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鋼の錬金術師 貴方を守りたい――12人の巫女と1人の神――

作者:猫丸
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第十章 偽りの心

『ギィィバッタンッ』
扉が閉まった。
エド「くっ……って熱!!」
先ほどまで凍え死にそうとまでは言わないが、だいたいそれくらい寒い銀世界だったのに、一つ扉の先に行くだけで灼熱の砂漠が広がっていた。
ずっと、水を飲まずにこの場所に留まり続けたら絶対に死ぬ!
『ドンドンッ』
さっきの部屋に戻ろうと、扉を叩いてみるが開く気配はない。
エド「スピルーンがある場所に行くしかないか……」
先ほどの部屋に戻るのを諦め、目の前に広がる灼熱の砂漠の中からスピルーンを探すことにした…。


***

『ジャリジャリッ』
エド「見つけた…。」
あれからしばらく砂漠を歩き探し回ってようやくスピルーンを見つけた。
このスピルメイズの主も。
エド「お前のが、アルト・リンクだな。」
アルト「そうだよ、あたしがアルト。
    初めまして、エドワード・エルリックさん♪」
エド「…………」
室崎色の眼で黒髪の少女がこの部屋へエドを誘導した少女と同じ声で話している。
間違いない、この子がアルト・リンク。
このスピルメイズの主だ……。


緊迫した空気が流れる中、アルトは楽しそうに?質問をしてきた。
アルト「これまでの旅ご苦労様。
    ねぇ、どうだった?蠍座の巫女のカギを手に入れた感想は?」
エド「なんで、お前がそんなこと知ってる?!!」
カギを手に入れたことはまだ、誰にも言っていないのにアルトは「その感想は?」と聞いてきた。
エドの問いにアルトは笑み?で、
アルト「あんた達がずうずうしくも私の中に入って来た時に、あんたの記憶を調べさせてもらったの♪
    一人何度やっても分からなかった奴がいたけど。」
エド「分からない奴……?」
なんとなく一人の少女が頭の中に浮いてきた……。
それは、レンリ。
レンリの存在はまだ謎だらけで、よく分からない。
だからアルトにもレンリの過去は見えなかった?無理やりな理屈だけど、もし分からない奴がレンリだったら理由は絶対それだろう……。


アルト「このっ、偽善者どもが!!
    あんた達なんて、魔物に殺せれて死ね!!!!」
『ボンッボンッボンッ……』
キラーパンサー「グルルルルルゥゥゥ。」
いきなりキレたアルトが怒鳴ったと思ったら、エドの目の前に沢山のキラーパンサーが何処からか出現した。
エドはすぐに機械鎧の先を刃のように尖がらせ、肉弾戦でキラーパンサーとやりあうが、
エド「チッ、少し数が多いな……」
倒しても倒しても何処からかうじゃうじゃ出てて来るため体力だけ消耗するという無駄な戦いになりつつあったその時!
『ドッカーーーン』
地平線まで続いていそうな灼熱の砂漠の東方面から爆発音と黒い煙が!!
『ドーーーーーーーン』
上がっていると思ったら、今度は西方面から壁がぐずれ去るような大きな音が!!
「はあぁぁぁぁぁはぁ!!!」
『バキィィ!!!!』
『ドスンッ!!』
メール「キュウ……」
『ガクッ』
大きな声ともにあの扉が開いて、あのめちゃ強だったメールがスピルーンに激突をして戦闘不能に!!!


