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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 飛び立つ光

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シャルルの真実

「今日は本当に有り難う御座いました、霧雨君」
「いいえ、先生には色々とお世話になってますし」

閃輝はレミリアとさとりを二人の部屋へと案内し自身の部屋へと戻る途中の食堂近くの廊下で麻耶に礼を言われていた。授業中に2回も助けてくれた事に、礼を言っているのだ。
これに関しては閃輝も素直に礼を受け取っている。閃輝も麻耶に対してのみ、外界の人間に心を許している。それは、麻耶が下心などが一切無く、純粋に心配してくれている事にある。

「それにしても、霧雨君のナイフ投げの技術には驚きました。まさか、ナイフであんな事が出来るなんて思いませんでしたよ」

麻耶が言っているのは、閃輝が授業中にやってのけた、レーザーを四散させる驚くほどの精密な投げる技術である。それもその筈、閃輝は一時期咲夜に鍛錬を付けて貰っていた事があり、その時の鍛錬の時にナイフの鍛錬も行っていたからだ。

『いい?ナイフと言うのは接近戦だけで活用出来ない訳ではないのよ。こうやって投げれば・・・』
『凄!?30メートルぐらいは離れてる美鈴さんに当たったって・・・わ~!美鈴さ~ん!!?大丈夫ですか~!!!??』
『大丈夫よ、中国のお仕置き代りよ。あの子も妖怪だし、あの程度で死ぬ事は無いわ』
『はぁ・・・でもなんでナイフなんですか?そもそも咲夜さん仕事で忙しいのに良いんですか?』
『大丈夫よ、今は休み時間みたいなものだから。・・・それに閃輝君だからナイフを教えるんだから(ボソッ)』
『?何か言いました?』
『!?な、何でも無いわ!さあ始めるわよ!』

っと言ったようなやり取りがあり閃輝は超人的な投げナイフのテクを、学ぶ事になった。
それでもかなりのきつい物で、咲夜と弾幕ごっこを行って、テクニックを盗めっという物であった。その結果、閃輝は咲夜までとは行かないが、達人以上超人未満の投げナイフテクニックを習得した。

「これはある人に習った物でしてね。その人もこれを使って手品なんてしてますし。それを習った物なんですよ」
「よ、世の中には、凄い人も居るものなんですね・・・」

麻耶は純粋に閃輝の言葉に驚きを表していた。閃輝は裏表無い麻耶の反応にやはり好感を感じた。そんな反応をする麻耶を見てクスっと笑う閃輝。

「でも、山田先生だって日本の元代表候補生だったんでしょう?それも十分に凄い経歴だと思いますけど」

閃輝は、心から思っている事を言った。麻耶は焦りや、緊張などしなければ国家代表とも十分に渡り合える実力を有していると、閃輝はそう思っている。
麻耶は閃輝の言葉に、顔を少し赤くして手を大きく顔の前で振る。

「そ、そんな事無いですよ!結局候補生止まりでしたし」
「でも、逆に言えば、国家代表になれそうな所まで言ったって事ですよね?
それでも十分ですよ、だからもう少し自信を持ったほうが良いですよ」

閃輝は自分でも外界の人間に、何故此処まで言うのか良く解らなかったが少なくとも、閃輝は麻耶を信用しているという事だろう。
閃輝の言葉を深く受け止めたのか、麻耶は口を閉じて考える。

「そうかもしれませんね・・・霧雨君有り難う御座いました」
「いいえ、じゃ俺はこれで」

閃輝は麻耶に一礼をして、歩いて去って行った。残された麻耶は閃輝に言われた事を深く考える事にした。

「(自信を持った方が良いですか・・・確かにその通りですよね。
私は教師なんですし、一人の大人として、教師としてしっかりしなくちゃ!)」

麻耶は閃輝の言葉で、自分に自信が持てるようになったのか、手を握り締めて職員室に向かって行く。

「(でも私なんかより、霧雨君の方が大変ですよね。今は闇夜さんと魔理沙さんが
居るからケアが出来てるけど、何時までも入れる訳じゃないし・・・
なにか霧雨君のストレスとか解消出来る事をとかないでしょうか・・・)』

麻耶は閃輝のストレスを、如何にかして解消できないかと考え始める。この事で、閃輝が麻耶に対しての好感度があがった事は言うまでもあるまい。

閃輝は部屋に到着すると、外泊届けの手続き用紙の必要項目を埋めて行く休みには幻想郷に、戻るからだ。そうしなければ自分を保つ事が出来ない。必要項目を埋め終わると、閃輝がある事を思い出した。

「そう言えばシャンプーが切れていたな・・・」

閃輝は椅子から立ち上がり、戸棚から新しいシャンプーを持って、バスルームに向かう
扉を開けて、シャンプーを入れようとするが

「へ?」

閃輝の目の前には、風呂上りと思われるシャルルがバスタオルを巻いて立っていた。シャルルはあまりのことに硬直してしまうが、閃輝はシャンプーのボトルを取って中身を詰め替えて、バスルームから出て何時もと同じように、薬の調合を始める。
正直、閃輝は外界の女には、基本的に興味を示さないので例え裸を見ようと何も感じないし、なんとも思わない。ある意味で凄まじい才能である。

