうしてガメリカの要求に関することも決定させてだ。そのうえでだった。
 御前会議は終わった。それからだった。
 東郷は海軍省に入った。そしてその長官室で秋山に言った。
「何か柄じゃないな」
「長官になられたことがですか?」
「俺は特にな。出世とかはな」
「興味がおありではないですね」
「そうだ。娘は大事にしたいがな」
 それでもだというのだ。東郷はそういうことには興味がないのだった。
 それでだ。長官の席に座ってもだった。こう言うのだった。
「座り心地は悪くなくてもな」
「それでもですか」
「ああ。この席を温めるつもりはない」
「ならですね」
「今我が国は大変な状況だ」
 地位よりも国のことを考えていた。そのことを言葉に出したのである。
「このことは何とかしないとな」
「はい、それではですね」
「人選だな。それに艦隊の再編成だ」
「確かに全軍の壊滅は防ぎましたが」
 それでもだとだ。秋山は曇った顔で東郷に話す。
「ですがそれでもです」
「そうだな。艦艇も将兵もかなりな」
「損害が出ました。将兵は思ったより犠牲者が少なかったですが」
 それでもだというのだ。秋山の顔は深刻だった。
「問題は艦艇に提督です」
「それだな。どうしたものか」
「はい、どうされますか」
「少し考える。だが、だ」
「だが?」
「悲観したり深刻になることはない」
 それはないというのだ。実際に今の東郷も顔も飄々としている。
「そうしたことはな」
「楽観ですか」
「そうだ。解決案は絶対にある」
 東郷は言う。
 
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