アルト「な、なに?!何が起こったの?!!!」
突然の出来事にアルトは動揺を隠せない。
何が起きたのかを確かめるためにあたっりを見渡す。
そして、東方面にモクモクと出ていた煙の中に誰かが出てきた。
その人物は……
リン「エド、こんなところに居たのか?!」
ランファン「…………」
エド「リン!!」
顔や服が炭で少し黒く汚れたリンとランファンだった。
リンは手を振りながらこっちに向かって来ている。
そして今度は西方面から、あの声が!
アル「兄さん!」
シレーナ「…やっと……見つけた…」
エド「アル!それに、シレーナも!!」
少しボロボロになったアルとその後ろにシレーナがこっちに向かって歩いて来ていた。
最後にあの扉から…


0号「エドワード……約束通り彼女は守り抜いた……」
『バタッ』
頭から血を流し、着ている浴衣はボロ雑巾みたいになっている0号が扉の所に立ってこっちを見ながら言っている。
そして、力尽きその場に倒れた。
エド「0号……。」
0号を見ながら、小さな声でそう言った。
エド「アル、お前どうやってこの部屋に入って来たんだ?
   この部屋は砂漠の中にあるんじゃ…」
エドが話し終わる前にランファンが口を開いた。
ランファン「この部屋は地平線まで広がる砂漠の中にあるようにデザインされているだけだ。
     実際には、他の部屋と何も変わらない普通の部屋だ。」
エド「そうだったのか?!」
このスピルーンの前まで来るのに何時間もかかった自分はなんだったんだ。
とエドは思った。


この部屋のトリックはバレルは、もう死んでいるものだと思って居た奴らが生きてるし、あの最強だったメールの負け
それらを目の当たりにしたアルトは動揺しまくっている。
アルト「メールが負けた?
    嘘……そんなことあるわけない、あのこが負けるなんて……」
そんなアルトにシレーナがゆっくり近づき、
シレーナ「……信じ…られない…?」
と首をかしげながらアルトに聞く。
アルトは少しビクッとなりながらも
アルト「あたしは……心を捨てたんだ…。
    メールが負けたくらいでなんともない!」
と言い張るアルトにシレーナは、
シレーナ「……嘘。
     あなたも…私と…同じ……偽り…の心を……」
なにを言おうとしたが、それを察したアルトは
アルト「うるさい!!!
    あんたなんかと一緒にしないで!!
    あたしは、あんたみたいに弱くない!!!!」
シレーナ「ッ?!」
アル「シレーナ!!!」


アルトが「あたしは、あんたみたいに弱くない!!!!」と叫んだ瞬間、アルトの周りに氷の槍が出てきて、シレーナめがけて飛んできた!
突然の出来事にシレーナはかわすことが出来なかったが、アルが盾となってシレーナを守った。

エド「アル!」
慌てて、エド達もシレーナのもとに駆け寄る。
アル「僕は大丈夫。それより、シレーナは?!」
シレーナ「大…丈夫…。…あり…が…とう……」
優しくアルに微笑みながら礼を言、シレーナはエドに黄色い結晶を手渡した。
エド「これは……」
シレーナ「アルト…は……偽りの……心で自分を…騙してる……。
     それに…耐え切れ……なくなった…スピルーンが…あともう少しで……壊れる……。
     お願い……エド…アルトの…闇を……払って……」
この部屋に入る前に0号が言っていたような事をシレーナまた言い出した。
まだよく分かんないことだらけだが、スピルーンが崩壊してしまうと、アデールのようになってしまう事だけは分かる。
エドはアルトの闇を晴らす事を決めた。


アルト「う、うう゛ああああああああ゛」
突然アルトが頭を抱えて苦しそうな声をあげた。
そして、何か黒い煙?生き物?がアルトの周りから出てきた。
シレーナ「あそこから……スピルーンの……中に…行ける……」
黒い物を見ながらシレーナは言う。
リン「エド!あの中に入って、アルトがエドに心を開いた瞬間にその結晶を入れるんだ!」
ランファン「失敗すれば、お前はスピルーンに吸い込まれて死ぬだろうな。」
シレーナ「……アルトを…救って……」
エド「分かった!俺が絶対に、アルトを闇から救ってくる!!
   アル、みんなを頼む!」
アル「うん、分かった!
   兄さんも気を付けて!!」
皆の思いを背に受け、エドは黒い物の中へと入って行った……。



 
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