「・・・そう言えば、あいつと同室だったな」

閃輝は漸く思い出したように呟いた、実はシャルルを一人か、他の女子と同室にすると問題を起こすのではないかっと懸念した千冬は、麻耶を通して閃輝に頼んだのだ。箒はこれに不服だったかが、決定事項だったため覆せず、渋々部屋を去って行った。
閃輝も同室になるのが嘘を付いているシャルルだったため、多少嫌がったが恩人である麻耶に頼まれて、断るわけにも行かず、仕方なくそれを受け入れた。

が、閃輝はシャルルが女である事を見抜いて居る為馴れ合う気に離れなかった。閃輝はシャルルが、『ライジング・ダーク』のデータが目当てだと簡単にわかったからだ。
そのため閃輝は、シャルルの事を『嘘をつくふざけた奴』から『嘘を付く敵』という認識に改めていたっと言った物の。河童の技術で作られた『ライジング・ダーク』が此方側の技術で解析できるわけも無く、心配はしていない。

そして、シャルルが、制服に着替えて、バスルームから出てきた。
そのまま閃輝に背を向けるように、ベットに座った。二人の間には、不思議な空気が流れる、静寂が空気を支配していた。不意に閃輝は

『衣玖さんならどんな事を言うかな?』

っと思ったりしたが、閃輝は構わず調合を続ける、鉢に入っていた粉末状の薬を試験管に入れて、窓際に置き、調合器具を片付けて行く。
部屋の空気に耐え切れなくなったのか、シャルルは遂に声を上げた。

「気にならないの?僕が女だって事が・・・」
「最初から女だと見抜いていたからな、気にはならないな」

閃輝が何気なく言った言葉に、大きくシャルルは反応した

「最初から!?どうして解ったの!?」
「まずは骨格だ、女と男の骨格は違うからな、誤魔化すのは無理だ。
次にお前の仕草、細かな動作、呼吸使い、声の高さだ、人は何かを誤魔化す時に
無意識の内にとってしまう行動がある。お前の場合、歩く時肩を少し下げる
それに加えて、呼吸使いが通常の女に比べて、若干遅い。これが理由だ」

次々と上げて言ったシャルルの行動、それを聞いたシャルルは唖然とした。
本来普通の人間であれば、其処まで細かな動きまで、見抜く事は出来ないだろうが、閃輝は普通の人間ではない。人間の魔法戦士である。

「・・・凄いんだね閃輝君は」
「この程度の事など造作も無い」

シャルルは閃輝の凄まじさを認識した。そして何か決心したような顔付きになった

「ねぇ・・・話しを聞いてくれる?」
「言ってみろ」

シャルルの口から話される事は、とても重い物だった。閃輝はその話を大人しく聞いていたが、閃輝は心内に、同情と怒りの感情が産まれ始めてきた、母親の為に嘘を付いていた。その事を見抜けずに、自分勝手にシャルルを決め付けてしまった事への怒り、閃輝はシャルルが、自分と同じような存在だと感じた。

「・・・お前はどうしたのだ?これから?」
「どうするも何も・・・牢獄行きかな?」
「それはないだろう、特記事項第二一、
本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない
本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする。
これがある限り3年の間は問題ない。それにデュノア社が嫌いなら俺が何とかしよう」
「え?」

シャルルは顔を上げて閃輝を見た、閃輝は携帯を取り出して何処かへ連絡する。
暫しすると・・・

『もしもし~?』
「にとりさんですか?閃輝です」
『お~我が盟友、闇夜の弟の閃輝君じゃないか~。どうしたの?なんか用?』
「はい、実はですね・・・(説明中)・・・っと言った訳です」
『なるほどね~つまりそのデュノア社ってのを叩き潰せばいいんだね?任せといて!』
「じゃ今度、闇兄の作った胡瓜を豪勢に使った、かっぱ巻きがお礼で良いですか?」
『かっぱ巻き・・・?しかも闇夜の作った物で・・・まっかせとけ~!!!(ブツッ!)』

にとりはお礼がかっぱ巻きだと解ると、途端にやる気出して話を切り上げた。
閃輝は携帯を懐にしまって、シャルルに向き直る。

「これでデュノア社は終わる。お前の事もカバーするように頼んでおいた」
「ほ、本当?で、でもそんな簡単に出来るの?」

シャルルは先程のやり取りで、本当に大丈夫なのか不安なようだ。
閃輝は問題ないっと笑った、その笑みにつられる様に自然にシャルルも笑顔になった。

「で、お前は俺と来るか?」
「え~っと・・・もしかしてさっき話してくれた幻想郷?って所に?」

シャルルは記憶を探りながらそう答えた、閃輝は幻想郷の事もシャルルに話したのだ、闇夜と魔理沙がこの場に居たら、かなり驚く事である。

「まあ、慣れるのには時間がかかると思うが、俺もサポートしてやる。仕事のあてもあるしな」
「・・・少し考えさせてもらっても良い?この世界には帰って来れないんでしょう?」

シャルルは小さな声でそう言った、当たり前だ、この世界とは全く違う世界が存在している
なんて思うわけも無い。閃輝は

「よっぽどの事が無ければこの世界には、来れないだろうな。まあじっくりと考える事だ」

閃輝はシャルルの肩を叩いて、バスルームに入って行った 
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