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マイ「艦これ」「みほ3ん」

作者:白飛騨
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EX回:第13話(改2)<提督とマスター>

 
前書き
ブルネイの提督(大将)が美保の艦娘たちに、ご馳走をしてくれることになった。ブルネイ司令部の長い廊下の先にあったものは普通の執務室だったが。 

 

「ここからは俺は提督じゃあない」

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
 EX回:第13話(改2)<提督とマスター>
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 これからブルネイの提督(大将)が皆に、ご馳走してくれる事になった。私が艦娘たちに伝えると歓声が上がる。

「もう、お腹ペコペコです!」
一番賑やかで余計な燃料を消費しそうな比叡が言う。

すかさず日向が問いかけてくる。
「それは一連の騒動に関連しているのかしら」

「ああ。その他、お詫びも込めて、ということらしいな」
私は返した。

「ご馳走って何っぽい?」
髪のクセゲ毛を気にしながら夕立が言う。

それを受けるようにして龍田さんが祥高さんに聞く。
「ここには特別な食堂でもあるのかしら?」

「そうかも知れませんね」
微笑みながらも淡々と答える祥高さん。彼女もブルネイは初めてだ。知るわけが無い。

「青葉さん……」
「はい?」
思わず呟いた私に敏感に反応するブルネイの彼女。

「あ、いや……君じゃなくて美保の青葉さんなら何か情報を知っていたかかも知れないのだが今ここに居ないからなぁ」
つい頭を掻く私。

「あぁ、そうでしたか」
相変わらず屈託の無い笑顔を返してくる彼女。

 しかし落ち着いて周りを見ればブルネイ鎮守府(泊地)の本館を瓜二つの金剛や比叡がゾロゾロと歩く様はシュールだ。ここでは、まるで常識が通用しない世界のようだ。

(常識といえば、あの奇妙な嵐から全てが変になった)
そう思った私。そういえば、かなり落ち着いて、回りを観察できる余裕が出てきた。

 今後、わが軍でも艦娘の量産化が安定すれば、こういう光景も当たり前になるのだろう。現に、この未来のブルネイと思われる世界では既に実用レベルに達している。

美保の艦娘が極端に弱いとしてもブルネイの艦娘たちの実力は、この時代の平均的な鎮守府よりも遥かに上回っている印象だ。

 先ほど言葉を交わしたブルネイの青葉さんは歩きながら美保の艦娘にアレコレと取材していた。そんな彼女自身は、この状況に全く動じていない。さりげなく声を掛けながら、そよ風のようにサラリと人の間に入ってくる。そこは新聞記者らしい。

「青葉さんか」
見た目は同じだけど、やっぱり美保の青葉さんとは微妙に違うのか。

ふと後列を見ればダブル赤城さんが仲良く並んで歩いていた。
「提督のご飯が食べられると聞いて逃すワケには参りません」
「お腹空きました!」

どんな状況であってもこの二人が食べ物に敏感なのは、どこの赤城さんでも変わらない。さっきの青葉さんとは違って並んで立つ赤城さんたちは顔から雰囲気から全てが同じだ。もはや双子とも言える。

 しかし何分も、ずっと同じ廊下を歩いているな。
(この本館の建物自体が大きい)

これはきっと現地の土地や建設コストが安いのだろう。美保が小さくてコンパクトなだけに、こういった余裕のある造りが(うらや)ましい。こういう土地に居れば性格も大らかになりそうだ。

異様な気配に何気なく見ると双方の金剛に両軍の比叡が互いの『お姉様』をチェンジして、ほっぺたをスリスリしている。
「はぅあぁ、更に改装したお姉さまも凛々しくて素敵ですぅー♪」
「コッチのお姉様も昔を思い出すようで素晴らしいですぅー♪」

比叡は相変わらずマイペースだ。そして美保の金剛も、だいぶ体調が戻っているようだ。ブルネイの比叡が甘えても優しく受け止めている。そこは姉としての自然な振る舞いなんだな。

「す、すいません、ウチの娘達が」
祥高さんがブルネイの提督に頭を下げている。

しかし彼はニコニコして応える。
「あぁ、いやいや。喧しいのはウチもいつもの事さ。ただ同一の艦娘でも似ている所や似ていない所があるモンだと思ってね」

(確かにそうだ)
彼の観察眼には私も同意する。同じ艦娘であっても個性があって少しずつ違うようだ。それに経験値(スキル)や装備によっても各々違ってくるのだろう。

 美保の龍田さんが聞く。
「今日の演習みたいな状況って実戦でもアリなのかしら?」

すかさずブルネイの青葉さんが応える。
「いや同じ艦隊で同時に同じ艦娘を二人を使うのは指揮系統に混乱が生じますから、ほとんどやりませんね」

「へぇ」
そこは納得した龍田さん。確かに現実的にスペアの艦娘が居たとしても運用面では混乱するから、あり得ないのだろう。

 私たちは、ようやく鎮守府本館の中央付近にある提督執務室の前にやってきた。提督が『ここだよ』という感じで指している。

「えー?」
まず比叡が驚く。

続いて赤城さん。
「ここって執務室?」

すると一方の赤城さんがヘナヘナと脱力して床に崩れ落ちる。座り込んだのは美保の彼女か?

