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ガンダム00 SS

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ep6 the space's struggles (side A)

 
前書き
第6話は1stと2ndの間を舞台にしています。国連軍のエース、エイミー・ジンバリストが作戦中に遭遇した所属不明の擬似太陽炉搭載機とは……。 

 
2311年

エイミー・ジンバリストの気分は好調だった。愛機、アドヴァンスドジンクスも基地での補修を受けて調子が良く、友軍のMSで彼の機体に追いつくには無茶が必要なくらいだった。

「いやっほぉぉう!」

国連軍による各国軍備解体。だが、それに反発する者は少なからず存在し、彼らは反国連軍として銃を手に取り抗い続けている。

エイミーの任務はそうした反対勢力の掃討だ。すでに彼はいくつかの基地や重要拠点を制圧しており、国連軍のエースとして活躍していた。

「アドヴァンスドと俺の相性が抜群すぎるんだよなあ!あーあ、今ならガンダムがきても楽勝だぜ!」

上層部が聞いたら怒りそうなことをエイミーは嬉々として口にする。

そこで、機体のレーダーが目標を捉えた。反国連軍による攻撃を受け、占拠された中継基地を叩く。それが今回の任務だ。

「こちらエイミー、敵の基地を発見した。先行して敵の戦力を引きずり出す!」

アドヴァンスドジンクスの脚部にある高機動バーニアがGN粒子を噴き出し、急加速を始める。機体は呆気なく敵の陣地に踏み込んだ。

基地のゲートからMSが出現した。とはいえ、相手は非太陽炉搭載の旧世代MSだが。

エイミーは主武装のアドヴァンスドGNビームライフルの銃口を敵に向け、ビームを素早く放った。地上にいたMS3機があっさり大破する。

すると、他の建物からもMSがぞろぞろと外に出てきた。エイミーは予定通りの流れに口元を緩める。

「じゃ、後はよろしく頼むぜ!俺は基地を潰す!」

地上からの攻撃を、アドヴァンスドジンクスはバネ仕掛けさながらの動きで回避していく。機体にかけたリミッターを全て解除したエイミー機だからこそできる、訳の分からない飛行だ。

「こちとら夜に女の子と遊ぶんだよ、とっとと終わらせるぜ!」

アドヴァンスドジンクスが倉庫のような建物にライフルを突きつける。

だが、その倉庫は内側から爆発し、ビームを受けることはなかった。

エイミーが呆けた顔を浮かべながら眼下のターゲットを見つめる。

「おっと、実験でもやってたのか?」

そのとき、爆発した倉庫の一点がキラリと輝いた。そして、赤いビームがアドヴァンスドジンクス目がけて放たれる。

一瞬の輝きを見逃さなかったエイミーが機体を強引に操作して、ビームを紙一重で躱した。

再び倉庫に目を向けたエイミーは、モニターに映るものを確認して呟いた。

「おいおい、何だよあれ」

焼けた倉庫に、赤いGN粒子を放出するMSが立っていた。その機体の顔がこちらを捉えている。

「太陽炉搭載機だって?反国連に寝返った技術者が軍から持ち出したのか?」

エイミーの推測は現実的だった。反国連軍が使用しているMSは3国家群時代に使われていた旧世代のものだ。太陽炉搭載機は国連軍が独占している。

「それにしてはジンクスっぽくないけどな」

メインカメラに表示されているその機体は、ガンダムのような顔つきをしていた。また、右肩に装備された剣の大きさが凶悪的だった。

敵MSが急に飛翔し、こちらに接近してくる。同時に、機体がビーム攻撃で牽制を行った。

「おおっと!?」

エイミーは慌てて回避運動を取ったが、一呼吸置くところにもビームが迫ってくる。

「なんて正確な射撃!でもな、こっちの方が!」

めちゃくちゃな機体制御で、エイミーはビームを全て躱してみせる。だが、敵はいつの間にか近接戦闘ができる距離にまで近づいていた。

敵の右手に握られた大型剣が、アドヴァンスドジンクスの左腕目がけて振り下ろされる。

「やらせるかよ!」

エイミーはライフルに装備されたビームサーベルを出現させ、すんでのところで大型剣の刃を受け止める。そのまま、接近戦はつばぜり合いに発展していく。

敵の動きは隙がなく、容赦も一切なかった。その溌剌とした戦い方に、エイミーは機体越しにパイロットの人間性を見た気がした。

「だが、悪くないな……。やってやるよ!」

敵が近い位置からハンドガンを構えるのを見たエイミーはニヤリと笑い、右肩を銃口の前に向けた。

ジンクスの大型ディフェンスロッドが高速回転し、敵のビームを搔き切る。そのとき、エイミーは敵もまた笑っているように感じた。

アドヴァンスドジンクスがプロトGNランスを構え、その先端を敵の右腕関節部に突き出す。敵はそれを読んで回避運動を取ったが、機体の肩に直撃を食らった。

敵MSが後方に下がり、やがて背を向けて撤退を始めた。仲間は良いのかと敵基地を見たが、友軍がすでに制圧済みだった。

ひとまず任務は成功したらしい。だが今回はあまり撃墜数を伸ばせなかった。

それでもエイミーの気分は特に下がらなかった。

「あんなに強い奴と戦ったのは久しぶりだなあ。ていうか、結局あれはどこの機体だ?」

仲間、とは考えづらい。なぜならあのガンダムもどきは、反国連が使う基地の施設を破壊していたのだ。

「ま、いいや。その辺は考えても仕方ない」

エイミーは制圧した基地に軍が展開し始めたのを確認して、撤退を始める。とにかく、彼の仕事は終わったのだ。

「形はどうあれ、作戦は終わったんだ。あとは夜のお楽しみを待つだけ……」

ただ、エイミーの中でどうしても納得のいかないことが1つだけあった。

「また引き分けかよー。どうしてこう、いつも中途半端な結果なんだろうね」

次に戦場で遭遇したときは確実に撃墜してやる。エイミーはそう固く誓った。

終 
 

 
後書き
サーシェス専用擬似太陽炉搭載機

ガンダムデュナメスとの戦闘で瀕死状態となったアリー・アル・サーシェスが再生治療後のリハビリで使用していたMS。ジンクスを母体に、スローネツヴァイの戦闘データを活かした機体に仕上げている。
(オリジナルの機体です。12月2日現在、プラモによる立体化を進めている途中なので完成次第更新します。)

次回はside Bを投稿します。 
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