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ドリトル先生と春の花達

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第四幕その二

「変わってきたよ」
「思考に使う言葉が日本語になってきた」
「そうなってきたんだ」
「そこまで日本に馴染んできたんだ」
「そうなんだね」
「日本にずっといてね」 
 それでというのです。
「そうなってきたよ」
「日本人は日本語を思考に使うね」
「それじゃあだね」
「先生はそこも日本的になってきたんだ」
「そこまでなんだね」
「そうだね、英語も普通に使えるよ」
 先生ご自身の思考にです。
「けれどね」
「それでもなんだ」
「先生はなんだね」
「今は日本語がメインになってきたんだ」
「思考までも」
 皆も言いました、そうしてです。その皆も気付きました。
「ああ、僕達もね」
「そういえばだね」
 最初にオシツオサレツが二つの頭で言いました。
「日本語で考えてるね」
「最近そうだね」
「これまで動物のそれぞれの言葉に英語を使っていたわ」
 ポリネシアは自分達の頭の中を振り返って述べました・
「けれど今はそれぞれの言葉と日本語ね」
「今も日本語で考えているよ」
 老馬は今現在の状況に気付きました。
「そうなっているよ」
「あっ、確かに」
「今も」 
 チープサイドの家族も気付きました。
「日本語だわ」
「日本語で考えてるね」
「ううん、もうね」
 トートーも自分達のことを振り返って言います。
「僕達も先生みたいになってきたね」
「日本語で考えてるね」
 ジップの口調はしみじみとしたものでした。
「普通にね」
「そうそう、もう普通にね」
 チーチーもでした。
「日本語で考えてるね」
「自然とそうなってるね」
 ホワイティもそれは同じでした。
「日本語で考えてるよ」
「うん、英語で考えていたのに」
 ガブガブは自分の言葉だけでなく、と思うのでした。
「日本語で閑雅てるね、今の僕達って」
「普通にね」
 今度はダブダブが言いました。
「自然となっているわね」
「つまり僕達も日本に馴染んでいてね」
 先生が言いました。
「その中で暮らしていけているんだ」
「日本人になっていってるとか」
「そんな感じかしら」
「そうだろうね、精神的なレベルでね」
 まさにそのレベルでというのです。
「なっていってるね、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「いや、まさかね」
 ここでこうも言った先生でした。
「ここまで日本に馴染むなんてね」
「ずっとイギリスにいたのに」
「日本に来てからね」
「まさかそうなるなんて」
「不思議って言えば不思議?」
「そうかしら」
「うん、日本に来た時は」
 本当にその時はでした、先生も。 
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