「赤城さん、そんなに期待していたんだ」
苦笑した私は、へたり込んだ彼女に言う。

赤城さんは口を尖らせながら恨めしそうな目で私を見上げた。
「だってぇ」

ドキッとした……凄いギャップ。
(何だ? この可愛い反応は)

最近の彼女の反応は、まるで、お笑い芸人だ。
「おいおい、幼児返りか?」

少し前の赤城さんなら、もっと生真面目に返しただろう。

一航戦といえば以前、他所で見かけた加賀さんとも十分、釣り合うくらいに澄ましていたハズなんだが。

(日向と同じく私と彼女は、あまり『壁』を感じないから……余計にそう思えるのだろうか?)

だが提督は、そんな『お茶目』な赤城さんには目もくれず。

「さぁ、入った入った。」
皆を部屋の中に案内する。

その言葉で私もハッと我に帰る。
「ホラ、提督もあぁ言ってるから立ってくれ」

床にへたり込んでいる赤城さんに私は手を差し出した。彼女は一瞬、私の手を掴みかけて急に何かに気付いたような表情をする。

そしてサッと手を引いた。
「いえ……失礼しました司令」

赤城さんは軽く掌を立てて私の差し出した手を静かに否定した。
「独りで立てます」

少々、頬を赤らめながら彼女は生真面目な表情と硬い口調で応えた……このギコチナイほど上品ぶった雰囲気こそが、いつもの赤城さんだ。

(やれやれ、やっと平常運転に戻ったのか)
私は安堵した。

それを見ていたブルネイの赤城さんが苦笑しながら説明する。
「腹が減っては(いくさ)は出来ぬ……私たちは空腹になると、つい我を忘れてしまうんです」

「ああ、まったくだね」
私も赤城さんの性格は百も承知だ。今さら恥ずかしがることもないだろうに。見れば、さっきよりも真っ赤になっている。その不器用さが妙に可愛らしいよな、この子は。

「うふふ、司令はダメでも私なら恥ずかしがらなくて大丈夫でしょ?」
そう言いながらブルネイの赤城さんが改めて手を差し出した。

「ありがとう」
「良いのよ」
立ち上がった二人の赤城さん。

(ややこしい!)

 そんな私たちは行列の一番最後から提督の執務室に入った。
ここにいる全員が入っても余裕ある、大きな執務室だ。

だが広いとはいえデスクや書架など事務に必要なものしかない。

日向が心配そうに言う。
「ここで食事が出来るのか?」

「食器とか食材を他所から持って来るのかしら?」
これは龍田さん。

「確かに流しも何も無いが」
そう言いつつ私も首をかしげる。提督の意図が分からない。

金剛が言う。
「この部屋は広いデスが、お料理を持ってくるのデスか?」

それを受けて比叡も続けた。
「まさかSF映画とかに出てくるようなチューブとかブロックみたいな味気ない食事が出て終わりとか?」

私も苦笑した。
「そりゃ無愛想だな……しかし比叡、どこからそんな発想が出てくるんだ?」

「へ?」
なぜか詰まる彼女。

「あはは! 新しい比叡さんも休みの日には、やっぱアニメとか見てるんですか?」
突っ込んできたのはブルネイの青葉さん。

『え?』
二人の比叡が同時に驚きの声を上げて顔を見合わせる。図星か。

 しかしブルネイの提督は怪訝(けげん)そうな私たちには、まったく動じていない。
「はーい、その辺の壁とか家具とか触らないようにな」

彼は大きめの声で注意しながら何かを操作した。

するとあら不思議! 壁の資料棚がズズズと動き出して酒瓶が満載された棚に変わるではないか?

「Woo!」
美保の金剛が驚くのも無理は無い。床からはテーブルとソファが開口部からせり上がって来る。さらに提督の座るデスク周辺はシステムキッチンとバーカウンターに早変わり。

「ナニっぽい? これ」
驚く夕立。

「さぁ『Bar Admiral』へ、ようこそお客様! ここからは俺は提督じゃあない。この店のマスターだ」

「ここは、からくり屋敷みたいね」
さすが龍田さん、動じること無く笑っている。だが他の面々は度肝を抜かれた。

龍田さん以外の美保の艦娘たちは軒並み目を丸くして口をポカンと開いている。惜しい! 美保の青葉さんが居たらスクープだったのに。

「最新の執務室は、こうなってしまうのうか?」
日向の台詞に、すべてが込められていた。

 私たちは、ただ驚くばかりだった。

 
 

 
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/

最新情報はTwitter
https://twitter.com/46cko/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。
 
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