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デブは嫌

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第二章

「御前もうな」
「もう?」
「気にするな」
 こう言うのだった。
「というか普通になれ」
「普通にっていうと」
「そんなこと止めろ」
 馬鹿なダイエットはとだ、彬は太に真剣な顔で言った。
「そのままだと倒れるぞ」
「大丈夫だよ、食べてるよ」
「そうか?」
「最低限はな」
「最低限?」
「ああ、最低限だよ」
 そうだとだ、彬に話すのだった。
「食べてるよ」
「そうは見えないんだよ」
 彬はその太に返した。
「とてもな」
「だからなんだ」
「こうして言ってるんだよ、御前このままいったらな」
 真剣な顔のまま太に言った。
「倒れるぞ」
「そうなるかな」
「もうガリガリじゃないか」
 百キロにまで達していたそんな身体がだ。
「それ以上痩せたら本当にまずいぞ」
「そうなる?」
「そうなる、だからな」
 それでというのだ。
「もう止めろ」
「止めないよ」
「止めないのかよ」
「もっともっと痩せて」
 その痩せ細った顔での言葉だった。
「もう二度とデブなんて言われない様にするよ」
「やっぱりそれか、ただ」
「ただ?」
「だから言ってるんだよ」
 彬はその真剣な顔で太に言った、ここでまた知子を見てだった。
「あんな奴は気にするな」
「そう言うんだ」
「あんな奴なんかな」
「あんな奴っていうけれど」
「あんな奴だよ」
 それこそとだ、彬の口調は変わらなかった。
「すぐにわかる、外見で否定するなんてな」
「それは」
「そうだよ、碌な奴じゃないんだよ」
「だから言うんだ」
「ああ、気にするな」
 知子にかつての体型を言われたそのことをというのだ。
「そんな奴の言ったことはな」
「けれど」
「無理か」
「辛いから」
 太は本音を言った。
「だから」
「どうしてもか」
「今もね。辛くて」
「痩せずにいられないか」
「そうなんだよ」
 実際にというのだ。
「もっともっとね」
「本当にどうなっても知らないぞ」 
 真剣な顔のままでだ、彬は言うしか出来なかった。
「本当に」
「だから大丈夫だよ」
「そこまで言うならいい、しかしな」
「しかし?」
「俺は言ったしこれからもな」
 言ったこの後もというのだ。
「何かあったら言え」
「そう言ってくれるんだ」
「嫌いじゃないからな」
 それ故にというのだ。
「言うんだよ」
「悪いね」
「御前もそうしてくれてるからな」
 これは本当のことだ、太は彬が困っていると常に助けている、お互いにそうした関係であるのだ。
 だからだ、彬も今太に言うのだ。
「だからだよ」
「それでなんだ」
「また何かあったら言え、そしてな」
「君からもだね」
「来るからな」
 そして今の様に忠告をするというのだ。 
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